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「焼肉の和民」コロナ前居酒屋比283% 不幸が幸せに転じることはある

2カ月前にオープンした「焼肉の和民」がコロナ前居酒屋比283%と好調な滑り出しだ。好評をいただいた理由には、まず「最新最高レベルのコロナ対応店」という点が大きい。

3分以内で店の空気がすべて入れ替わる換気に加えて、特急レーンによる料理の提供、ロボットを利用した配膳などで、居酒屋の通常接客に比べ、非接触率8割を実現した。半個室で、家にいるのと変わらない環境も安心感につながっている。

商品へのこだわりも大きい。牛から1%しかとれない「プレートフィンガー」という希少部位を使った390円のワタミカルビが圧倒的な人気1位のメニューとなった。コロナ不景気で「安くて」おいしいものへの重要は高い。

先日、焼肉をテーマにした寺門ジモン監督の映画「フード・ラック!食運」を見た。映画の中で、本当においしいのは「メス牛」と語られる場面があったが、オリジナルブランドの「和民和牛」も実はメス牛だ。

おいしい焼肉は「素材」「切り方」「タレ」の3つが決め手だ。特に「どう切るか」が勝負だ。ブロック肉は赤身と脂をバランスよく混ぜ、一口でおいしいと思える食感にこだわった。少し厚めにきったメス牛「和民和牛」をぜひ堪能して頂きたい。

私は「仕入れ力」や「生産性」の重要性を繰り返してきた。安く仕入れるためには、生産者にさかのぼり、原価を知る必要がある。経営者が意識すべき点は、生産者と現場の間に業者を入れず、相場に左右されないようにすることだ。

ワタミも焼肉に参入するにあたり、価格が上下しやすい和牛1頭を育てるコストや減価償却、人件費、エサ代など、実の原価を把握した。そして鹿児島の畜産最大手カミチクと合弁会社「ワタミカミチク」を設立するなど、生産者と直接取引する仕組みを作り上げた。

ワタミの強みは焼肉店で使わない肉の部位は、ワタミの宅食や居酒屋事業で使用することだ。「安くておいしい」を実現するには、こうした「うしろの仕組み作り」で勝てることが重要だ。

生き残る飲食店の条件は損益分岐点を下げながら、同じ値段ならいかに原価を安くするか、そして何より、お客さまが「目的を持って来店できる価値のある商品」が作られるかにかかる。

「焼肉の和民」は、付け焼刃の業態転換ではない。和牛焼肉で、中国、アメリカと本気で世界一を目指している。国内、海外ともに早速大型提携の話も舞い込んできた。

コロナは居酒屋経営を襲った。しかし、だからこそ改革スピードがあげられた。不幸が幸せに転じることはある「人間万事塞翁が馬」だ。うし年だけに、来年こそ「焼肉の和民」の本番だ。ここだけの話、290円のカルビも考えている。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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