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「女将が宴会中盤『気に入ったコがいたら宜しく』と…」会社の慰安旅行先が“ヤバい島”だった若手社員の告白 『売春島』外伝#2 - 高木 瑞穂

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「ママの合図で2階からドタバタと女性10人が…」最盛期の“ヤバい島”を体験した男が語った高揚感と恐怖 から続く

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 公然と売春が行われる“ヤバい島”として、タブー視されてきた三重県の離島・渡鹿野島。「売春島」と呼ばれているこの島の実態を描いたノンフィクションライター、高木瑞穂氏の『売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』(彩図社)が、9万部を超えるベストセラーとなっている。

 その後も取材を続ける高木氏が、最盛期に訪れた経験のある客たちの視点で、渡鹿野島の当時の状況に迫った。(全2回の2回目。#1から続く)

“売春島”中心部の夜の様子(著者提供)

◆◆◆

「売春島」に3度、渡った男

 大阪在住の前田さん(71歳、仮名)は計3回、売春島に渡っていた。前編で紹介した1回目の渡航の2年後、1991年ごろに再訪したが、状況は変わらずだったと懐古する。

「この時は1人で行きました。別の置屋でまたロングを選び、20代のフィリピン人。当時は1989年に一斉摘発されるまで続いた奈良・大和郡山の『郡山新地』もフィリピン人ばかりだった。フィリピンの子は気立てが良く、働き者だから重宝されていたんです」

 かつてヤクザ組織に属していた元置屋経営者の男性は、渡鹿野島と奈良県の関係をこう証言する。

「奈良にも置屋が立ち並ぶ売春が盛んな地域がありました。そこから連れてきた女のコが多かったそうです。A組は、その置屋街の仕切り屋でした。売春を商売にすれば、やはりヤクザも絡んできます」

 2人の話を紐づけると、フィリピン人は郡山新地から送られて来たことが想像できる。島にフィリピン人が増えた理由には、郡山新地の壊滅と、暗躍するヤクザの手引きがあったのだろう。

 前田さんが3回目に訪問したのは、さらに3年後の1994年ごろ。「日本人がいる」という情報がきっかけだった。

「噂を聞きつけて行ってみたら、本当に日本人がいて驚いた。20代から40代の日本人が3人、20代のタイ人が2人でした」

 当時、前田さんは娼婦たちに素性を尋ねたが、いずれも多くは語らなかった。本国の家族に送金するために島に来た出稼ぎフィリピン嬢、借金のカタに売られた日本人……さほどに過酷な境遇なのかと、そう慮るしかなかったという。

会社の慰安旅行先が「売春島」

 名古屋在住の加藤さん(55歳、仮名)が島に渡ったのは、1993年ごろである。前田さんのように好奇心から行ったのではない。28歳、不動産会社の営業マンをしていた。そして会社の慰安旅行先が偶然にも売春島だった。

「『伊勢に行くぞ』と言われ、何も知らないまま近鉄列車に乗りました。女性を買うことも知らされませんでした。昼に伊勢でゴルフをして、夕方過ぎ、『さあ、メシだ』と連れて行かれたのが渡鹿野島だったのです」

 男ばかり総勢30人の団体旅行。ホテルにチェックイン後、大浴場で汗を流しそして、宴会場へ。社長の乾杯の合図の後、着物姿のオンナたちがゾロゾロとやって来て浴衣姿の男たちに酌をして回った。

 オンナは若い20代の日本人ばかり。飛び抜けた美人はいなかったが、歓楽街なら“当たり”の部類に入るコしかいなかったという。加藤さん本人はホテル名を覚えていないというが、利用したのは、ホテルAだと推測できる。当時のホテルAの宴会は島内で唯一、着物着用が義務付けられていたからだ。

「お前はあのコを指名するんだぞ」

 会も中盤になって、皆が赤ら顔になったところで、女将は言った。

「気に入ったコがいたら宜しくお願いします」

 30人ほどの女のコがそれぞれお酌をし、ひとり2、3分で交代して行く。ところが中に一人、いっこうに加藤さんの元を離れない20代前半のオンナがいた。

 勝手知る上司が耳打ちした。「お前はあのコを指名するんだぞ」と。加藤さんは戸惑いながらも、逆指名だと理解した。

「団体の中でもとりわけ若かったから、気に入ってくれたのだと思います。先輩たちがショートやロングで遊ぶなか、私はその子をロングで指名し、彼女が寝泊まりしているという家に移動しました。

 部屋は3畳ほどしかなくて、ベッド、タンス、冷蔵庫、クーラー、テレビといった必需品を置いたら一杯になる物置のような部屋。窓もなく、天井も私の背丈ほどしかなかった。ホテルの螺旋階段の真下だったから多分、もともとは本当に物置だったんじゃないですかね。その部屋の様子を私が訝しんでいると、なぜか彼女は自分が置かれた境遇を語り出したんです」

 飄々と語っていた加藤さんが、初めて口ごもった。

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