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  • WEDGE Infinity
  • 2020年12月24日 10:19 (配信日時 12月24日 08:46)

アップルの自動車参入で起きることとは? - 土方細秩子 (ジャーナリスト)

テスラ株の時価総額がトヨタを超えて自動車業界でトップになった、というニュースは業界にショックを与えた。しかし企業価値全体で見ると自動車メーカーはまだ下位にある。株式の時価総額、市場規模で言うとトップはサウジアラビア・オイルカンパニー(1兆6840億ドル)、2位マイクロソフト(1兆3590億ドル)、3位アップル(1兆2850億ドル)、以下アマゾン、アルファベット、フェイスブックと続く。自動車業界トップのテスラ時価総額は6110億ドルだ。

(Robert Way/gettyimages)

VW会長のツィートの意味

近い将来、自動車メーカーが世界のトップ10入りを果たす、と予言しているのはフォルクスワーゲン(VW)グループ会長、ヘルベルト・ディース氏だ。同氏は自身のツイッターで「業界が大きな変革を迎えるに当たり、新たな競合が参入し新しいスキルをもたらすことを歓迎する」とし、EV化への波の中で従来の自動車メーカーの枠組みを超えた新しい価値が生まれ、自動車メーカーが再び世界のトップに返り咲く、と考えるが、それは「テスラかもしれないしアップルかもしれない、そしてもちろんVWでもありえる」と付け加えている。

ディース氏がアップルに言及したのは、もちろんアップルが2024年から一般向けの自動運転を兼ね備えたEV販売に乗り出す、というニュースを受けてのことだ。

このアップルカーについては以前から噂が絶えず、テスラのイーロン・マスク氏が「会社経営が最も苦しかった時代、アップルにテスラ売却を打診したことがある」という爆弾発言も飛び出した。

アップルには「プロジェクト・タイタン」と呼ばれる自動車部門が存在するが、中々その全貌が見えてこなかった。

VWのような大企業が警戒するのは、もし本当にアップルが車を販売し始めたら、現時点で世界3位の時価総額、さらにはフォーブス誌による「世界で最も価値あるブランド」では長年トップを走るアップルだけに、いきなりメガヒットになる可能性があるためだ。

ライバルとなるのはテスラではあるが、この2つの企業の相乗効果で車のEV化が一気に進み、年間数百万台のEVが売れて、これら企業が自動車業界はおろか世界の企業全体でもトップに躍り出る可能性がある。既存の大手メーカーもうかうかしてはいられない、という気持ちがツイッター発言に現れている。

アップルが車、というといかにも唐突だが、EVの特性を考えれば車作りを行っていないメーカーでも参入の壁は低い。実際に多くの新興メーカーがEVを製造しているし、今年のCESではソニーによるEVも発表された。エンジンではなくモーターで動く、という点で家電メーカーや電子機器メーカーもEVを作ろうと思えば作れるのだ。

LGと大手自動社部品メーカーの提携

その象徴となりそうなのが、韓国LGと自動車部品メーカー大手のマグナ・インターナショナル(カナダ)による提携発表だ。このジョントベンチャーは総額10億ドルとも言われる。内容は両社が協力してEV向けのモーター、インバーター、オンボードチャージャーを製造し、EVプラットホームとして販売する、というもの。米中及び韓国での販売を目指す。

ジョイントベンチャーによりGM、ランドローバー、ジャガーなどへのEVのプラットホームの提供が予定されているが、他の企業への浸透も図っており、EVの共通プラットホームとなる可能性もある。もしアップルがこのプラットホームを採用するようなことがあれば、一気に世界のトップに躍り出るかもしれない。

しかもこれからのEVは自動運転とセットとなる。アップルが最初から自動運転を組み込んだ車を発売する予定だ、と報道されているが、テスラも自社の自動運転の精度を今後どんどん上げていき、ソフトウェアのアップデートを行う。またウェイモ(グーグルの自動運転部門)は以前から自動運転車両のデモンストレーションを行っているが、自社で車を販売するよりもこの自動運転システムを他社に販売するのが目的だ。

そのため自動車メーカーには車体の開発だけではなくAI、IoT、スマートハイウェイのためのインフラなど様々な要素が付加される。総合的に時価総額も上がり、ディース氏の予言通り世界のトップ企業に名を連ねることになるかもしれない。それがアップルなのか、テスラなのか、それともトヨタを含む既存の大手メーカーなのか。自動車業界が大きな変革の中にあることだけは確かだ。

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