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「2匹が寄り添うように死んでいた」孤独死現場に残されたペットたちの末路

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孤独死の現場ではペットが犠牲になりやすい。ノンフィクション作家の菅野久美子氏は「孤独死した人の部屋から餓死したペットが発見されることがある。もし生き残ったとしても、遺族が引き取ってくれることはほとんどないので保健所へ連れていかれてしまう」という――。

ワイマラナーのシルエット
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/caelmi

20匹以上の猫の死体が部屋中に転がっていた

年間3万人といわれる孤独死。孤独死の背景で、一緒に道連れになるのが、犬や猫のペットたちだ。

飼育能力を超えた数の動物を飼う行為は、近年大きな社会問題になっている。これはアニマルホーダーと呼ばれ、異常な数の動物を集め、飼ってしまうことを指す。飼い主が生前、社会から孤立していたケースも多く、発見が遅れることでペットが悲惨な結末を迎えることにつながってしまうのだ。孤独死の8割を占めると言われるごみ屋敷などのセルフネグレクト(自己放任)には、このようなアニマルホーダーもかなりの数が含まれる。

原状回復工事(特殊清掃)に携わって10年以上になる武蔵シンクタンクの塩田卓也氏は、孤独死現場におけるペットの死について赤裸々に語る。

「犬や猫などのペットが犠牲になるケースには現場でよく遭遇するんです。孤独死した人は、生前に親族や友人関係など、人とのつながりがないことが多いので、たとえペットが生き残ったとしても、親族が引き取ってくれることはほとんどありません。そのため、保健所に連れていかれるケースが多いです」

東京都内の築50年ほどの木造アパート。2階の10畳間には、アンモニア臭と腐敗臭が立ち込めていた。部屋の中には、悲しい光景が広がっていた。20匹以上いるとみられる猫の死体が部屋中に散り散りになって転がっていたのだ。

飢えて共食いをしていた形跡もあった

「猫たちは、頭以外は白骨化している子がいたり、そのままグッタリと亡くなっている子たちがいたり、壮絶で本当にかわいそうでした。完全に骨と化している子もいたんです。僕は数々の特殊清掃に携わっていますが、臭いも強烈でした。よく見ると、猫は飢えて共食いをしていた形跡が見てとれました。切なかったです」

住人の50代の男性は、若い頃はアクティブなタイプで友達も多く、外とのつながりもあった。しかし、晩年はこのアパートに引きこもるようになったらしい。そんな中、ジワジワと寂しさが募っていったのだろう。

男性はいつからか、猫たちを家で飼うようになった。猫たちは避妊手術せず、室内に野放しで、あれよあれよという間に数を増やしていった。男性亡き後の猫たちの断末魔を思うと、居たたまれない気持ちになってしまう。しかし、男性もそんな猫たちの悲惨な結末を望んだわけではないはずだろう。それがとても悲しい。

しかし、こういった孤独死後にペットが餓死するケースは、決して少なくない。

ケージの中で寄り添うように死んでいた小型犬2匹
筆者撮影

神奈川県の高級分譲マンションの一室。住民の50代の女性は一人暮らしで、孤独死して死後2週間が経過していた。玄関を開けると、すさまじいゴミがあった。それをかき分けて前に進むと、小さなケージがあり、中には白と茶色の小型犬2匹が寄り添うように亡くなっていた。

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