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「選択的夫婦別姓」反対派の声が幅を利かせ続ける日本社会のおかしさ

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12月15日に了承された第5次男女共同参画基本計画案では「選択的夫婦別姓」の文言が削除されることになり、制度導入は大幅な後退をみることになりそうです。自民党内でも賛成派が増えているにもかかわらず、なぜこのような結果になったのでしょうか――。

線路を見つめながら考え事をするビジネスウーマン
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

なぜ反対派の声が幅を利かせているのか

選択的夫婦別姓の導入について期待が高まっていましたが、先日了承された第5次男女共同参画基本計画の改定案では「選択的夫婦別姓」の文言自体が削除されることが決定しました。

「選択的夫婦別氏制度の導入」という文言が消え、「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方」という曖昧な文言に置き換えられました。さらに「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ」という記述が新たに加わっており、「選択的夫婦別姓」は実質的に大幅な後退を迫られた形です。

自民党のなかでも「選択的夫婦別姓」に賛成する議員が増えていたにもかかわらず、なぜ日本ではこのように「選択的夫婦別姓」に反対する人の声が幅を利かせ続けているのでしょうか。今回は海外の状況とも比べながらその背景にあるものに迫りたいと思います。

「同じ苗字を名乗らないと、ニッポンの家族が死ぬ」と考える人々

選択的夫婦別姓に反対している人のなかには「家族が別の姓を名乗ると、日本の伝統的な家族が死ぬ」「家族の絆が壊れ、子供に悪影響が及ぶ」というように「日本の家族が壊れる」ことを懸念している人もいれば、「そもそも女性は好きな男のためになら苗字を変えたいはず」といったマッチョな考え方をする人もいます。

そこからは「日本の家制度を含む伝統的な家族像」を何が何でも変えたくない、という思いが読みとれます。「結婚している夫婦が別々の苗字を名乗る」のは確かに「日本の昔からの家制度」「伝統的なニッポンの家族」の考え方には合わないかもしれません。

しかし「選択的夫婦別姓」という言葉に「選択的」という言葉が入っていることからも分かるように、たとえ夫婦別姓が認められたとしても、伝統を好む夫婦は今までと同じように同じ苗字にすることができるわけです。「選択的夫婦別姓」が導入されたからといって、「同じ苗字を名乗ること」が阻止されるわけではありません。

「選択的夫婦別姓を認める」ということは、「伝統が好きな夫婦はそのまま同じ姓を名乗り、別々の姓を名乗りたい人にはその選択肢が認められる」という話でしかありません。

それなのに、この「選択的夫婦別姓」の話になると、常にどこからか「同じ苗字を名乗りたい女性もいる!(だから選択的夫婦別姓には反対)」という声が聞こえてきます。

今の日常が変わるわけではない

この話は、同性愛者の結婚に似ているところがあります。現在ニュージーランドでは同性婚が認められていますが、まだ同性同士の結婚が認められていなかった2013年にモーリス・ウィリアムソン議員(当時)は国会で「この(同性婚を認める)法案でやろうとしていることは、ただ愛し合う2人に結婚という形でその愛を認めてあげることだ。それだけだ」と演説しました。

続けて同氏は「今(同性婚を認める)法案に反対している人たちに約束する。明日も太陽は昇る」「十代の娘はやはり全て分かっているかのように言い返してくる。住宅ローンは増えない」と語り、「カエルがベッドから出てくることもない。世界は続いていく。だから大げさにしないでほしい」と結びました。

つまりは同性婚はあくまでも今まで結婚できなかった同性同士が結婚できるようになるという「変化」のみをもたらし、今の日常は良くも悪くもガラッと変わるわけではないのだから安心してください、というわけです。

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