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コロナ禍だからこそ図書館がやるべきこと

緊急事態宣言が出され多くの図書館は閉館となったが、それで良かったのか? 図書館関係者と話をすると他にやるべきことがある、それは今でも同じと思えてならない。



■閉館は仕方がなかったが…

 公共施設でもあるため、緊急事態宣言により閉館。しばらくして、予約の貸出しから再開し、入館者を制限しがら普段通りの公共図書館(以下、図書館)に近づいていったのは、武蔵野市をはじめ、多くの公共図書館ではないだろうか?

 情報がない中でこの対応は非難されるべきことではない。

 しかし、本の貸出しだけが図書館のミッションではない。このことを再認識すると、地域の課題解決のためにできたことがあった、今後も進めなくてはならないことが明らかだろうとこの間、話をさせていただいた何人かの図書館関係者と一致した意見になった。

■課題解決のための図書館

 自治体が設置する図書館の根拠は、図書館法に基づいているもので、同法第七条の二の規定により、「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」改正され、平成24年12月19日から施行されている(①)。

 この改正により、図書館は所蔵する本の貸出しだけでなく、地域の課題解決支援、インターネット対応や電子書籍を含む資料収集などが求められることになった。
 また、医療サービスが高度化し、多様な選択肢が可能となるなかで、納得して治療を受けるための情報への需要が高まっているため、「医療専門書の情報に加え、医療専門データベース、医療機関のウェブ上に公開された資料等、最新の情報を組み合わせて提供し、病気に対する基礎的理解を助けるとともに、健康、予防医学、死生観等、関連する幅広い情報の提供を行うことができる」とも規定している。

 このことも背景になり、武蔵野市の図書館基本計画(②)では、地域の課題に対応したサービスを行うこと。外国語による利用案内、「デジタルの力」を取り入れ、活かす図書館とすることなどを書き込んでいる。他の多くの図書館でも書き込み方は別として同様だろう。

 このことを前提に考えると、不確かな情報、どこまで信じていいのか分からない情報が錯綜しているなか、検討に値する情報を図書館が発信すべきでないか。来館できないのなら、自宅で図書館のサービスを利用できる電子図書館、オンラインサービスを進めるべきではないか、との二点が一致した意見だった。



■情報へのリンク

「コロナは単なる風邪だ」との主張から「今すぐロックダウン」と叫ぶ人まで新型コロナへの対応はさまざまだ。テレビのワイドショーでは脚色された情報で、街に出ると新型コロナで死んでしまうと思い込みをする方もいるほどだった。

 いったい何が正しいのか、検討に値する情報なのか、判断は利用者に任せるとしても、その情報を、例えば図書館のサイトに掲載することはできるだろう。それこそ、レファレンスの話であり、図書館員であればすぐにもできる内容だ(自治体の他の業務に配置されてしまうと難しいが)。

 例えば、今年の5月1日には「コロナウィルスの感染拡大への対応における図書館のための重要な情報源」(日本語訳)がネットで公開(③)され、世界の図書館の対応がわかるようになっていた。また、来館記録の収集は推奨しませんとの意見もあるほどだった。

 この情報は、日本図書館協会のサイトにあり、自治体の図書館からリンクを張るだけでも有益な情報になるだろう。

 同協会のサイトには「新型コロナウィルス感染症への図書館の対応事例」(④)があり国内の図書館がどのように対応しているか参考になる。同様の内容は国立国会図書館のサイトでも掲載されている。

 国会図書館のサイトには、さらに「新型コロナウィルスに関する図書館等の取組」のページあり、各地の取り組み状況がまとめられている。多くの図書館は、青空文庫などの電子図書の紹介や役立つリンク集を紹介しているが、多摩市図書館のように「新型コロナウィルス関連情報について」のページを作り、リンク集ではあるが情報を提供していた(⑤)。他の図書館の参考になる内容だ。

■電子図書館の可能性

 毎年秋に開催されている図書館総合展(⑥)は、今年は新型コロナの対応で来場しての開催は中止し、オンラインのみで開催をしていた。その中の目玉のひとつが「バーチャル図書館」(⑦)だった。
 オンライン上で架空の図書館を訪問し、書籍や情報などを得るというもの。ゲームでも同様な仕組みはあるので、応用はもっとできそうな印象を持つものだった(今は閉館)。同様のバーチャル図書館は、明治薬科大学でも開設されている(⑧)ので、ほかの図書館でもできると思えている。
 バーチャル図書館まではできなくても、電子書籍を充実させることでも来館なしの図書館として機能できたのではないだろうか。

■ミッションの整理

 課題解決のための情報提供、オンラインでの図書貸出し。WITHコロナ時代には、あって当然のことと思えてならない。今一度、図書館のミッションを再確認すべきだ。
 図はある図書館関係者(業界では有名な方)がそのために作った図。ミッションを電子⇔紙、来館⇔日来館で整理してみたもので、何をすべきか分かりやすくなっている。



 新型コロナ第三波への対応に苦慮している図書館は多いと思うが、住民に頼りになる図書館として、課題解決のための図書館として、これらのことは取り組んでほしい。いや、取り組むべきだ。

 それはいつから? と問われれば「今でしょう!」と下手な結論。

(参照)
①図書館の設置及び運営上の望ましい基準
②武蔵野市図書館基本計画
③コロナウィルスの感染拡大への対応における図書館のための重要な情報源
④日本図書館協会 新型コロナウィルス感染症への図書館の対応事例
⑤多摩市立図書館 
⑥図書館総合展
⑦大日本印刷と図書館流通センター 未来の図書館「バーチャル図書館」の開発を開始
⑧明治薬科大学 バーチャル図書館OPENしました

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