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「最後の防波堤」医療現場の人件費を安く済ませるな

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感染症対策の現場で疲れ切ってしまった医師や看護師、看護助手や病院職員の方が次々に辞めてるっていうね。胸が痛む話だよ。医療の最前線で、感染の危険と常に隣りあわせ、そういう過酷な環境で働きながら、それに見合う待遇になってないことが主な原因。それじゃあ耐えようにも耐えられないだろうよ。

しかも、心無い患者から「コロナがうつるから近づくな」とか、差別的なことを言われるケースもあちこちであるって言うんだろ。ひどいね。平時が非常時になると、他人を思いやる気持ちが消えて自己中心的になる人が多くなってくる。そういう心無い人も、ひとりの患者として等しく接しないといけないんだから、医療関係者はたまらないよ。同情するよ。

コロナ前からあった医師・看護師不足問題

Pixabay

あのさ、日本って医師の不足はずっと言われてる問題で、先進国の中で比べると少ないことがデータにも出てるんだろ? それに看護師不足の問題も、コロナになる以前から元々あった問題だよ。

高齢化や医療費増の問題に対するために、国は消費税を上げる理由として「社会保障に充てるため」って言ってきたけど、本当にそれが成されているのかな・・・?

多くの病院が経営にコストカットを取り入れ、正規職員を減らして嘱託を増やしたりして・・・。その結果、余裕の無い、非常時に弱い、そういう体制になってたんだ。そこにコロナが襲来した。

コロナみたいな感染症が起きるなんて想定外なんだから仕方ない・・・って意見もあるかもしれない。でも、世界各地で起きている感染症の傾向を知る専門家から見れば、いつどこでいまみたいなパンデミックが起きたっておかしくないって警告もされてたわけだ。想定外のひと言では片付けられないよ。

それに、想定外を想定して想定内で対処するのが政治であって、「備えあれば患いなし」「転ばぬ先の杖」・・・、将来への備えに対し、いかに予算をつけていけるかで、国も自治体も、国防や防災の底力が問われるんだ。

誰にでも見えやすい想定内のことをするのは難しくないよな。見えづらい想定外のことをするチカラ、未来の危機管理を指揮するチカラが政治家や官僚の手腕だよ。今年一年を振り返って、日本の危機管理能力、危機対処能力がどんなレベルだったか? ついつい我が家にも配られたあの2枚の布マスクに目が行っちゃうよ・・・(苦笑)。

よく、「税金の無駄使い」っていう指摘がある。俺も口にするよ。でもそこには2種類の「ムダ」がある。「いいムダ」と「悪いムダ」。長い目で社会の為になるものは「いいムダ」だけど、場当たり的で、特定の団体や企業だけが潤うばかりのものは「悪いムダ」だよ。これを見極める目を、国民も磨いていかないとな。

「技能実習生」という聞こえのいいピンハネ制度

BLOGOS編集部

とにもかくにも、医療のひっ迫、看護師不足は迅速に対処を施すしかないよ。まず、いま現在、感染症対策に従事している医師や看護師が現場を守り続けてくれるよう、待遇のアップや特別手当の方針を政府が具体化する。

次に、休職している看護師の方が現場復帰を検討したくなるような条件の見直しだ。早い話が基本給の底上げだよね。

そして、これから看護師になる若者を育成する看護学校への補助、学費免除など、未来への投資もきちんと見直す。

ところがさ、いまこの国が進めているのは、そういう人材の不足を海外の若者で補う「技能実習生」みたいな制度だったりするんだよ。あれって結局、海外から若者を呼び寄せて、安く働かせてたりするんだろ?

人材を送り出す側と、受け入れる側で、それぞれで何かしらの金を徴収したりしてさ、これって国と国をまたいだタチの悪い「ピンハネ」なんじゃないの・・・。 

「技能実習生」なんてコトバは聞こえがいいけど、言い換えれば「日本で技能を覚えるために学んでる間は一人前じゃないんだから働いても給金安いのは当たり前だから文句言うなよ実習生」って感じがするよ。

よくさ、「日本は労働力不足」って言うけど、あれって「日本は『安く使える』労働力不足」って見方も出来るよね。いま、看護師さんたちが次々に現場を離れてしまうのも、海外からの技能実習生が様々な問題に見舞われているのも、根っこがつながっている気がするよ。それは、働く人へのリスペクトがとても低く見積もられているってこと。

菅さん、ケータイ電話の料金を安くするとか言ってるけど、ケータイの料金はそのままでいいから、給料や時給が上がったほうが「働きがい」や「生きがい」がアップして、みんな嬉しいんじゃないの? 

「それは腎臓です」初めての手術でヒヤリ

故・日野原重明氏/共同通信社

でね、看護師さんって以前はみんな頭に帽子をかぶってたよね。頭にちょこんと白いのを乗っけてたよ。ナースキャップってやつだな。あれ、最近あまりかぶってないよね。年々減ってるのかな、どうだい編集部?

編集部)ええとですね、ナースキャップの使用は全国的に減ってまして、衛生の問題だったり、機能的でなかったり、男性看護師の増加だったり、幾つかの理由があるようです。2000年代に入ってから廃止するところが拡がっています。

ああ、やっぱりそうなんだ。でもね、看護師さんは帽子かぶったほうがいいよ。遠くからでもわかるし、威厳が出るよ。看護師さんにたやすく失礼なことを言う患者も減るんじゃないの? 帽子はかぶったほうがいい。なんたって、感染ボウシになるからね(笑)。

そうそう、看護師さんがいかに大事かっていう話があって、俺が敬愛する聖路加病院の院長だった故・日野原重明先生がしてくれた話なんだけど、日野原先生がまだ駆け出しで、初めての手術をする時にものすごく緊張してたんだって。医学生が研修で模擬的なことをするのと、現場で本物の手術をするのとでは全然違ってて、万がいち何かあったら命に関わるという責任感からか、すごい緊張だったらしいんだ。それが「肝臓」の摘出手術だったんだけど、手術を始めた矢先に看護婦長が日野原先生を止めたんだって。で、こう言ったの「それは腎臓です」。

日野原先生、そのあと気持ちを取り直して、何とか手術を終えることが出来たんだって。でも、もしも看護婦長さんがアドバイスしてくれなかったら、とんでもない医療事故を犯してたわけだよ。そしたら日野原先生という稀有な人材は医学界に存在しなかったかもしれない。日野原先生、その婦長さんにすごく感謝してたよ。

・・・だけどこの話、「蝮さんだけにするけど」なんて言ってたから、もしかしたら日野原先生ならではの作り話かもしれないけどね(笑)。

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