世界中でギフトカード・デジタル決済などを提供するブラックホーク・ネットワークの調査によるとギフトカードへの支出は今年、前年に比べて19%増加するとしている。
半数以上の人たちがギフトカードへの支出を増やすとし、前年の2倍となる10枚のギフトカードを平均で購入するとしているのだ。
データ分析のインマーケットの調べでも12月に入ってギフトカード購入は前年同期比で2倍になっている。
ギフトカードなら購入する側も買い物中に商品を介しての感染リスクは下げられる。またクリスマス当日に贈っても間に合う。eギフトカードならメールで簡単に送れるのだ。
プレゼントを貰う方も感染リスクは最小限になる。何よりクリスマス後、自分の好きな商品をギフトカードで購入できる。
お店にとってはギフトカードほどありがたい商品はない。特にパンデミックの影響で大きな損害を出したモールをベースにするチェーンストアにとって今年、ギフトカードは恵みの売上になる。
ギフトカードで購入されると返品が発生しない。貰い手が好きな商品を購入するからだ。
しかも多くがギフトカードの額面以上で買い物をする。例えば50ドルのギフトカードで貰い手が30ドル分余計にだして80ドルの商品を購入するのだ。
ギフトカードで買い物をするお客は、商品が値引きされなくても正規の価格で購入する傾向が高い。例えばベッドバス&ビヨンドに行ったことがない人が、同店のギフトカードを貰うと、お店に行く機会を与えることになる。新規客をリピーター客にすることも可能となるのだ。
クリスマス後などオフシーズン中に売上増が見込まれるメリットも見逃せない。
そして大きな声では言えないが、ギフトカードの未使用という店側にとって最も大きな利点がある。例えば100ドルのギフトカードが使われなかったら、店側にとって100ドル分の借金が帳消しになるのだ。
マーケイター・グループ・データを分析したCBSニュースでは毎年、30億ドル(約3,100億円)分のギフトカードが未使用になっていると明らかにしている。
ギフトカードで最も人気となるのはネット通販最大手アマゾンのギフトカードだろう。ショートメッセージでも送れるeギフトカードにプラスチック型のギフトカードもあり、額面1ドルから送ることが可能だ。
なによりネットで購入できるという利便性に買えないものはないのかと思うくらいの品揃え、そして安さにアマゾン人気があるのだ。
残念ながらコロナの影響でギフトカードの売れ行きが特によくないチェーンがある。コーヒーチェーン最大手のスターバックスだ。例年に比べ店に来る客が少ないことからギフトカードが売れないのだ。
eギフトカードはなんとか持ちこたえていることもありスターバックスは23日、25ドル分のギフトカードを20ドルで購入できる販促を行っている。23日限りだが、スターバックス・アプリを介して20ドルのギフトカードを購入すると5ドル分を進呈するというキャンペーンだ。
ただギフトカードを購入しても、コロナの影響でそのチェーンストアが破綻し企業清算した後では使えなくなってしまう消費者側のリスクもある。ギフトカード渡す側もこういったところを見極めてギフトカードを選ばなければならないのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。誕生日プレゼントからクリスマスプレゼントまで、貰ったモノでも気に入らなければ返品するのがアメリカの消費者スタイルです(笑)。
コンシューマーレポート誌の調査では、42%の人がプレゼントでもらった商品をお店に返品したことがあるとしています。良い・悪いは別にして社会が成熟するとあらゆるものの選択肢が増えるため、結果として個人の趣味趣向が多様化します。
モノがなかった時代に育った世代には高級品というだけでありがたみがありますが、今の若い人は自分の嗜好に合わなければ高額品でも価値を見出しません。贈り手側がプレゼントを選んだ時間に価値があると言っても、貰う側の価値観をハズしていれば却下。
「買えないものがないのでは?」と思うようなアマゾンで生まれた時からずーと買い物をしている世代の考えでしょうか。アメリカより10年以上遅れてはいますが、日本でもギフトカードが徐々に浸透しているのもその理由です。消費者の価値観も世代によって異なるということ。
アメリカには結婚や出産などで、お祝いされるほうが先に貰うモノを選ぶというギフトレジストリーがあります。これを「けしからん!」という世代が今後縮小することにより、日本でも浸透していきます。