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僕がキンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)をやってみようと思った理由と、その顛末 (上)

「えーっ! マジでそんなに儲かるのかよ?」

全ては、そんな単純なオドロキからはじまりました。

英語の新聞記事を読んでいてキンドル・ダイレクト・パブリッシング(略してKDP)で本を出し、それが結構、売れている人の事を読んだのが、自己出版をやってみようと思い立った理由です。

普通、自分で本を出版すると出版費用が「持ち出し」になるので、自費出版と呼ばれます。

でもKDPの場合、本当に費用がかからないので、「自費」というのは正確じゃありません。敢えて自己出版と上に表現したのは、そのためです。

その記事で僕の目が特に吸い寄せられた部分というのはロイヤリティー(本を売った値段のうち、著者の収入になる部分)が70%という点です。

(するとだぞ……)

と、すぐにカネ勘定がはじまるところが、僕の悪いクセ。

仮に一千冊売れれば、ザックリ言って2,000ドルだよね……これって、「趣味の創作」で稼げるおカネとしては、悪くないじゃん?

まあ、そういう軽~いノリで、全てが始まったわけです。

あ、上の説明で2,000ドルというのは米国でKDPにて自己出版する場合、70%のロイヤリティー比率を得られる最低の価格設定が$2.99とアマゾンによって規定されているからです。すると:

$2.99 × 0.7 = $2.093

が一冊当りのロイヤリティーという計算になるわけです。

実際には日本(つまりAmazon.co.jp)でその値段で売った場合、ロイヤリティーは35%だということが、後になってわかりました。(がっくり)

その頃と相前後して、楽天がKoboを売り始め、それに対抗するカタチでアマゾンも「将来、キンドルを売るので待っていてください」というアナウンスをしました。
(大体、7月くらいに発売されるんじゃないかな?)

という、いい加減な当て推量で、自分なりに〆切りを決め、本の準備に取り掛かりました。

ただその時点では「e Pub 3になる」ということがわかってなかったので(たぶんアメリカのアマゾンはマイクロソフト・ワードでOKなんだから、日本の出版エンジンもワードでOKだろう)という極めて素人的な発想でスタートしました。

参考にしたのはアマゾンが出している英語版の「Building Your Book for Kindle」だけです。これは英語だけを対象にしている無料のガイドブックなので、当然、縦書きの日本語の出版では大きな相違点が出ることは想像出来ましたが、上に書いた(アマゾンなら、アメリカと日本で出版エンジンを別個に用意することはないだろう)という勝手な断定で、見切り発車。

その後、アメリカで電子出版した色々な事例をネットで読み漁るにつれ(どうもチャートや図版の類をキレイにUPするのは自分のような素人にはムリかもしれない)と思うようになりました。またルビなどの日本語特有の機能についても、どう反映されるのか皆目見当もつきませんでした。

(あまり難易度の高いことをやると、ドツボにはまるな)

と思ったので、ちょっと準備しかけた投資関係の本は途中で断念しました。

自分としては過去のブログや書きためた記事、レポート類からテキトーに選んでテキパキ本にしてしまうのがいちばんお手軽なわけですが、僕の書くものにはグラフやチャートが多いので、上手くパブリッシュする自信がなかったのです。

それで本の執筆は、振り出しに戻ってしまった……

次に考えたのは(おれはどうせ作家じゃないんだし、何を書くか? については、ノー・アイデアだ……それなら単純に一番ウケそうなジャンルの本で、いいんじゃないの?)ということです。いつもながらの安易な発想に流れたわけです。

アメリカで売れているのは『フィフティー・シェーズ・オブ・グレイ』という金持ちお兄さんがひん曲ったSMプレイに走るエロい小説だということは、わかった。また『ハンガー・ゲーム』というジュブナイル(青少年向け)小説も、たいへんな人気になっている……。

だけどその一方で日本における市場性を考えた場合、元気のいいカテゴリーはライトノベルであって、ライトノベルの場合はエロいのは表紙だけで、中身は健全らしい……

一体、エロに走るか、健全で行くか、どっちだ! と迷ってしまったわけです。

またラノベのサブカテゴリー的にはファンタジーとラブコメが王道だということで、幾らなんでもMarket Hackの読者(=あ、忘れてたけど先日のアンケート、どうもありがとうございました。大学院卒の読者の比率が異様に高いのに驚きました)に「中二病」的なファンタジーをぶつけるとギャップが大き過ぎるだろ? と気が付き(そんじゃ、ラブコメで行くか?)と消去法でジャンルを決めたわけです。

その時点でも具体的に何を書くかに関しては、未だノー・アイデア(笑)

そこでワイフに「どんなものが読みたい?」と訊いたわけです。すると「ほらほら、昔、トレーディング・ルームのデスクの上でアナリストの女の子とコトに及んだ、豪の者が居たじゃない?……ああいうエピソードをてんこもりにするってのは、どう?」というサジェスチョンを頂戴したわけです。

それで『いきなりニューヨークで面接しろと言われても、困ります』を書き始めたわけです。

大体、アウトラインが出来たところでワイフに見せたら:

「ちがーう!」

と言下に厳しいお言葉。

「エッチが早すぎる! アンタのラブ・メーキングと同じ。どうして男ってやつは、せっかちなの」

という風にプリプリ怒り始めてしまった。

(ヤレヤレ)

それでまた初めから書き直し(笑)

ワイフは中学生の頃に、こっそりハーレクイン・ロマンスとかシルエット(もっとエロ度の高いヤツ)を読み漁っていたので「お預けプレイかくあるべし」という点に関しては強い意見を持っており、彼女の指導で、黄色く変色した70年代のペーパーバックを何冊も読んで、その呼吸というものを体得した次第です。

あ、それからモデル業界を舞台にした小説『「おまえはスーパーモデルを目指せ!」なんて、よくもそんな残酷なことが言えたわね』は、ワイフが「モデルの話とか、読みたい」と希望したので書きました。このへんのアイデアは全部、ワイフから出ている(笑)……僕はただ言われたままに「はいはい」と返事して、書くだけ。

結局、三部作にした理由もマーケティング・リサーチ(笑)で「アメリカではトリロジーにしないと人気に火がつかない」ということをどこかの新聞記事で読んだので(そんじゃ三部作で、行ってみっか?)という結論に至ったわけです。

(つづく)

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