- 2020年12月28日 15:44
M1 2020 観戦記
1/2■M1 2020 観戦記。

今回もM1、準決勝も決勝も会場で見ました。
敗者復活戦も決勝も映像で繰り返し見ました。
千鳥、かまいたち、スーパーマラドーナ・・出場者、審査員、芸人、評論家はじめM1事後評も片っ端から(たぶん全部)見ています。
数字取りました。バズってます。物議もかもしています。
大成功でした。
まだまだ『M-1』感想戦。嫉妬する麒麟・川島、「恥ずかしいで飯食える」アキナ、ナイツ塙「審査員の本音」急いで急いで」
https://qjweb.jp/column/45135/
〇『M-1』出場コンビから審査員まで、YouTubeで止まらないアフタートーク "強烈な人間ドラマ"の余韻続く
https://realsound.jp/tech/2020/12/post-681731.html
〇【M-1を完全総括】超お笑いマニアJK・奥森皐月が感じた「マヂカルラブリー野田の〇〇〇力がスゴい」
https://getnavi.jp/entertainment/561561/
銀シャリ、和牛、ミルクボーイなど王道派掛け合い型に引き寄せてきた流れをひっくり返した点で今年のM1はパンクでありました。
漫才とは何か、という問いを遺したのも大きい。
特に、優勝したマヂカルラブリーを巡る論争がかまびすしい。
〇M-1優勝マヂカルラブリーは「漫才」なのか?
「『笑わせれば何でもあり』の極北にあるようなマヂカルラブリーを王者に選んだ。多様な芸を包摂する漫才の豊穣さと、それを審査することの難しさ。そのことを改めて感じた大会」。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78657?imp=0&fbclid=IwAR1KypeubUoug0rSQpMpLh9JuTiKyV0wd8TzK33aWVIKLXeOrsEIwlier2E
〇強烈ナンセンス?マヂラブ"つり革触らない"優勝ネタ
「ウイルスが怖くてつり革につかむことも躊躇してしまいがちな時代」を突き刺す強烈なナンセンス
https://blogos.com/article/505676/?p=1
〇マヂカルラブリーは「漫才」王者と言えるのか
「マヂカルラブリーが漫才ではないとしたら、ボケが一人何役もこなす霜降り明星や、二人ともコントインするサンドウィッチマン・NON STYLEなどはもっと漫才ではないということになってしまう。」
https://note.com/kabe_raiju/n/ne2dcdb09a920?fbclid=IwAR2TSSlkwrBmx0ics1C8zlS2FqXJtqpct9IIG00TdULE07HJ0Caw446oCC4
漫才には掛け合い型、コント型など色んな類型があります。ミルクボーイ、和牛、銀シャリ、ジャルジャル、とろサーモン、スーマラ、ミキなどこの数年の上位組は正統な掛け合いで、見取り図(2本目)はその流れを組みます。
※今回の決勝組とここ数年の優勝者をぼくの解釈でマッピングしてみます。
かけあい(コミュニケーション)とズレ(コミュニケーション不成立)、キミボク(本人同士)とコント(芝居)の軸です。

で、上位3組。
見取り図の1本目は、ボケまくりツッコミまくりでコミュニケーションが不成立。
おいでやすこがは、歌いまくりボケにツッコミまくりでコミュニケーションが不成立。
マジラブは、暴れまくりボケにツッコミまくりでコミュニケーションが不成立。
3つとも同じ型です。しゃべり、歌い、ジェスチャーという手法が違うだけ。
霜降り明星と同種です。立派な漫才です。
本格王道(第1象限)とは違う型(第2・第3象限)3本が上位を占めました。
しかも偶然、出番が4番・5番・6番の連番。
そこが爆発し過ぎたため、従来「おいしい」とされていた7番以降の下位打線が、十分に面白かったのに消化試合のようにしぼんでしまった。
最終決戦も3:2:2に評価が割れた。
それが「荒れた」決勝戦と評される理由でしょう。
それは保守本流ではない革新、別の軸をもつ進化系をみせたということ。
決勝終了後、かまいたちが「M1はセンターマイク1本で一番笑わせる人が勝つ漫才の大会」と評していました。賛同します。
漫才には太い伝統の幹があり、新機軸を生んで進化する可能性がある。
両者がある限り、まだまだ発展します。
前回最下位からの優勝。その当人たちも言います。
「みんなが漫才の定義について考えることって、いままであったのかなって。」
〇新M-1王者マヂカルラブリー独占インタビュー!」
https://laughmaga.yoshimoto.co.jp/archives/127002
レガシーです。
際立って光るM1評は堀井憲一郎先輩のコラムです。
〇M-1グランプリ、午後8時40分に起きた「革命」に気づいていますか?
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78685
上位3組が同種の不条理漫才であることはぼくも同意見ですが、前回(2017年)は異物だったマヂラブが今回受け入れられたのは、フォーマルな型に飽きた変化だとする視線は新鮮です。
コロナがもたらした、私たち側の断層だと言うのです。
「2017年世界が、いまとなればすごく羨ましい。2020年世界では、「マヂカルラブリー」の異質な世界をおもしろく感じ、昔ながらのきちんとした型のほうに、正直、すこし退屈してしまったのだ。2020年は2017年とまったく違う世界に入っているのがわかる。」
そういうことだったのかもしれない。
「2010年代と2020年代の世界は、まったく様相を変えた。2020年に入った直後は何も予想してなかったが、2020年は2019年以前の姿と決別するための年なのかもしれないと、あらためておもう。」
そういうことだったのかもしれない。