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“風刺ネタ”が賛否両論のウーマンラッシュアワー 漫才技術の高さこそ魅力

ニュースを「笑い」に転化する技術が売り(時事通信フォト)

“風刺ネタ”が今年も賛否両論を巻き起こした。12月6日に放送された『THE MANZAI』(フジテレビ)で、お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーが得意の社会風刺を取り入れた漫才を披露。視聴者からは「お見事!」と評価する声があがる一方、「不快だ!」と批判する意見も寄せられ議論となった。

 好意的な意見は著名人からも寄せられている。かつて「日本のお笑いはオワコンだ」と批判したこともある脳科学者の茂木健一郎氏は、自身のYouTubeチャンネルで12月6日に「日本の笑い、世界の笑い」と題した動画を公開。次のように語っていた。

「我々がともすれば不安になったり恐怖を感じたり、社会的にタブーになったりするような、凝り固まっていってしまうようなものがあるじゃないですか。それを解きほぐすのが笑いなんですよね。というか、笑いはそういう可能性を持っているわけですよ。だったら、社会ネタとか政治ネタとか、当然やってもいいじゃないですか。やらない理由がないでしょ?」

 一方で、批判が相次いでいるのも事実だ。SNS上では「お笑い番組で特定の思想を主張するべきではない」「思想に共感できないから笑えない」といった意見も続々と寄せられている。なかには、不快に感じてチャンネルを変えてしまったという視聴者もいたようだ。

 一部の視聴者が不快な気分を味わう可能性があるにもかかわらず、なぜテレビ番組で風刺ネタをやる必要があるのだろうか。お笑いタレントでジャーナリストとしても活躍するたかまつなな氏は、むしろ「やれないほうがおかしい」と主張する。

「社会の矛盾や権力者への批判を笑いで伝えられないというのはおかしいです。 NHKなど公共放送が、その社会的意義を再認識し、テレビでの特集などをやった方がいいと思います。

 アメリカでは、コメディアンがどのようにニュースを扱うのか注目されています。笑いでニュースを知ったり、物事を深く考えたり、その意味合いを考えたり。身近に知るだけではなく、思考を深くできる。気づくことができる。森友の公文書を改ざんするとはどういうことなのか、桜を見る会の招待者名簿を廃棄することには、どういったおかしさがあるのか。

 なぜ風刺ネタをやる必要があるのか。今の政治状況をみて、わからないぐらい平和ボケ、政治的無関心が高まっていることを残念に思います」(たかまつなな氏)

 ただし留意しておかなければならないこともある。風刺ネタを取り上げたとしても、あくまでもお笑いとして成立していなければならないという点だ。政治について言及さえすれば、どんな芸でも面白いと言えるわけではないのである。

 こうした点で、お笑い評論家のラリー遠田氏は、ウーマンラッシュアワーの漫才について「言いたいことを言っているというだけでなく、ちゃんと技術があってちゃんと面白い、っていうところを評価すべき」だと主張する。

「ウーマンラッシュアワーは、コンテスト形式だった2013年の『THE MANZAI』で優勝した経験もあり、実力派漫才師として知られています。村本大輔さんが一方的にまくし立てるようにしゃべりまくり、相方の中川パラダイスさんがその間隙を縫って相槌を打っていきます。

 形式としては漫談に近いように見えるかもしれませんが、かつての『漫才ブーム』の頃に活躍したB&B、ツービート、島田紳助・松本竜介なども同じようなスタイルでした。彼らの場合、フロントマンである島田洋七さん、ビートたけしさん、島田紳助さんのしゃべりの技術が突出しているため、それを中心にして漫才を組み立てていました。ウーマンラッシュアワーの漫才もその系譜にあると言えます。

 政治風刺的な内容ばかりが注目されがちですが、早口でよどみなくしゃべり続けて、最後にきっちりオチをつける技術の高さはもっと評価されてもいいと思います」

 ウーマンラッシュアワーは漫才の中で、政治家やニュースキャスターは「悲しい話を悲しいようにしか伝えない」と語っていた。しかし自分たちお笑い芸人はこうした話題を“面白い話”として伝えることができる、と。それは裏を返せば、自分たちが磨いてきたお笑いのスキルに自信があるということでもあるのだろう。

 社会や政治を風刺するというだけで賛否両論が巻き起こっているようでは、まだまだ“日本のお笑いを めぐる状況はオワコン”なのかもしれない──。

◆取材・文/細田成嗣(HEW)

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