- 2020年12月29日 14:35 (配信日時 12月28日 15:15)
ジャニー氏の最高傑作「嵐」の終わりで"帝国の崩壊"がいよいよ始まる
1/2まもなく「嵐」の活動が終わる
「嵐」のラストライブ「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」(生配信)は、一時代を築いたジャニーズ帝国の終わりを告げる弔鐘のようである。
ジャニーズ事務所=2020年11月17日、東京都港区 - 写真=時事通信フォト
1962年、渡辺プロダクションの系列会社としてジャニーズ事務所は創業された。以来、60年近くの長きにわたって、次々に男性アイドルグループを輩出してきた。
中でも、近藤真彦、田原俊彦、野村義男の「たのきんトリオ」、木村拓哉、中居正広、稲垣吾郎、草彅剛・香取慎吾の「SMAP」、大野智、櫻井翔、二宮和也、相葉雅紀、松本潤の「嵐」は、ジャニー喜多川が生み出した最高傑作である。
アイドルになる子どもを見出すジャニーの鑑識眼は“異能”といわれた。
週刊文春(12/31・1/7日号)で、「嵐」の二宮がジャニーズ入りした1996年6月、中学へ入って間もない彼と一緒にオーディションを受けた元ジャニーズのタレントがこう話している。
「ジャニーさんが見ている前でダンスをしたり、カメラテストをする。あの日は二百人くらいいたと思いますが、正直言ってニノが一番パッとしなかった(笑)。
猫背だし、ポロシャツをズボンに入れてリュックを背負い、いかにも冴えない少年といった風貌。それでもジャニーさんが一番に選んだのがニノ。皆、なんであいつが受かるんだ? って顔してましたが、ジャニーさんの眼力には舌を巻くばかりです」
帝国を築き上げた姉弟の才覚
弟ジャニーの眼と、姉メリーの経営の才の両輪で、ジャニーズ事務所は他に類を見ないほどの帝国を築き上げてきた。
メリーが力を注いだのは、売れっ子タレントを武器に、テレビ局や出版社を支配下に置くことだった。
事務所の意に沿わないテレビ局や出版社には、「うちのタレントは出さない」と脅しあげることで、にらみを利かす。
NHKの紅白歌合戦にジャニーズの誰を出すのかは、NHKに決定権はなく、ジャニーズ側にお伺いを立てなければ決められなかったといわれている。
ジャニーズを退所した者は、テレビには出さずに干すというやり方も徹底していたといわれるが、これは、局側がジャニーズの意向を忖度して使わなかったというのが本当のところだろう。
永遠に続くと思われていた帝国に陰りが見えたのは、SMAPの育ての親といわれ、メンバーが姉のように慕っていた飯島三智マネージャーを、メリー副社長(当時)が追い出した時からである。
発端は、2015年1月29日号の週刊文春に掲載された「ジャニーズ女帝 怒りの独白5時間」で、メリーが発した言葉であった。
「SMAP騒動」は公取委が介入する事態に
「対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう」
メリー副社長は飯島を突然呼び出し、記者の面前でこう叱責したのである。
飯島の台頭を恐れ、娘ジュリーの社長就任が危うくなるかもしれないと考えたメリーが、飯島を切ったという説が有力である。それに、SMAP人気は限界だと考えていたメリーが、歌も踊りもうまい「嵐」をジャニーズの金看板にしようと考えたのであろう。
飯島はジャニーズを去り、2016年8月にジャニーズ事務所は「SMAPは同年12月31日をもって解散する」ことを公式に発表した。
草彅、香取、稲垣はジャニーズを退所したが、元SMAPの看板を背負っていても、テレビで見る機会はみるみる減っていった。
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/-Vitan-
ここまでなら、SMAPを凌ぐ人気と、動員力を誇る「嵐」がいればジャニーズにとって、そう大きな痛手にはならなかったはずだった。
だが、「公正取引委員会がジャニーズ事務所(東京・港)を注意したことが明らかになった。『退所したSMAP元メンバー3人の番組起用を妨げるような働きかけがあった場合』は独占禁止法違反につながる恐れがあるという内容だ。調査の結果、同法違反を認定するだけの証拠は得られなかったものの、3人のテレビ出演が激減する現状を踏まえて警鐘を鳴らした」(日本経済新聞2019年7月18日 6:00)
注意とはいえ、公取委の介入で、テレビ局はジャニーズ側に忖度をしなくなり、元SMAPの3人を起用することをためらわなくなった。
文春が報じたジャニーズの「暗部」
その年の初めには「嵐」が、2020年いっぱいで活動休止することを発表していた。
7月9日にはジャニー喜多川社長が亡くなった。享年87。メディアは彼の死を悼んだが、彼の子どもたちへのセクハラについて触れたところは少なかった。
週刊文春(1999年7/25日号)は、「稀代のプロデューサーの光と影」というサブタイトルを付けて、「ジャニー喜多川 審美眼と『性的虐待』」という特集を組んだ。
ジャニー喜多川が少年たちに事務所で性的虐待をしているという告発記事を連載し、それに対してジャニーズ事務所は文春を名誉毀損で訴えたのである。
2004年には最高裁で、損害賠償として文春側に計120万円の支払いを命じる判決が確定したが、セクハラについての記事の重要部分は真実と認定したのだ。
メリー喜多川と娘の藤島ジュリー景子は、2020年の末に活動を休止(実質は停止)するまでに、「嵐」の大掛かりなイベントを仕掛けようと計画していたが、予期せぬ新型コロナウイルスの蔓延で、それができなくなってしまった。
ジャニーズにとっては泣きっ面に蜂である。オンラインでのコンサートは何度かやったが、盛り上がりとグッズなどの売り上げが各段に違うはずである。
活動休止の背景にある二宮の「結婚問題」
さらにそれに追い打ちをかけたのが、週刊文春が年初から次々に放った「嵐」のメンバーたちの女性スキャンダルである。これらを読むと、突然に見えた「嵐」活動休止も、結婚問題が深く関わっていることがよく分かる。
「松潤『絶交宣言』、『二宮、ふざけんな』<二宮父が初告白2時間>」(週刊文春2020年1/2・9日号)結婚問題でファンばかりではなく、仲間との人間関係も壊しているのは、「嵐」の二宮和也だと、文春が報じた。
二宮は、元フリーアナウンサーの伊藤綾子との結婚をツアー中に発表した。「ニノはメンバーや仕事より恋愛を優先した」とファンが反発したのは致し方ないが、メンバーの大野智や松本潤との間も、不穏な空気が漂っているというのである。
中でも松潤は、これまでも女性との噂が絶えなかったが、全てを否定してきた。
「否定し続けることがファンに対するアイドルとしての態度と信じる松本にとって、二宮がツアー中にファンに結婚報告するのは許容できることではなかったのだろう」(文春)
私にはこの理屈が理解できない。アイドルといっても、みな40近いオジサンばかりである。それに女性のほうはもうすぐ40になるから、子どもを産めるかという心配もあるだろう。
櫻井は同級生の恋人と婚前旅行
次は「櫻井翔『同棲彼女』とハワイでラブラブ撮影会」(『週刊文春』同年1/30号)
文春は櫻井翔が慶應時代の同級生で「ミス慶應」にもなったA子とベトナム旅行へ行ったと報じた。帰国した日、彼がキャスターを務める「news zero」(日テレ系)に生出演すると、番組終了後に再びハワイへと旅立ったというのだ。
オアフ島のカイルアビーチでは、白いTシャツに短パン姿の櫻井の横に水色のワンピース姿のA子がいた。モノクログラビアには、欧米人らしい老夫婦に頼んでツーショットを撮ってもらっている櫻井と彼女の写真が載っている。
ハワイは「嵐」にとって特別な場所である。ホノルル湾上に浮かぶクルーズ客船で華々しいデビューをし、結成15周年のアニバーサリーライブを行ったのもハワイだった。
文春によると、櫻井は「嵐」を期間限定ユニットと考えていて、終了後に海外留学する予定を立てていたという。A子のほうも、「いつかハワイに住んで、自分のセレクトショップを持ちたい」と、かつて雑誌のインタビューで語っていたそうだ。
2人はすでに櫻井のマンションで同棲生活をしているという。文春は、年末の活動停止後に、櫻井は結婚に踏み切るのではないかと見ている。彼の“覚悟”を見せたのが、彼女との婚前ベトナム・ハワイ旅行だったというのである。
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