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今年の「紅白歌合戦」視聴率にNHKの存亡が…


「吉」と出るか、あるいは「凶」と出るのか…。

コロナ禍の厳戒態勢で行われる「第71回NHK紅白歌合戦」に業界内から注目が集まっている。

注目のポイントはもちろん視聴率である。

ワースト更新した2019年 ステイホームは追い風になるか

昨年の紅白は、ビデオリサーチ(関東地区)の調査によると前半の1部(19時15分〜20時55分)は34.7%で、後半の第2部(21時〜23時45分)が37.3%だった。この数字、実は紅白のワースト記録だったのだ。NHK担当の放送記者が言う。

「紅白は1989年以降に2部構成になりましたが、その後の視聴率については第2部の視聴率を実質的な平均視聴率としています。

過去を振り返りますと、04年の第55回で、初めて40%を切る39.3%となりワースト記録を更新しました。さらに06年、07年、15年、そして17年と39%台を記録していましたが、39%を切ることはありませんでした。

そんなこともあって、制作現場では紅白の潜在視聴率は39%だろう思われていたのです。ところが昨年は一気に38%を切ってしまったわけですからね、多少の覚悟はあったとは言え現場のショックは大きかったことでしょう」

その時の制作担当者(制作統括)が加藤英明プロデューサーだった。そして今年も加藤プロデューサーが続投することになり、ある意味では「リベンジ」と言うことになるのだが…。

「本来なら代えるのが普通ですけどね。当初は別のプロデューサーに決まっていたはずなのですが、いつの間にか加藤プロデューサーになっていました。これは関係ないかもしれませんが、歌手の加藤登紀子と親戚関係にあるだけに音楽には詳しいようですし、これまで地方局への異動経験もないと言いますから異例の存在です。

東京五輪の事務局も兼務していたり、エンターテイメント番組部の中では期待されているのかもしれません。現在は看板音楽番組『SONGS』も担当していますし、このコロナ禍ということもあるのかもしれませんけど、果たして、これが吉と出るか…不安はありますね」(前出の放送記者)

一部には、今年の紅白はコロナ感染拡大でステイホームが呼び掛けられていることが、逆に「功を奏するのではないか」(放送関係者)とも言われているのだが…。

「外出を控え、家にいる時間が増えるので、必然的に紅白の視聴率もアップするのではないかと言うのが業界内の予想ではあります。しかし、ちょっと甘いと思いますね。確かに10年ぐらい前だったら、そのような視聴者動向も考えられなくもないと思いますが、今は趣味趣向が多様化していますから。

YouTubeもあれば、Netflixのような動画配信もあります。地上波では裏番組の、ダウンタウンの『ガキの使いやあらへんで!』が、どこまで視聴率を伸ばせるかという方が注目されているはずです。

つまり、大晦日だからと言って視聴者は紅白だけにこだわっていないということです。そう考えると、今回はワースト記録をさらに更新するなんてことも十分に考えられます」(前出の放送関係者)

「歌合戦」を忘れた紅白 原点に戻れ

加藤プロデューサーは、かつて東京新聞のインタビューに対して「全世代型のコンテンツ(内容)を目指さなければいけない。時代は変わっても、その志だけは変えてはならないと思っています」と述べていたが、今回の出場者の顔ぶれなどを見る限り視聴者ターゲットは曖昧そのもの、しかも「歌合戦」という基本的なコンセプトまでもが完全に失われてしまっている。そもそも審査員が何を審査しているのかもハッキリしない。

「時代の流れと言ってしまえば簡単なのですが、結局は何から何までネットを意識し過ぎているんです。NHKがネットに力を入れているのは分かりますが、テレビ離れした視聴者がネットに向かっているわけですから、テレビマンとしてのプライドがあるなら、ネットにはない魅力を出していくべきなのでは。

そもそも紅白というのは、いわゆる専門店ではなく総合デパートのようなものですから、今後も継続するなら、どんなにマンネリと言われようとも、あらゆる世代に向けて総合デパートとしての魅力を出していくしかない。それはつまり〝歌合戦〟という基本的なコンセプトを貫き通すしかないのです。

ロックやポップス系の歌手には1曲どころか2曲3曲とメドレーで5分以上も歌わせておいて、演歌や歌謡曲となると2分しか歌わせないなんて、歌合戦としてフェアじゃない。『紅白歌合戦』と謳っている以上、出場歌手を差別すること自体が、おかしな話です。どうでもいい応援合戦を減らして、まずは歌を聴かせるべきだと思います。

今年で言うと、朝ドラ『エール』で古関裕而さんをクローズアップしたいのでしょうけど、今年は作曲家の筒美京平さんや、ここにきて同じく作曲家の中村泰士さん、作詞家で直木賞作家のなかにし礼さんも亡くなりました。その人たちの追悼コーナーを設けるとか、細川たかしを出して『北酒場』を歌わせるぐらいの計らいがあってもいいと思いますけどね」(音楽関係者)

メインの出場歌手が決まった後に、五月雨式に特別枠のポップス系歌手を発表していくのも、視聴者に見透かされ悪評なのだが、いまだに制作現場では「盛り上げには効果的」だと思っているようだ。

「実際、情報を小出しにしすぎて、全く視聴者には伝わっていないと思いますよ。早い話が『やってますよ』と言った自己満足に過ぎません。しかも今年はコロナの感染拡大防止で現場取材にも規制がかかっています。

放送記者クラブを優先にしたリモート取材になるようですが、取材現場は完全にシラケ切っています。しかも、写真はNHKのオフィシャル写真を使うとか…。

もちろん、事情が事情だけに仕方ないのかもしれませんが、いまだに上から目線の対応です。冷静に見たら盛り上がりは例年の三分の一以下じゃないですかね。出場歌手にとっても紅白に出るメリットなんて感じられなくなっていると思いますよ」(前出の音楽関係者)

コロナで日常の生活様式が大きく変わったが、紅白もそのあり方を大きく変える可能性が出てきた。

巨額の制作費を使用 視聴率獲得は絶対

NHKホール

しかし、視聴者にとっては「たかが視聴率」であるが、NHKにとっては「重大なこと」だと、ある放送担当の記者は言い切る。

「菅義偉総理の肝煎り政策だった携帯電話料金の値下げが、NHK受信料問題にハネ返っているんです」

そんなNHKに対して、視聴者からはNHKのあり方や受信料への疑問や不満が高まっています。今後も、この問題は過熱していくでしょう。そうしたことからも、紅白は高視聴率を維持させていかなければならないのです。そもそも2億円とも3億円とも言われる巨額な予算を投じたバブル番組でもありますからね。これ以上、視聴率が落ちたら今度は制作費の無駄遣いだと言われかねません。あえて言うなら紅白のボーダーラインというのは40%なんですよ」

「皆様のNHK」は、今年の紅白の視聴率に、その命運がかかっていると言っても過言ではないのかもしれない。

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