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「8人で会食」GoTo政策を自ら台無しにした菅政権の正念場

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後手に回ったと言わざるを得ない

ここへ来て、ようやく政府が“Go Toトラベル”を全国一斉に一時停止すると決めた。期間は、12月28日から2021年1月11日までだ。その間、“Go Toイベント”事業も停止される。コロナウイルス感染の再拡大の勢いを見ると、今回の決定はいかんせん遅い。政府の対応は後手に回ったといわざるを得ないだろう。

臨時閣議に臨む菅義偉首相
臨時閣議に臨む菅義偉首相=2020年12月15日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト

また、政府は5人以上の会食を控えるよう国民に求めたにもかかわらず、菅首相は8人ほどで会食していた。内閣支持率が低下するのは当然かもしれない。政権の支持基盤が揺らぐことは、国の経済にとっても決して良いことではない。今回の対応が菅政権の命取りにならないことを願いたい。

ワクチンがない中で感染拡大を阻止するために、移動の制限は有効な方策の一つだ。それが国民の健康と生命、さらには経済を守ることにつながる。わが国では感染症の専門家らが、Go Toトラベル事業の見直しなどの感染対策を政府に求めた。しかし、政府の対応は遅れ、医療体制は逼迫している。医療の現場からは悲鳴さえ聞こえてくる。

菅首相としては、宿泊・交通などの産業分野への打撃を考慮しての措置なのだろうが、Go Toトラベル事業を早期に停止すべきだっただろう。むしろ、同事業だけが悪者扱いになってしまうことも懸念される。今回の措置は今後の政策運営に無視できない影響を与える恐れがありそうだ。それは長い目で見たとき、国全体のプラスにはならないだろう。

北海道と大阪へ自衛隊が派遣される事態に

11月以降、国内で新型コロナウイルスの感染第3波が深刻化している。わが国は、何よりも国民の安全と健康を第一に考え、対策をとらなければならない状況を迎えている。

感染第3波では、新規感染者数だけでなく、重症者数と、亡くなる方の数ともに第1、第2波を上回っている。新規感染者数と重症者数が増加した結果、医療の逼迫懸念が高まっている。医療関係者からはコロナ感染者が増加することによって一般患者の治療が難しくなることへの危機感が表明されている。また、北海道旭川市と大阪市には自衛隊の看護官が派遣された。事態の緊急性は増している。

事業の一時停止は迅速に行うべきだった

感染が拡大した要因の一つとして各地での人出の増加は軽視できない。12月中旬時点での各地の主要駅や空港周辺の人出は、緊急事態宣言が発出された4月7日を上回っている。

Go Toトラベル事業は感染再拡大の一因だ。東京都がGo Toトラベル事業に追加されて以降は、京都府や石川県、長崎県をはじめとする国内観光地への人の往来が勢いづいた。見方を変えれば、新規の感染者や重症者が増加し、新型コロナウイルスが人々の健康や社会と経済に与えるマイナスの影響が増大しているにもかかわらず、感染のリスクを過小評価し、楽観してしまっている人は相当数いる。

コロナ禍における世界各国の事例を踏まえると、集団免疫が獲得されていない状況下で人の移動が活発化すれば感染者は増加する。ドイツや米国の状況はその良い例だ。わが国では、Go Toトラベル利用者の中から感染者が出ている。無症状の感染者もいる。感染経路の特定も困難になっている。

医療の逼迫懸念が高まる状況下、政府は何よりも国民の健康と生命を守らなければならない。そのためにはソーシャルディスタンスの強化は不可避であり、Go Toトラベル事業の一時停止をはじめとする感染対策は迅速に行われなければならなかった。

なぜここまで遅れてしまったのか

菅政権の意思決定が遅れた要因として、菅政権が感染対策に取り組む一方で、経済活動の維持にもこだわり政策の優先順位が揺らいだことが指摘される。

菅政権が経済を重視した背景には、コロナショックによって業況が悪化した飲食、宿泊、交通などへの打撃を避けたいとの思惑があったと考えられる。デジタル化が遅れるわが国の経済にとって、人の移動が制限されることの影響は大きい。特に、飲食などへの打撃は深刻だ。Go Toトラベル事業は、政府が補助を行うことによって外食や宿泊需要を喚起し、関連産業の需要下支えに重要な役割を果たした。

また、年末年始は飲食や宿泊、交通関連の事業者にとって重要な書き入れ時でもある。その状況下、政府は感染対策の重要性を認識しつつも、経済的な悪影響を恐れるあまりGo Toトラベル事業の一時停止に二の足を踏んでしまった。

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