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情報BOX:英金融街シティーはどう変わる、ブレグジット合意で


[ロンドン 24日 ロイター] - 英国は欧州連合(EU)離脱の移行期間が年末で切れ、EU金融市場への完全なアクセスを失う。

EUは英国にとって最大の金融サービス顧客で、その取引規模は年間約300億ポンド(400億ドル)。EUとの関係により、ロンドンは世界最大級の金融センターとしての地位を固め、英国政府にとって重要な税収源という役割を果たしてきた。

「シティー・オブ・ロンドン(シティー)」によるEU市場へのアクセスがどう変化するのか、詳細をまとめた。

◎EUとの通商合意によるシティーへの影響

金融サービス問題はEU本部で別個に扱われており、英国とEUの交渉内容から外された。ただ24日の合意により、EUはデリバティブ取引などの分野で、一時的にせよ英国にアクセス権を認めやすくなるかもしれない。

◎1月から何が変わるか

来年初めから、英金融機関によるEU市場への全面アクセスは終わり、「同等性」と呼ばれるEUの制度が適用される。

◎同等性とは

EUが外国の銀行、保険、その他金融機関に対し、母国のルールがEUと「同等」に頑健だと見なされる場合に限って市場アクセスを与える制度。

ただ、全面的にアクセスを認めるわけではなく、リテール銀行業などは除外される。英国の銀行は既に、EU域内の顧客に口座の閉鎖を通告している。

英銀は「パスポート」と呼ばれる全面的アクセスの維持を訴えてきたが、それとは程遠い結果となる。

同等性制度に基づくアクセスは、1カ月前の通告により撤回が可能。

◎同等性評価は与えられたのか

EUはこれまで、2つの活動に限って英国に同等性評価を与えている。対象は英デリバティブ精算機関とアイルランドの証券決済で、期間はそれぞれ1月からの18か月間と6カ月間。

アクセス制限に対応し、ロンドンの金融機関はEU顧客への混乱を避けるため、既に7500人の雇用と1兆ポンド余りの資産をEU内の拠点に移している。

1月までに同等性評価が与えられない場合、株式、債券、デリバティブの取引は現在よりも非効率的な英国とEUの「プール」に分割される。英国とEUは、ロンドンの資産運用会社がEU内のファンド用のために株式運用を続けるのを認めることで合意した。

大半の金融機関はユーロ建ての株式取引について、1月4日からロンドン以外に移す必要があると予想している。ただ、これについて猶予を求めるロビー活動が積極的に行われており、年末までにこの分野で同等性評価が与えられる可能性は残っている。

◎EUの金融機関がロンドンを離れる必要性

英国は国際金融センターとしてのロンドンの地位を維持するため、EUの金融機関に最長3年間とどまることを認めている。これは、こうした機関が英国に永久認可を申請すると期待してのことだ。

英国はまた、EUの個々の金融機関に対し、英顧客への格付け付与など一部サービスを認めている。

英国は、英投資家によるEU域内の株式取引プラットフォームの利用を認める方針。

◎EUルールとの「かい離」問題とは

EUは幅広い同等性評価の付与を渋っている理由について、英国が今後もEUに類似したルールを維持するのを確認したいためだと説明している。そうすることにより、英国がEUより競争上優位なルールを設けるのを避け、中核的なサービスについてEUのシティー依存を断ち切りたい狙いがある。

英国はEUルールの一部について適用をやめ、保険会社の自己資本比率などのルールは変更し、投資会社に関しては独自のルールを導入すると表明している。

規制を総点検し、世界中のハイテク企業を誘致しやすいよう上場ルールを変える意向も示している。基準を引き下げることはせず、国際的に合意したルールを守るとも主張している。

◎ロンドンは「欧州一の金融センター」の座を譲るか

当面、そうしたことは起こらない。ロンドンは株式取引、為替、デリバティブ、資産運用会社の拠点といった側面で、今でもフランクフルト、ミラノ、パリを圧倒している。

金融機関は、英EU離脱に基づいて必要以上にロンドンから資本を移せば、市場の細分化を招いてコストがかかるだけだとしている。

しかし長期的には、仮にEUが同等性評価で厳しい姿勢を採ったり、EU内の金融センターが主要な資産クラスの取引で決定的な規模に達したりすれば、金融センターとしてのロンドンの魅力は衰えるだろう。

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