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変異種拡大のニュースが襲ったクリスマスのイギリス 「初動の遅れ」から「希望のワクチン」までの1年を振り返る

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今年、世界中で猛威をふるい続けてきた新型コロナウイルス。変異種の確認がイギリスで発表された12月14日以降、急速に拡大していることが分かり、世界50カ国以上があっという間にイギリスに対する入国制限をかけだした。

欧州各国が入国を遮断したことで、イギリスから欧州大陸に向かう物流の要となる英ドーバー港には大型トラック約5000台が滞留した。イギリスのスーパーの棚からはパンや野菜類の一部が姿を消しだした。「封鎖された国」という様相を呈してきたイギリスである。

イギリス国内の様子や「封鎖」に至った背景、ここ1年の対コロナ政策を振り返ってみたい。

失われたクリスマス 国際的孤立の発端は首相会見

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「クリスマス、中止」、「失われたクリスマス」。

12月20日、イギリスの新聞各紙はこんな見出しとともに険しい表情を見せるジョンソン英首相の姿を1面に掲載した。新型コロナウイルス感染症(「COVID-19」)の拡大阻止のため、日本の年末年始休暇にあたるクリスマス休暇を事実上中止せざるを得なくなったことへの衝撃を表していた。事態は深刻化している。

前日、首相はテレビ会見でロンドンとその周辺地域を最も感染の危険度が高い「警戒レベル(ティア)4」とし、3月の全国的ロックダウン(「都市封鎖」)をほうふつとさせる、驚くほど厳しい規制を課すことを宣言した。

しかし、国際的に大きな注目を浴びたのは事実上のロックダウンの開始というよりも、ジョンソン首相が明らかにした、コロナの変異種の感染力の高さだった。従来種よりも最大70%高いという。まもなくしてイギリスに対する入国制限が世界中に広がった。

「どこにも行くな、誰とも会うな、家にいろ」

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今回のロックダウンでは、該当地域に居住する人は、必要不可欠な仕事(例えば建設、製造業)、教育などの例外がある場合を除き、家にいるよう要請された。同居人以外とは、室内で会ってはいけない。

ほかの世帯の人に会えるのは屋外の公共空間(路上、あるいは公園など)にいる場合のみで、しかも別世帯の1人のみだ。

必要不可欠ではない小売店、屋内のスポーツジム、レジャー施設、パーソナルケア(美容院、理髪店など)は閉鎖。レストランやカフェはテイクアウトのみ営業が許される。

12月23〜27日までは、クリスマスの特別期間として、3世帯までが室内外で集うことが許される予定だったが、ティア4に住む人はこれも禁止された。危険度がティア4ほど高くないほかの地域(ティア1〜3)に行ってはいけないという。

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ティア1〜3の住民は、クリスマス当日の25日のみ3世帯での交流が許される。

以上がイギリスの人口の5分の4が住むイングランド地方の場合だ。

イギリスのほかの地方(スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)は若干ルールが異なるが、地方によってはイングランド以上に厳しい行動規制がつき、スコットランドの場合はイングランドとの行き来が禁止されている。

一言でいえば、イギリスは「どこにも行くな、誰とも会うな、家にいろ」という状態なのである。

遅すぎたロックダウン

ロックダウンの合間のロンドン・ピカデリー広場(9月、撮影筆者)

イギリス全体の現在の感染者数は約215万人(23日時点、政府統計)で、日本(約20万人=同日時点、厚生労働省)の10倍以上。COVID-19による死者は約6万9000人に達している。欧州内では最も死者数が大きい。イギリスの人口は日本の約半分なので、日本にそのまま当てはめれば13万人―14万人の方が亡くなっていることになる。

イギリスの一般市民が新型コロナウイルスの感染を認識するようになったのは、1月末頃、ウイルスの発祥地とされる中国・武漢が封鎖されたという報道だった。

2月に入っても、まだ他人ごとのような認識であったが、イタリアで医療崩壊が発生。次第に危機感が醸成された。

3月中旬、ジョンソン首相がテレビ会見で、人との接触機会を減らす「社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)」をするよう求めると、ただ事ではない感じが強まった。何しろ、「今晩から、劇場は閉鎖してもらう」と述べたからだ。あまりにも急であった。

そして、3月23日からは再度のテレビ会見で、不要不急の外出を禁止するロックダウンが宣言された。レストラン、美容院、スポーツクラブ、食料や衣料品を扱う小売店すべては閉鎖となり、働く人には自宅勤務が奨励された。公的交通機関もできうる限り、使わないこと。外に出かけるのは「医療サービスを受けるため」、「運動をするため(1日に一度)」、「食料を買うため」など特別な場合のみだった。

通りはゴーストタウンの様相を呈した。

公共交通機関の利用も、一時、ロックダウン前と比べて80%以上減少した。

政府が思い切った政策に踏み切ったのは、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの疫学者ニール・ファーガソン教授が「都市封鎖を実施しなければ、新型コロナウイルス感染症により50万人が命を失う」という恐ろしい状況を描いて見せたからだ。当時、イギリスの感染者は約1万7000人で、死者は約1000人。

後になって、ジョンソン政権は「ロックダウン開始が遅すぎた。あと2週間は前にするべきだった」と大きな批判を浴びることになる。

ロックダウンが3月末からになったのは、政府が経済活動維持を重視したため、と言われている。感染阻止を重視するのか、それとも経済活動も維持させるのか。この2者択一でその後も政府は悩むことになる。

防護セット、検査、病床が足りない

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2月時点で、政府は感染が拡大しても国営の「国民保健サービス(NHS)」は十分に対応できるとしていたものの、4月にかけて感染者数・死者数が急増。医療現場や介護施設の現場はパニック状態となった。

当初はCOVID-19がどのように感染するか、どのような特徴を持つかといった知識が十分ではなく、感染防止の体制作りにも時間がかかった。

医療崩壊を防ぐため、「NHSを救え」をキーワードとしたものの、実際には感染を防ぐために医療関係者が身に付ける手袋、帽子、眼鏡、ケープなどのセット(個人防護用具=PPE)が不足し、「まずは自分たちが感染しないこと」という基本部分の徹底が不十分となった。

医療崩壊対策で患者を移動 介護施設で2万人近くが死亡する結果に

看護師の中にはゴミ袋を体にまとってPPEの代わりにする場合もあった。NHSの医療関係者の間でも感染による死者が次々と出た。

また、医療崩壊を防ぐために軽症で入院中の患者は高齢者が入所者となる介護施設に移動させられたが、介護施設側でもPPEが不足した上に、移動する患者には事前にPCR検査が行われなかった(現在は改善)。

介護施設に移動予定の患者へのPCR検査が必須となったのは4月中旬だったが、この時までに2万5000人ほどの患者が移動。介護施設で働く人へのPPEの配布が遅れたこともあって、2万人近くの介護施設の高齢入所者及び職員がCOVID-19で亡くなってしまった。

検査体制の拡充にもかなり時間がかかったが、現在では最大60万回ほどの検査が実施可能で、累計約4800万回の検査が行われている。

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