5年連続で軽自動車ベストセラーの座に君臨するホンダ「N-BOX」がマイナーチェンジを実施した。売れている車種だけあって大きな変更点はないが、その中でデザイナーやエンジニアが手を入れた箇所とはどこなのか。事前説明会での情報を中心にお届けしよう。

日本で最も売れているクルマ「N-BOX」がマイナーチェンジ。どこが変わった?
なぜN-BOXの人気は根強いのか
全国軽自動車協会連合会が発表した今年11月の車種別新車販売台数によると、ホンダ「N-BOX」は昨年12月から12カ月連続でトップの座を守り続けている。2020年1月からの累計販売台数は18万2,557台に達した。2位のスズキ「スペーシア」は12万9,104台、3位のダイハツ工業「タント」は12万106台なので、2位以下には5万台以上の大差をつけていることになる。12月中の逆転は難しそうなので、2014年からの6年連続年間ベストセラーはほぼ確実だろう。だからこそ、12月24日のマイナーチェンジに対しては「必要ないんじゃない?」という声も聞こえてきそうだ。

新型「N-BOX」にはノーマルとカスタムの2種類があり、それぞれで「G」「L」「EX」の3グレードが選べる。ターボはLとEXに設定。コーディネートスタイルはLで選択可能だ。価格はノーマルが142.89万円~202.29万円、カスタムが176.99万円~223.3万円。このほかにスロープ仕様の用意がある
なぜN-BOXの人気は根強いのか。マイナーチェンジ発表の事前取材で本田技研工業 商品ブランド部 商品企画課の樽谷眞氏は、同社の創始者である本田宗一郎氏の「ユーザー目線で考え、既成概念に囚われない」という教えに言及しつつ、軽自動車の常識を破る空間、質感、走りなどでゲームチェンジを狙ったことがN-BOXの成功に結びついたと解説した。
車体後部のフロアを低くしてスロープ状にした車種を初代から用意したことも新しい提案だったという。他車の車いす仕様車のような扱いとせず、普通のバリエーションとしてラインアップに加えたことで、自転車や耕運機を乗せて運ぶなど、幅広い使い方に対応することができた。その結果としてユーザー層が広がったそうだ。

スロープ仕様がユーザー層の拡大に一役買っている
似ているようで違う顔つき
説明会場には新型N-BOXの他に「N-WGN」、「N-VAN」、そして、先月フルモデルチェンジを実施した「N-ONE」も置かれていた。「N for Life」をコンセプトに掲げる「Nシリーズ」の4台だが、11月の販売台数を見るとN-BOXが1万5,000台以上であるのに対し、他の3車種はいずれも5,000台に届いていない。ホンダとしてはN-BOXを「Nシリーズ」の牽引役に位置付け、プラットフォームやパワートレインを共用しているシリーズ全体のアピールにも注力していく方針だ。、
ホンダの軽自動車商品群「Nシリーズ」
マイナーチェンジなので変更点はフロントまわりに留まるが、まずノーマルはグリルのスリットやクロームメッキの帯の位置が異なり、バンパーの開口部にもクロームのバーを入れている。ヘッドランプも瞳のような奥行きを感じるようになった。

ノーマルのフロント
カスタムはグリルやバンパーの開口部を広げた。ヘッドランプを貫くように左右に伸びたクロームメッキのバーは、ノーマルのグリルと同様に凝った造形になった。バンパー開口部左右を囲むようにクロームが追加され、ナンバープレートの取り付け位置が中央に移動したことも特徴だ。いずれも押し出し感を強調したという。

カスタムのフロント