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焦点:英EU合意で安堵も、すぐには消えぬ「ブレグジットの傷」


[ロンドン 24日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)と通商協定で合意したことで、4年半にわたる「合意なきEU離脱(ブレグジット)」への恐怖は取り除かれた。しかし英金融市場がブレグジットの傷から立ち直るには長年を要するだろう。

英国民が2016年6月の国民投票でEU離脱を選択して以来、合意なき離脱のリスクは同国の経済成長率と投資見通しを圧迫してきた。

期限を7日後に控えた24日の合意が、安堵をもたらしたのは疑いの余地がない。アナリストは顧客に対し、割安になった英国株を買うよう促している。英国株は2016年以来、主要株式市場の中で最低のパフォーマンスを示していた。また、多くの人々はポンドを買い進めている。ポンドは足もとで1ポンド=1.36ドル強と、2年半ぶりの高値近くで推移している。

ただ、通商合意によって英国資産が海外資産の上昇に追いつくと期待してきた人々は、失望を味わうかもしれない。

合意は必要最低限の内容で、英国とEUとの距離は2016年に考えられていたよりもずっと大きなものになる。来年は合意に肉付けするための追加交渉が避けられない。

つまり2016年以来、英国資産につきまとってきたディスカウントが近く消えることはなさそうだ。

プリンシパル・グローバル・インベスターズのシーマ・シャー氏は「ブレグジットによって英国が輝きの一部を失うのは間違いない」と語る。

「世界最大の単一市場から排除されることで、雇用、人材、資本の流れは徐々に英国から離れ、グローバル化を包摂する土地を探し求めるだろう」

英主要株価指数のFTSEは2016年から他市場をアンダーパフォームし、今年3月以降は他国の株価が最高値を更新する中で出遅れている。

ポンドは長期的な適正価格とされる水準を20%前後下回ったままで、近く完全に回復するとの見方は乏しい。

これは外国人投資家による英国資産売りが主因だ。金融データ会社eベストメントの推計では、欧州大陸と米国の投資家は国民投票以来、2020年第3・四半期までほぼ毎四半期、英国株を売り越している。

英国市場の規模は縮小し、世界株価指数に占める比率は国民投票前の10%から4%に下がった。このためUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのキャロライン・シモンズ氏によると、外国人投資家は以前ほど多くの英国株を保有する必要がなくなった。

シモンズ氏によると、英国株の世界株に対するディスカウント率は現在30%と、伝統的な水準の10%から拡大しているが、本格的な回復は見込めない。

「ブレグジット絡みのディスカウントに関して言うと、一部は消えると思うが、完全に消えるとは思えない。ブレグジットによる英国内総生産(GDP)への累積的な悪影響は相変わらず大きい」

<コロナ禍が拍車>

英国は、コロナ禍の打撃も主要国中で最大だ。今年第2・四半期には過去300年で最悪の景気後退を経験した。

このため政府は借金を平時としては過去最高に増やさざるを得なかった。

英実体経済への外国直接投資(FDI)が減っていることも、景気回復の足かせとなる。コンサルタント会社EYの推計では、コロナ禍を主因として今年のFDIプロジェクトは昨年を30―45%下回る見通しだ。

キルター・インベスターズのヒネシュ・パテル氏は、通商合意を機に、待機していた外国投資が解き放たれる可能性があると話す。

一方、モルガン・スタンレーのアンドルー・シーツ氏は、短期的には安堵感から資産価格が上昇すると予想した上で、「経済が抱える根本的な課題は解決しない。英国経済の大半を占めるサービス業にマイナスのショックが及ぶだろう」と述べた。

(Tommy Wilkes記者)

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