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拙劣な小沢氏の記者会見

思い違いをしている人の思い違いを改めさせることが如何に難しいことかを思い知らされるような記者会見であった。これからも多くの国会議員が記者会見を経験するだろうが、他山の石、反面教師として小沢氏の一連の記者会見の拙劣さから多くのことを学んで欲しい。

記者会見で自分の心情を吐露することは悪いことではない。

しかし、怒りにまかせて相手を恫喝するようなことはしてはいけない。人の本性は、その瞬間に顕われる。どんなに取り繕ってみても、感情を爆発させる人は思慮が浅く、自分をコントロールする力を欠いている人である。

本当のことを語らせるためのテクニックの一つに相手を怒らせてみる、という手段がある。相手がどこまで怒らないか、どこまで行くと怒り出すか、どんなことで怒るか、どんな怒り方をするか、などなど実は冷たい観察者の目で見られているのだが、ご本人はとんとそういうことが分からない。感情の赴くままに怒ってしまう。

実は、私も自分の感情を爆発させることがある。瞬間的に相手の言葉に反発し、ムラッと怒りが湧き上がってくる。ただしそういう感情に支配されるのは0.1秒か0.2秒ぐらいで、一息吐くか水を飲めば自分の中のそういう感情をコントロールしてしまう。そのうえで、しかし本当に相手に怒りをぶつけることがある。瞬間的に自分を客観視し、自分の怒りを相手にぶつけることがどんな効果を齎すか計算して、思いっ切り怒ってみたりする。

電話で理不尽な要求を突き付けてくる相手方に対して猛然と電話口で反論し、一切相手の弁明などには耳を貸さず、ただただ相手が閉口して理不尽な要求を撤回し謝罪するまで自分の怒りを相手にぶちまける、などということをしてしまう。大変危険な行為なのだが、決して相手を挑発するような言動を慎重に避けながら、自分のすべてをかけて怒るのである。

戦う弁護士には、そういう危険なところがある。しかし、一般の方々は絶対にこういうことはしない方がいい。大抵は、碌でもない結果に終わってしまうからだ。

見境なく自分の感情を爆発するときは、そこで大勢の人を敵に回すということである。
1対1であれば、たった一人を敵にするだけだが、公の場所、公開された場所であれば敵は何百人、何千人、何万人もなってしまう。記者会見は、公開の場である。一人の記者の後ろには何百万人もの国民の目がある、ということを知っておかなければならない。

昨日の公判の後の小沢氏の記者会見はおそらく史上最低の拙劣な記者会見であった。

公判廷で読み上げた陳述書をいくら堂々と記者会見で読み上げても、これは既に行われた法廷での陳述の焼き直しでしかない。僅か20分程度の時間しか用意していない記者会見の貴重な時間を無駄なことをして食い潰してしまったのだ。まともに記者の質問には答えず、質問自体を力づくで封じ込めようとして記者の怒りを買う、などということは最低のことである。小沢氏の傲岸不遜ぶりが改めて浮き彫りになってしまったのだから、小沢氏のこの記者会見は失敗だったということになる。

その時は上手く凌いだつもりでも、第三者の目で見ると拙劣極まりない記者会見だったなあ、ということになる。ほとぼりが冷めた頃に気が付くものだ。自分が信頼し、心を許している人から本当のことを聞いて自分が取り返しがつかない失敗をしたことに気が付くものである。小沢氏の周辺にはこういうことを教えてくれる人がいなかったのだろう。

これから記者会見に臨む機会のある方々は、是非この拙劣な小沢氏の記者会見から多くのことを学んで欲しい。記者会見に応じるからには、最後まで自分の感情を爆発させることなく、丁寧に答えること。相手のどんな質問も遮らないこと。質問する記者の質問がほぼ尽きるまで十分時間を取って応対すること。

質問する人たちの質問は、大体はたかが知れているものである。ちょっと工夫すると質問が切れる瞬間が来る。そこで記者会見を打ち切ればいい。トンデモ記者会見を続けてある意味でマスコミも国民も欺いてきた菅内閣の広報担当専門官の枝野氏の記者会見は、そういう意味では立派なものだった。

中身はとんでもないのに、この記者会見で枝野氏は次の総理候補の一人に担ぎ上げられるようになった。小沢氏は、自分をアピールする絶好のチャンスを、拙劣な記者会見をすることにより、あるいは記者会見から逃げることにより自ら潰してきた。今、小沢氏を次の総理候補として名前を挙げる人は、普通のマスコミの世界にいる人の中にはいないのではなかろうか。

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