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ぼくがJASGAの事務局長を務めることになったワケ

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 ソーシャルゲーム協会JASGA。ジャスガと申します。
 この協会が作られるきっかけとなったのは、コンプガチャ問題です。

 2012年5月、消費者庁がコンプガチャを景表法で禁止されている「カード合わせ」に該当し、規制の対象となるという見解を示しました。業界としても問題は自覚をしていました。だから事前に水面下で消費者庁と話しつつ、自主規制で健全化を図ろうと動いていました。
 ぼくはそれまでこの動きと強いつながりはなかったのですが、業界の対応にも、政府の動きにも、危惧を抱いていました。

 DeNAとGREEのように裁判を起こすほど熾烈な競合関係にありながら、業界はこの危機に対応して、連携する動きを見せていました。しかし、踏み込みが甘く、遅くはないか。かつて成長産業に政府が介入してきた歴史からみて、のろのろしていると、成長産業の芽を摘むような仕打ちが来てもおかしくないぞ。

 案の定、消費者庁は規制に動きました。ただ、これに対し、消費者庁と、経産省、総務省らのスタンスの違いも見えました。健全化への要請と、成長産業への期待との対立です。この問題に関心を持つ国会議員から消費者庁の行動への疑問も聞こえました。

 まずい、と思いました。ぼくは個人として初めてパブコメに自分の意見を提出しました。ブログにも書きました。「コンプガチャ通達、要するに反対。」(2012年6月27日)
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/06/blog-post_27.html

 論点は2つ。1)恣意性について、2)国際性について。

 1)国民の権利義務を変更するのに、法令ではなく、行政内指針である「通達」で行うのは恣意的であり、不透明である。社会経済に不安定をもたらし、日本市場に対する投資家の信頼も下げる。

 2)諸外国で敷かれていないオンライン規制を国内に適用すると、海外の事業者が海外サーバで行うケースが増大する。消費者保護の観点からも、産業政策の観点からも効果が薄い。

 その後、政府関係者と話を続けました。内閣官房・知財本部のかたがたとも、健全化と成長の2元方程式について相談しました。与党・民主党、野党・自民党の国会議員のかたがたにも業界代表を紹介しつつ、業界の立ち回りかたを相談して参りました。

 ぼくが政官界と業界の双方に申し上げてきたのは、以下の3点です。

1) 産業界は自主規制に力を入れ、政府の介入は最小限にすべき。
2) 政府は業界の健全化以上に、長期的な国際競争力の向上に力を入れるべき。
3) 政官産が連携して健全化と産業発展の両立を果たすべき。

 業界としても、団体を作る方向で議論が進みました。行きがかり上、ぼくも参加することになりました。自主規制を行う方法としては、青少年のネット安全に際しフィルタリングの第三者機関EMAを作ったように、業界と独立の機関を作る方法もあります。あるいは多くの運動体を束ねた安心ネットづくり促進協議会(安心協)のような団体を作る方法もあります。

 さまざまな調整を経て結局、業界団体としての社団法人を形成し、その中に第三者機関的な評議委員会を作ることにしました。業界の代表が責任を持って問題に当たることを前面に出すと同時に、中立的な対策を取る組織とするわけです。

 その際、最大の課題は、プラットフォーム事業者やゲームサプライヤーなど熾烈なライバル関係にある関係企業が一つのテーブルにつく構図、一枚板になれる組織を構成できるかどうか、でした。関係者の多大なる努力、それは危機意識をバネにしたものではありましたが、大量の汗を流した結果、一つの解に行き着くこととなりました。

 そうなると、残る課題は「中立性」です。業界の内輪によるお手盛りの対応になるのではないか。健全化とか正常化とか言ってもしょせんはナアナアになるんでしょ。その厳しい視線を跳ね返してくには、相当の中立性・客観性が求められます。

 その条件は2つ。パワフルで独立した評議機関を置くこと。そして、事務局が中立のガバナンスを効かせること。

 前者は堀部政男師匠をヘッドにして、厳しい委員のかたがたにチェックしていただくことが了承されていたので、心配御無用。問題は事務局機構で、当初は理事会社からの出向で発足するとしても、中立性を保つクサビが必要。とうとう、ぼくが引き受けざるを得なくなった次第。

 けっこうリスクが高い。ぼくとしては。これまで「ちゃんとしなさい」と言ってればよかったのが、これからは「ちゃんとします」と頭を下げる立場。しかもそれは、ソーシャルゲームに対する世間の怒りや不安を浴びる先頭でありますから。ボコられる正直、ぼくの周りでは引き受けることへの反対が強かった。

 ただ、ここで間違うと、ソーシャルゲームという、ひょっとすると今後の日本を引っ張ってくれる産業をしぼませることにもなりかねない。政策屋としては、割に合わないが取らなければならないリスクと判断しました。

 リスク。あります。漂う社会不安に対し、成果が出せるのか。不十分だった場合、さらなる規制が入ったり、第三者機関を設立したりすることになるのではないか。そして、業界内部のせめぎ合いをまとめることができるのか。協会設立の共同記者会見にも両代表が同席するのを実現できず、さっそく今後に不安を見せたのではないか。さらに、RMTを未だ放任するネット事業者や、GoogleやAppleなど海外のプラットフォーマーにも影響力を行使できるのか。

 でも、まずはこぎ出すことが大事。ぼくは、目の前の問題を早期に片づけて、大きく成長するための運動に乗り出したいと考えます。80年代、任天堂の山内会長がMITへの5億円の寄付を通じて、ゲーム業界の発展可能性を唱えさせた。90年代終盤、セガの大川会長がドリームキャスト発売を前にして、MITへの35億円の寄付を通じて子どもとメディアのポジティブな研究をゲーム業界が主導することを示した。こうした未来開拓をソーシャルゲーム業界の若い経営者にも期待したい。

 ソーシャルゲームはコミュニケーション力を高める。ソーシャルゲームは豊かなコミュニティを育む。ソーシャルゲームをすれば頭がよくなる。そんな新しい文化、新しい産業を形成してくれることを願いつつ、この新組織の業務をスタートさせます。

 ご指導のほど、お願い致します。

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