土地の所有や管理等に関連する主な制度 (出所:内閣官房)
「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。
中共等の資本による我が国の土地買収について、実態把握の新法の制定に向けて、政府の有識者会議の提言がまとまりました。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudoriyou_jittai/
外国資本による防衛施設周辺の土地買収については、10年以上前に対馬に領土議連の一員として、視察に伺って以来の国家安全保障上の懸案事項、課題でした。その後も、中共等の外国資本による防衛施設周辺や国境離島、水源林、農地、そして、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の買収等、各地で問題が指摘され続けてきました。
そのような中で、第2次安倍政権となって、平成25(2013)年に国家安全保障戦略において、防錆省・内閣府が防衛施設周辺、国境離島を調査したが、制度の裏付けがなく、利用実態が十分に把握できませんでした。
そこで、自民党からの問題提起、提言があり、今年になってようやく「経済財政運営と改革の基本方針 2020」(2020 年 7 月 17 日閣議決定)において、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる」ことが盛り込まれました。
その決定を受けて、内閣官房に担当部署が設けられ、11月からは有識者会議が組織されて、今回の提言となりました。これを基に、新法が立案され、来年1月からの通常国会で議論されて、成立する運びとなります。
ただし、対象は、①防衛関係施設(自衛隊拠点・米軍基地)周辺、②国境離島、③重要インフラ施設(原子力発電所など周辺としており、今まで問題となっていた水源地や農地、大規模太陽光発電施設等は、今回の対象とはなっていません。森林法や農地法等の別途既存法制に基づき、引き続き実情把握に努めていかなければなりません。
●「国土利用の実態把握等に関する法制度の在り方について」報告書の概要
「国土利用の実態把握等に関する法制度の在り方について」の概要は以下です。
⑴新法の必要性
安全保障上重要な機能・役割を持つ施設の周辺・地域の土地につき、所有者や利用実態等を把握する必要。
不適切な利用実態が明らかになった場合には、政府として、適切に対処しうる、実効性が担保された制度的枠組みを創設する必要。
制度の存在は、不適切な土地の利用等を抑止する効果。国民の不安や懸念を小さくする「安全弁」になる。
⑵体制
制度全体を総括する組織の整備、政府としての基本方針に沿って、情報を一元的に把握・管理、関係省庁の地方支分部局とのネットワーク構築。制度の適切な運用を確保するため、外部有識者の専門的な知見を活用する仕組みを整備。
⑶対象
類型:①防衛関係施設(自衛隊拠点・米軍基地)周辺、②国境離島、③重要インフラ施設(原子力発電所など周辺を、国際情勢等を踏まえ、機動的に対応できるよう、政令等で規定する仕組みとする。
地理的範囲:施設からの一定の距離の範囲を原則としつつ、地理的特性等を勘案し、柔軟に設定しうる仕組みとする。
権利:土地及び建物の所有権及び賃借権等。
⑷調査
内容:所有(氏名、住所、国籍等)+利用(実態、目的等)
手法:①現地・現況調査、②公簿等の収集(個人情報の取扱いに係る法的裏付けを整備)、③所有者等からの報告徴収
制度全体を総括する部局において、関係省庁等の協力を得て分析。(6)の利用規制の発動の要否を判断。
⑸権利移転等の事前届出(売り手・買い手)
安全保障上特に重要性が高い土地等の権利移転等について、事前届出制を導入。最新の情報を把握できる仕組みを構築。
事前届出がなされた後は、追加的調査。必要に応じ、利用規制につなげる。
不適切な利用に供されるおそれがあると認められる場合に取引中止の命令等を行う「取得規制」については、慎重に検討。
⑹利用規制
①他法令に基づく行為規制による是正、②不適切利用の中止の勧告・命令、国への買取り請求を措置 (補償的措置)、③国による買取り
新法を速やかに具体化し、成立を図る→必要となる体制・人員、予算を確保→できる限り早期に施行
●諸外国の取組
なお、今回の有識者会議の報告書の中に取り上げられていた諸外国の取組については以下です。
米国:2020 年2 月に、「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」の審査対象に、軍事施設近傍の不動産の購入等が追加され、大統領に取引停止権限が付与された。
豪州:「国防法」に基づき指定されるエリア内において、建造物の撤去等が可能とされているほか、「外資による資産取得及び企業買収法」により、外国人が一定額以上の土地の権利を取得する場合には、事前許可制の対象とされている。また、国家安全保障の観点から重要とされる土地を含む、センシティブな事業への投資の事前承認制度を強化する法改正が検討されている。
英国:対内直接投資の事前申告の対象に不動産を含めるべく、法改正が進められている。
韓国:「軍事基地及び軍事施設保護法」に基づき、指定区域内における建物の設置等は事前許可制の対象となるほか、「不動産取引申告等に関する法律」に基づき、外国人による軍事基地及び国防目的で制限する区域の土地取得は、事前許可制の対象とされている。