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「自動車ビジネスが崩壊」豊田社長の苦言にひろゆき氏「“エネルギーとエコにはハイブリットだ”と世界に喧伝するべきでは」


 2030年までにガソリン車の販売をゼロにするという政府の方針に対し、トヨタの豊田章男社長は「自動車ビジネスが崩壊する」とまで苦言を呈した。

 豊田社長は17日、自身が会長を務める日本自動車工業会のオンライン懇親会で、「自工会としては2050年のカーボンニュートラルを目指す菅総理の方針に貢献するため、全力でチャレンジすることを決定した」と、業界を代表して温室効果ガス削減に向けた取り組みを進める方針を見せた。

【映像】「自動車ビジネスが崩壊」豊田社長が苦言

 しかし、チャレンジであると同時に懸念も。「サプライチェーン全体で取り組まなければ国際競争力を失う恐れがある。夏の電力使用のピーク時に全部EV車であった場合は電力不足。解消には発電能力を10~15%増やさないといけない。原発でプラス10基、火力発電であればプラス20基必要な規模だということをご理解いただきたい」と述べた。

 豊田会長は電力供給や電気自動車生産の際にも二酸化炭素が排出される懸念があること、充電インフラの整備に14兆円から37兆円が必要になるなどコストを計算。目標達成のためには、自動車業界だけでなく国のエネルギー政策の大転換が欠かせないとした。さらに、電気自動車への急激な転換は自動車産業に負荷を与え、雇用にも打撃を与えるとし、ハイブリッド車などの必要性を訴えた。

 自動車の低炭素化は環境にどのような影響をもたらすのか。実現するために政府と業界がすべきこととは。


 EV化と電力の問題について、経済ジャーナリストの井上久男氏は「EVが普及すると日本では原発が必要になると豊田社長が言っているのはその通りだが、正論が必ずしも国際ルールになるとは限らない。またEVについていうと、本当に推進していいのかということは業界を見ていて思う。今のエネルギーの状況だと製造工程でかなりCO2が出て、10万km以上走行しないとガソリン車と同じぐらいにならないんじゃないかという見方もある」と話す。

 一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、EV化は自動車メーカーではなく政府の問題だと指摘。「なぜヨーロッパで電気自動車が普及したかというと、政府のお金で街中に電気スタンドをガンガン作ったから。街中で充電できたり、駐車場代わりに電気スタンドがあったりするなど、インフラを作ったから電気自動車が売れた。でも日本はいまだに政府がそういうものを作っていない。いくらトヨタが頑張って電気自動車を作っても、街中で充電できない不便な物を誰も買わないよねとなってしまう」と述べた。


 また、ビジネスモデルが崩壊してしまうという豊田社長の苦言に関して井上氏は、「EVになると部品点数が減るのかというと、減ると思う。例えば、マフラーやエンジンの動力を伝えるような部品、燃料ポンプもいらなくなる。ただ、EVになると見えないような形でソフトウェアがかなり増える。豊田社長が一番警戒しているのは、実はEVのスマホ化だ。テスラの車と今出ているEVは、中を剥いでいくとソフトウェアの構造が全然違う。テスラの車はスマホで、ソフトウェアをアップデートすることで車に付加価値(をつけ)、ハードが古くなっても車は古くならないというビジネスモデルだ。トヨタや他のメーカーがやっているEVは似て非なるもの。だからトヨタはそういうところをものすごく警戒していると思う」との考えを示した。

 テスラに関しては、今年7月1日に時価総額が約22兆6000億円とトヨタ自動車(約21兆7185億円)を上回り、7月13日には日本上場メーカー9社の合計34兆4705億円を上回った。年間の販売台数は、テスラが37万台、トヨタが1000万台という規模の違いがありながら、マーケットから大きな評価を受けている。


 井上氏は「世界的なEV化の推進、二酸化炭素の削減というのは投資家側からの圧力もある。いわゆるESG投資ということで、『環境問題に取り組まないと投資対象から外れますよ』というようなことが言われている」とした上で、「実は今回、菅総理にEV化への推進を助言したのは、年金積立金管理運用独立行政法人の最高投資責任者だった水野さんという方だ。水野さんが『グリーンをやらないと日本は投資対象から外れますよ』というようなことを総理にアドバイスしたと言われている。しかし、水野さんはテスラの取締役をやっている。そこが若干、客観的な意見だったのかなということで、多分豊田社長はそういうところにも苛立っているのではないのかなと私はみている」との見方を示す。

 日本の自動車関連作業に就いている約542万人へはどのような影響があるのか。「そのうち自動車メーカーに勤めている人は21万人くらい。むしろ、部品メーカーが69万人、あと資材や金属などをやっている人が四十数万人いる。エンジンがいらなくなり、部品類や材料も減ってくると、裾野での自動車メーカーの雇用の吸収力は無くなってくると思う。それが一気に進むと“日本の雇用はどうなるのか”という問題が起こることを、豊田社長は問題提起しているのだと思う」とした。


 世界のガソリン車禁止の動きを見ると、中国は2019年から新車販売を規制しているほか、ドイツは2030年まで、米・カリフォルニア州とイギリスは2035年まで、仏は2040年までに新車販売を禁止するとしている。

 世界各国のスピード感についてひろゆき氏は「ドイツは2035年にガソリン車販売をやめると言っているのでタイムリミットは決まっている。あと、国がどうあがいたとしてもEUのルールに従わなければならないということがある。バナナの形も『この形でないと売ってはいけない』というものをEUが決めたので、各国はそれに従わなくてはいけない。最終的にEUが決めるとヨーロッパ全体が従わなくてはいけないという政治的強さを持っているので、変わる時はかなり速いと思う」と話す。


 では、エンジンや部品のメーカーが淘汰される可能性がある中で、日本はこの先どうしたらいいのか。ひろゆき氏が「山の中でずっと作業するとなれば、高圧線などで電気が届かないということがあるのでガソリン車の方が便利。産業としては完全になくなるわけではないと思う。また、エネルギー効率としてはハイブリッドの方がいいので、“真実はこうだよ”ということをちゃんと喧伝していけば、まだひっくり返せる可能性はゼロではないと思う。日本の雇用を守るというのは海外の人にとって超どうでもいいこと。“世界のエネルギーとエコのためには今ハイブリットだ”ということを、豊田さんが英語できちんと言わなければいけない」との考えを示すと、井上氏は「国際ロビー力が必要だと思う」と同意した。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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