記事

民自公談合による衆議院解と違憲状態の小選挙区選挙での総選挙

(1)昨日(2012年11月16日)、赤字国債発行法のほか、衆議院の小選挙区選挙につき議員定数「0増5減」案が、参議院の選挙区選挙につき議員定数「4増4減案が、成立した。
11月16日 12時22分
“赤字国債”や“0増5減”成立

 衆議院は16日午後、解散されます。
 これを前に、国会では、参議院本会議で今年度予算の執行に必要な赤字国債発行法や、衆議院選挙の1票の格差を是正するため、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が成立しました。
 野田総理大臣が解散時期を判断する政策課題に掲げていた法案の採決が、午前の参議院本会議で相次いで行われました。
 そして、赤字国債発行法案や、衆議院選挙の1票の格差を是正するため、小選挙区を5つ減らす法案は、民主・自民・公明の3党などの賛成多数で可決・成立しました。
ただ、格差是正の法律が成立しても、小選挙区の区割りの見直しは間に合わないため、選挙は現在の区割りのままで行われることになります。
 また、本会議では、参議院選挙の1票の格差を是正するため、選挙区の定員を「4増4減」する法律も、成立しました。
 一方、野田総理大臣が実現を強く求めた衆議院の定数削減については、民主・自民・公明の3党の国会対策委員長が会談し、「選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、来年の通常国会の終了までに結論を得たうえで必要な法改正を行うものとする」ことで合意しました。
 さらに、将来の年金制度の在り方などを検討する「社会保障制度改革国民会議」について、民主・自民・公明の3党の実務者が会談し、今月中の設置に向けて、来週にも会議の委員を決めることを確認しました。
 野田総理大臣は、16日朝、総理大臣官邸に入る際、衆議院解散の朝を迎えた心境について記者団が質問したのに対し「国民の信をしっかり問います」と述べました。
このあと、政府は午前8時すぎから閣議を開き、野田総理大臣とすべての閣僚が、解散決定の閣議書に署名して、衆議院の解散が閣議決定されました。
 国会では、まもなく衆議院本会議が開かれ、解散を前に残っている法案の採決が行われる予定で、各党は、代議士会などを開き、解散に向けて結束を確認するなどしています。


(2)そして、野田内閣は、衆議院を解散した。
政府は、解散に関する政府声明を出した。
時事通信(2012/11/16-19:20)
解散に関する政府声明

 政府が16日午後の臨時閣議で決定した衆院解散に関する政府声明の全文は次の通り。

 ただ今、衆議院は解散されました。
 昨年秋に発足した野田内閣は、東日本大震災後の国難とも言い得る状況の下で、震災からの復旧・復興、原発事故との戦いおよび日本経済の再生に全力で取り組んでまいりました。
 そして、社会保障と税の一体改革を断行して関連法を成立させ、持続可能な社会保障制度の実現と財政再建を進め、「決断する政治」を推進するとともに、原発に依存しない社会の実現に向けた「革新的エネルギー・環境政策」を取りまとめるなど、わが国が抱えている課題を一つ一つ着実に進めていくために必要な施策を政府一丸となって全力を挙げて遂行してまいりました。
 また、わが国を取り巻く環境が不透明感を増す中で、領土領海を守るために毅然(きぜん)とした対処を進めるとともに、日米同盟の深化を含め、周辺諸国との関係強化などにも努めてまいりました。
 しかしながら、いわゆる「ねじれ国会」の下で与野党の対立が激しさを増し、「大局」よりも「政局」を優先する政治姿勢が垣間見られる状況の下、内外の諸情勢に対応した政策遂行に多大な困難が生じる事態に直面するに至りました。
 野田内閣としては、「近いうちに国民に信を問う」とした国民の皆さまの前でお誓いした約束を果たし、国民の皆さまの新たな信任を得た形で、あしたの安心をもたらし、あすへの責任を果たすための政策を力強く遂行していくべく、このたび衆議院を解散し、国民の審判を仰ぐことと致しました。
 政府と致しましては、このたびの総選挙が終始公明正大に行われるよう関係者に求めるとともに、国民の皆さまが今回の総選挙の意義を十分に認識され、賢明なる審判を下されることを切望致します。
 なお、解散後、新たな内閣が発足するまでの期間においても、被災地の復旧・復興、外交安全保障、危機管理、経済対策などへの対応には政府として万全を期していく所存であるので、ご安心をいただきたいと存じます。


(3)民自公が「近いうちに真を問う」と約束し合って消費増税などの法案成立に合意したのは、今年8月8日だった。
「事実上の大連立」が顕在化したときだった。

”憲政の常道”を逸した、公約違反の法案可決後の「近いうち」解散の3党合意

それから100日して、野田内閣は、民自公で赤字国債発行法等の成立させ、衆議院を解散した。

「事実上の大連立」という談合による解散となった。

(4)民自公が衆参の非民主的選挙制度を固定化し、今後非民主性を先鋭化させようとしていることについては、すでに批判した。

「事実上の大連立」による、衆参の非民主的選挙制度の固定化・先鋭化の策動

憲法会議事務局長は、昨日、民意を反映する選挙制度への抜本改革などを求める談話を公表した。
《談話》 衆議院の解散にあたって─〝3党談合〟による「0増5減」での取り繕いと比例削減約束を許さず、選挙制度の抜本改革、憲法を守り生かす国会を実現しよう

                   2012年11月16日 憲法会議事務局長 平井 正

 野田政権は国民の怒りと批判に追い詰められ、解散・総選挙に踏み切りました。
 解散直前の国会では、自民党、公明党との〝談合〟で、国会審議を事実上ないがしろにし、公債特例法、年金削減法など数知れないほどの悪法製造を一気に進めました。
 重大なことは、11月14日の党首討論で、野田首相が解散・総選挙を表明するに当たり、自民党などに解散の条件と称して、国民に消費税大増税を押し付けるには「身を切る」必要があると、議員定数削減を求め、遅くとも時期通常国会での実現の確約を迫り、その結果3党の〝談合〟のもと、他の悪法と同じように、倫理確立・公選法特別委員会の審議もそこそこに、国民が求める民意を反映する選挙制度も、これまでの国会内での各党協議の一致点も踏みにじり、自民党案である衆議院の小選挙区「0増5減」を成立させたことです。そして、16日には民、自、公の国対委員長が協議し、衆議院の定数削減について、次期通常国会終了までに結論を得、必要な法改正をおこなうことで合意書を取り交わしたことです。解散された議会の議員の〝合意〟が、新しく選ばれる議会を拘束するという、総選挙での国民の選択と判断を蹂躙する傲慢さであり、3党だけで国会を運営するという議会制民主主義無視は絶対に容認できません。
 そもそも議会制民主主義の土台であり根幹である選挙制度を解散の条件に掲げたり、自民党などとの駆け引きの材料にしたり、それらの党の都合を押し通すことなど到底許されないことです。
 憲法会議は、選挙制度について、「0増5減」の小手先の取り繕いや比例定数の削減ではなく、国民の意思を鏡のように議席に映し、憲法の要請にこたえる選挙制度への抜本的な改革を求めます。
 憲法会議は、12月4日公示、16日投票の総選挙にあたり、国民に耐えがたい苦難を押し付けてきた自・公政治を受け継ぎ、自民党化して悪政を推進してきた民主党、反動化した自民党、逆流の突撃隊としての維新の会、改憲を声高に掲げる「新党」などに厳しい審判を下すことを呼びかけます。
 憲法会議は、憲法への攻撃を許さず、憲法を守り、実現する国会にしなければならないと考え、憲法を政治と暮らしの隅々、大震災の復興に生かす政党と議員の躍進のために力を尽くします。


(5)2009年衆議院総選挙の小選挙区選挙で最大格差が2.3倍だったことについて2つの訴訟が提起され、昨年(2011年)3月23日、最高裁(大法廷)は、「違憲状態」とする判決を下していた。

2009年衆議院小選挙区選挙の一票の格差についての最高裁大法廷判決に関して

この度の総選挙は、小選挙区選挙の「違憲状態」を解消しないままで行われることになる。

これについて、衆議院の横路孝弘議長と衛藤征士郎副議長は、退任会見を行い、違憲状態」のまま総選挙が行われることに懸念を示した。
北海道新聞(11/17 10:33)
「違憲状態」の選挙懸念 横路衆院議長が退任会見

 衆院の横路孝弘議長と衛藤征士郎副議長は16日、衆院解散に伴い退任会見した。横路氏は衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」について「(与野党の)合意形成が必ずしも十分にできなかった」と述べ、今後、国会運営のあり方を見直すべきだとの考えを示した。
 横路氏は、ねじれの影響で多くの法案が成立しなかったことを踏まえ「(衆参で意見を調整する)両院協議会の運営のやり方を変えなくてはならない」と指摘。問責決議の連発で国会審議が滞る現状にも疑問を呈した。
 また、16日に成立した「1票の格差」是正を含む衆院選挙制度改革関連法について「選挙区の区割りをちゃんとやって、そのもとで選挙をやるべきだった」と述べ、「違憲状態」のまま選挙に突入することに懸念を示した。
<北海道新聞11月17日朝刊掲載>


(6)そして、弁護士グループは選挙の差止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。
(2012年11月16日20時19分 読売新聞)
「違憲状態」衆院選の差し止めを…弁護士ら提訴

 最高裁に「違憲状態」と指摘された選挙区割りのまま衆院選が行われることを受け、山口邦明弁護士らのグループは16日、選挙の差し止めなどを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。
 早期の司法判断を仰ぐために、仮の差し止めなども合わせて申し立てた。
 議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)是正のため、最高裁は昨年3月の大法廷判決で、各都道府県にまず1議席を配分する衆院の「1人別枠方式」の速やかな廃止を国会に求めたが、区割りは変更されずに解散した。訴状では、「投票価値の平等が損なわれたまま投票をせざるを得ず、有権者に重大な損害が生じることは明らか」と主張している


(7)民主党と自民党の二大政党を含む民自公による「事実上の大連立」という談合によって違憲状態の小選挙区選挙で総選挙が決断されたのである。

これも、財界政治と非民主的選挙制度が生んだ異常事態である。

あわせて読みたい

「衆議院選挙2012」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    コロナ対策の都道府県別の評価【大阪府 最下位】

    山内康一

    05月17日 15:57

  2. 2

    「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない〜統計はウソをつく

    新井克弥

    05月17日 14:16

  3. 3

    ジェンダー問題の被害者?“おじさん上司”にも存在する生き辛さ

    ABEMA TIMES

    05月17日 09:23

  4. 4

    企業でいえば万年課長 大臣の一言でいつでも飛ばされる官僚はつまらない商売か

    ヒロ

    05月17日 10:54

  5. 5

    ようやく減りだした東京の感染者数 人流抑制は変異株に有効か

    中村ゆきつぐ

    05月17日 08:31

  6. 6

    石橋貴明の始球式が“神対応”と話題 若者ファンが急増のワケ

    女性自身

    05月17日 13:22

  7. 7

    東京オリンピック 強行しても拭えない「穢れ」の印象

    柴那典

    05月17日 08:16

  8. 8

    本仮屋ユイカ 有村騒動で涙…1ヵ月半で破綻した信頼関係

    女性自身

    05月16日 22:58

  9. 9

    都議選2021の争点は「表現の自由」が熱い!東京都の不健全図書指定について、具体的な改善策を提起する

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月17日 10:06

  10. 10

    東京の大規模接種 不具合で期間外の予約受け付け 772回の予約は有効に

    ABEMA TIMES

    05月17日 20:04

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。