袴田巌さんの再審請求を認めた静岡地裁の再審決定を東京高裁が取り消した時は、あまりのことに言葉を失ってしまったのだが、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は12月22日付け決定で東京高裁決定を取り消し、審理を東京高裁に差し戻したことが、今日、明らかになった。
「高裁決定は審理を尽くした上での判断とは言いがたい。著しく正義に反する」とその差し戻し決定の理由を述べているそうだ。
袴田弁護団の皆さんの渾身の弁論、弁護活動が遂に最高裁を動かすに至ったということだろう。
高裁に審理が差し戻しになっただけで、再審が確定したわけでも無罪判決が言い渡されたわけでもないが、原審の決定を取り消し、差し戻しの決定を出すための決まり文句の一つだとは言え、最高裁が「著しく正義に反する」とまで言い切ったのだから、少なくとも袴田さんにとって再審への道が大きく開かれてきたことは間違いないだろう。
袴田さんの事件そのものについては、私はコメント出来るような材料は何も持ち合わせていないのだが、弁護団の皆さんの活動報告やマスコミの報道等を通じて、再審への道は何としても開いて欲しい、と願ってきたのだが、弁護団の皆さんの活躍と最高裁裁判官の賢明な判断で、とりあえず再審開始決定を取り消した東京高裁決定が取り消されたことはよかった。
最近は、最高裁のみならず、「著しく正義に反する」と言わざるを得ないような事象がしばしば目の前を去来する。
森友学園事件然り、桜を見る会前夜祭然り。
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- 2020年12月23日 19:30