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11月消費者物価指数(CPI)上昇率はほぼ10年振りの大きな下落を記録!!!

本日、総務省統計局から11月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は▲0.9%の下落を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.3%の下落でした。ほぼ10年振りの大きな下落幅でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、11月0.9%下落 約10年ぶりマイナス幅
総務省が18日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.2と前年同月比0.9%下がった。4カ月連続の下落で、10年9月に1.1%下がって以来、10年2カ月ぶりの落ち込みとなった。政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の割引の影響で、宿泊料が34.4%下がった。

消費者物価指数は消費者の支払額をもとに計算するため、「Go To」の割引が反映される。「Go To」事業の影響を除いた試算では、生鮮食品を除く総合指数は0.5%の下落だった。宿泊需要の高まりから、割引を除いた宿泊料は0.7%上がった。
宿泊料以外では、春先の原油価格の下落が影響しエネルギー関係が7.6%下がり全体を押し下げた。電気代が7.3%、都市ガス代が7.1%、灯油が13.9%、それぞれ下がった。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.8と、0.3%の下落だった。

19年10月の消費税率引き上げから1年たち、物価を押し上げていた効果も薄まった。経過措置として電気代やガス代などは11月から10%の税率が適用されていた。

農林中金総合研究所の南武志氏は「エネルギーは21年3月ごろまで物価下落率をさらに拡大させる可能性がある。感染拡大による自粛ムードの強まりや家計所得環境の悪化も、消費の持ち直しを妨げる」と分析し、21年にかけて物価下落が続くと予測する。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。

加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。なお、統計局から小数点3ケタの指数が公表されているようですが、2015年以降のデータしか利用可能ではありませんので諦めました。

コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.9%でしたので、ジャストミートしています。ただし、この10年振りの大きな下落は、昨年2019年10月からの消費税率引上げの効果の剥落もさることながら、引用した記事にもあるように、GoToトラベル事業の割引で宿泊料が▲34.4%下がった影響がCPI総合への寄与度▲0.42と大きく、GoToを除くコアCPIの下落は▲0.5%にとどまるとの試算が統計局から示されているようです。加えて、エネルギーも前年同月比で▲5.7%の下落、CPI総合への寄与度▲0.44%ですから、このGoToのあおりを食らった宿泊料とエネルギーの2項目でヘッドラインCPIの前年同月比▲0.9%のマイナスの大部分を説明できてしまう、ということになります。

そうはいっても、「実力」CPIでマイナスであることは確かですが、少なくとも公表ベースの「見た目」のCPIよりは「実力」CPIのほうが下落幅はウンと小さい点は忘れるべきではありませんし、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの前年同月比上昇率は▲0.3%ですので、宿泊料のマイナス寄与▲0.42%を考え合わせれば、コアコアCPIの前年同月比は「実力」ベースではプラスだった可能性すらあります。ですから、GoToトラベルは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大をもたらしたのみならず、日銀のインフレ目標達成に対しても大きな悪影響を及ぼしているようです。

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