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野田佳彦首相はオバマ大統領を総選挙のPRに利用、大切なインドのシン首相の来日は、衆院解散で反故にした

野田佳彦首相は11月18日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議(11月18日〜20日)に出席するためカンボジアの首都プノンペン入りした。だが、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領との個別会談は見送られる見通しであるうえに、例年の日中韓首脳会談も今回は行わない方向であり、オバマ米大統領と20日にプノンペンで予定されている日米首脳会談で、環太平洋連携協定(TPP)を推進する立場を改めて伝える方針だともいう。

尖閣諸島、竹島問題で日中、日韓関係がこじれているとはいえ、総選挙(12月4日公示、16日投開票)控えて、これでは、中国、韓国が、「野田佳彦首相の落選」を願っているに等しい。オバマ米大統領に、「TPP交渉参加」表明するためにカンボジアを訪問したのであれば、何も温家宝首相、李明博大統領に嫌われて、相手にもされず、恥ずかしい思いをするだけの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の場で、米中外交をする必要はない。堂々と訪米して、ホワイトハウスで「TPP交渉参加」を表明して、記者会見し、世界にアピールする方が、余程よい。

オバマ米大統領にしても、総選挙の結果、政権の座から引きずり降ろされる可能性が大である野田佳彦首相の「TPP交渉参加」の表明などどこまで信用するであろうか。はなはだ疑問である。総選挙のPRに利用しようとしていると先刻承知のはずである。農協や日本医師会などを選挙地盤にしている自民党がTPP交渉参加に慎重姿勢を示しているのであるから、自民党・安倍晋三政権が誕生すれば、野田佳彦首相の「TPP交渉参加」表明は、たちまち反故にされてしまうに違いないからだ。野田佳彦首相のこんな小賢しい、姑息な外交は、日本の品位を貶めるだけで、マイナスである。

時事通信社jijicomは11月18日午後6時19分、「野田首相、カンボジア入り=20日、日米首脳会談」という見出しで、以下のように配信した。

「【プノンペン時事】野田佳彦首相は18日午後(日本時間同)、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するため、仁実夫人とともに政府専用機でカンボジアに到着した。オバマ米大統領と20日にプノンペンで会談、環太平洋連携協定(TPP)を推進する立場を改めて伝える方針だ。日米首脳会談はオバマ大統領の再選後初めて。首相は出発に先立ち、首相公邸前で記者団に「安全保障、経済、人的・文化的交流を含めて、日米同盟がさらに深化する展望を持った議論をしたい」と述べた。会談では、中国の活発な海洋進出で安全保障環境が激変するアジア太平洋情勢についても協議する。首相はASEAN各国首脳との会議や、米中韓首脳らも交えた東アジアサミットに出席。ミャンマーのテイン・セイン大統領、インドのシン首相とも個別に会談する。一方、沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島をめぐる対立を背景に、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領との個別会談は見送られる見通し。例年の日中韓首脳会談も今回は行わない方向だ」

野田佳彦首相が、外交をないがしろにしていることは、インド外交にも如実に表れている。シン首相が11月16日に訪日する予定だった当日に、野田佳彦首相は、衆院を解散してしまったのである。民主党内で総意となっていた「野田降ろし」の動きに大ショックを受けて、狼狽し、激怒し、その挙句、大事なインド外交を犠牲にしてまでして、国益よりも自分の感情を最優先したのだ。読売新聞は11月15日午後8時43分、「解散表明余波…出発直前に訪日延びたインド首相」という見出しで、次のように報じている。

「【ニューデリー=田原徳容】野田首相は15日、解散表明を受けて同日からの訪日を延期したインドのシン首相と電話で会談した。インド外務省によると、野田首相は、シン首相に『重要な話ができる状況にない』と説明し、遺憾の意を示したという。同省によると、電話会談は数分間。両首脳は、シン首相の訪日日程を再調整することを確認したほか、16日に予定されていた首脳会談で署名することになっていたレアアースの対日輸出など両国間の合意事項について、早期の署名実現を約束した。インド側では、日本へ出発する直前の解散表明で訪日延期を余儀なくされたことへの不満もくすぶっているという」

シン首相は、訪日直前に日本のマスメディアの取材に応じ、尖閣諸島問題など領土問題について日本に理解を示し、親日的な姿勢を表明していた。インドは、日本と中東を結ぶ「シーレーン」を臨む位置にあり、日本の生命線を守るうえで、戦略上、極めて大切な国である。

一方、インドは、中国との間でカシミール問題という国境紛争に加え、中国の侵略にあい、チベットから逃れてきたダライ・ラマの亡命政権を抱えて、「核戦争の危険」に曝されている。この意味で、日本との親密な外交関係の深化と維持を心から望んでいる。にもかかわらず、野田佳彦首相は、その期待を裏切ってしまったのである。

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