
フランス保健省は25日、新型コロナウイルスの変異種への感染者を確認したと発表した。イギリスで発見された、より感染力の強いものだという。
保健省によると、感染したのは中部トゥール出身の男性で、12月19日にロンドンから帰国したという。
この感染者に症状はみられず、現在は自宅で自主隔離を行っている。
英イングランドでこの変異種が発見されて以来、数十カ国がイギリスとの移動に制限をかけている。
フランスも当初はイギリスに対して国境を封鎖していたが、23日にはこれを解除し、検査で陰性が確認された人の移動を認めた。イングランド南東部ケント州では、英仏海峡トンネルの前で何千台ものトラックが立ち往生し、多くの運転手がクリスマスをトラックの中で過ごした。
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フランス当局によると、変異種への感染が確認された男性は、21日に陽性と判明した。
同国では先週、全国的なロックダウンが解除されたものの、感染率はなお高く、さらなる規制緩和は難しいと政府は述べている。
そのため、劇場や映画館、バーやレストランなどは依然として休業している。また、午後8時から翌午前6時までの夜間外出禁止も続いている。
夜間外出禁止はクリスマス・イヴの24日には一時的に解除されたが、大みそかの31日には解除されないという。
フランスではこれまでに250万件以上の感染が報告されており、6万2000人超が亡くなっている。
変異種について分かっていること
この変異種は9月にイングランドで発見された。ここ数週間、イングランド東部や南東部、ロンドンなどで急速に感染が広がっている原因とされている。
国家統計局(ONS)によると、現在、これらの地域で陽性が判明した人の3分の2がこの変異種にかかっていると推測されている。
今回の変異種は、次の3点がみられることから注目を集めている。
- 新型ウイルスの他の変異種と急速に入れ替わっている
- 新型ウイルスの重要と思われる部分に影響を与える変異をしている
- 変異の一部は新型ウイルスの感染力を強めることが研究で確認されている
これらは、ウイルスがより広がりやすいことを示している。
一方で、この変異種の危険度が高いかどうか、最近開発されたワクチンが有効かどうかについては、まだ証拠がないと専門家は説明している。
世界各国のウイルス検体の遺伝子コードをモニタリングしているネクストストレインによると、オーストラリアやデンマークで発見された変異種もイギリスから来たものだという。オランダでもこの変異種による感染者が発見された。
日本の厚生労働省は25日、国内でこの変異種の感染者が5人確認されたと発表した。いずれもイギリスに滞在歴があるという。