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有馬記念 過去20年のデータから見えてきた「意外な傾向」

中山競馬場のスタンド

 いよいよ年末の総決算、競馬が最も盛り上がるレースがやってきた。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

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 有馬記念の週は月曜日から各スポーツ紙が出走馬の有利なデータや陣営の意気込み、さらにここに至るまでのドラマなどを掲載、どれもそれなりに説得力があって飽きないが、ここでは原点に戻って過去20年のデータをいくつか紐解いてみる。

 1番人気馬は10勝で、そのうち5頭は単勝オッズが2倍以内の大本命だが、今年は、人気が分かれそう。JCでは三冠馬3頭が2.2倍、2.8倍、3.7倍で4番人気は17倍、8番人気から100倍超だったが、そこまでは離れまい。3倍以上ついた1番人気馬はここ20年どころか、平成以降勝っていないことを覚えておきたい。

 勝ち馬20頭の前走を見るとジャパンカップ(JC)が9頭で最多、2番手は菊花賞組で5頭。この14頭の前走は7勝2着2着1回3着4回4着2回。つまり悪くても4着以内だ。JC組9頭のうち7頭は天皇賞(秋)を使っている。

 ちなみにJCからは2着馬が7頭、3着馬も10頭、うち5頭は二桁着順だった。菊花賞からは2、3着馬が3頭ずつ6頭でうち3頭が菊花賞馬。2014年のトゥザワールドは11着だったが菊花賞では2番人気に推されていた。

 2007年~2009年は天皇賞(秋)の敗戦から直行した馬が勝っている。マツリダゴッホなどはJCを回避した効果が出ていたのだろう。

 2015年のゴールドアクターはアルゼンチン共和国杯からの出走。このレースの1着馬は計12頭が有馬記念に出走している(うち4頭はJC経由)が、馬券圏内に入ったのはゴールドアクターだけ。

 2013年のオルフェーヴルは凱旋門賞2着、昨年のリスグラシューはオーストラリアのコックスプレート1着。

 一方、ステイヤーズステークスの1着馬は、中2週で9頭が挑んできているが、最高は4着(2頭)で、5頭は二桁着順に終わっている。

 今年はエリザベス女王杯の上位3頭が揃って駒を進めてきているが、エリザベス女王杯の1~3着馬は、有馬記念に14頭が出走しているが1頭も勝てていない。2007年ダイワスカーレットと2009年ブエナビスタが2着。2017年の2着馬クイーンズリングはエリザベス女王杯7着からの巻き返しだった。

 ジャパンカップは2000年以降牝馬が6勝だが、有馬記念では3勝。

 出走馬も決して多くなく、牝馬が1頭も出走しなかったレースが5回もある。のべ301頭が出走し、うち牝馬は38頭。昨年はもっとも多い5頭(2014年と同じ)が出走してリスグラシューが1着だったが大本命アーモンドアイは9着。大逃げを打って14着だったアエロリットは前走天皇賞(秋)で3着。15着のスカーレットカラーは前々走の府中牝馬Sで重賞初勝利。最下位クロコスミアは前走のエリザベス女王杯ではラッキーライラックの2着、春はヴィクトリアマイルで3着と、それぞれ実績はあった。暑さには強いといわれる牝馬だが、12月の寒さはプラスにはならないのか。

 勝ち馬はすべて2400m以上の経験があった。ヴィクトワールピサが勝った最も長い距離は2000mだが、それ以外の19頭には2200m以上の勝ち鞍があった。やはり有馬記念は「長距離戦」なのだ。

 データ通りなら馬連の軸はフィエールマン。昨年の有馬記念は唯一崩れた凱旋門賞からの帰国初戦、大本命アーモンドアイをマークしたのが裏目に出た感があった。天皇賞(春)連覇で長距離馬と思われていたが、天皇賞(秋)では上がり32.7の脚を使ってアーモンドアイに迫った。ネックはルメール騎乗のためオッズが下がること。ファン投票通りの人気でいってほしいところなのだが。

 キセキは天皇賞(秋)→JCという有馬勝者の王道をただ1頭たどってきた。秋4戦目になるが、角居調教師の「馬は休ませすぎると元気が出てしまって、調教でもオーバーワークになってしまう」というNEWSポストセブンのコラムの言葉が耳にこびりついている。中山での勝ち鞍がないのが気になるが、無理に競り合うことなく、マイペースで折り合ったときはしぶとい。角居厩舎として最後の有馬記念、ドラマティックな結末があってもいい。

 ここ10年で5勝の3歳馬、菊花賞3番人気で10着に敗れたバビットは、絶好枠を引いて今回も果敢に逃げるのだろう。京都外回りではあっさり捕まったが、セントライト記念を勝った中山なら粘り切れるかもしれない。

 今年もノーザンファーム生産馬が大挙出走するが、三連単はこの日高生産馬2頭軸マルチを買い、最後の直線まで楽しもうと思う。

 秋競馬を1度しか使っていないラッキーライラックとクロノジェネシスは、最初から有馬記念まで計算に入れていたのかもしれない。3歳馬オーソリティは、無事ならば皐月賞、ダービーに胸を張って出走していた実力馬。いきなり主役に躍り出てもおかしくない。JCを飛ばして、ここに照準を合わせてきた2年前の覇者ブラストワンピースも押さえておく。

 昨年は断然人気のアーモンドアイこそ9着に沈んだが、勝ったリスグラシューをはじめ3着までは2~4番人気のGⅠ馬が入った。馬連が3000円近く、三連複が万馬券、三連単が5万7000円。1.5倍が飛んだとはいえ、さすが売上が大きい有馬記念だ。

 今年もJCに出ていれば好勝負になったであろうGⅠ馬も出走。自粛の空気はJC当時よりさらに厳しくなったこと、JRAプレミアムが実施されることで、昨年の468億円をどれぐらい上回るのかにも注目したい。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

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