記事

衆議院解散の日の感慨

 11月16日、ついに衆議院は解散となった。解散が決定した瞬間、テレビに映し出された万歳と連呼する議員の姿に、往時を思い感慨無量であった。

 何故万歳をするのか分からないが、いつもそれが慣例になっていて、私も何回か万歳をしたものである。

 さて、これからどうなるのか、選挙の結果をあれこれ思い、胸が締め付けられるような感じであったことを鮮明に思い出す。必ず勝つぞと自らを奮い立たせながら、一方で敗れた時のことを思い、国会議事堂の佇まいを脳裏に植え付けようとする自分が居た。おそらく、今日、万歳をしている人たちも同じ思いでいるに違いない。みんな受かって来てほしい、党派を超えて、この人達の行方を思い、そう祈らずにはいられなかった。

 政治家というと、昨今、けなされてばかりである。勿論原因は彼らにあるのだが、有権者の移ろいやすい心や、気まぐれな国民にも、多くの原因があることは言うまでもない。政治家が三流と言うならば、選ぶ側も三流なのだ。
 
 夕方、保坂三蔵君が突然我が家を訪れてくれた。「解散になって、先生の顔が見たくて思わず来てしまいました」。

 彼とは本当に長い間、共に政冶の道を歩んできた。色々なことがあったが、お互いに政治から足を洗った今、感慨一入で、握手を交わしながら胸が熱くなった。

 今日の午前中には、税理士会の私の後援会代表中村、渡辺両先生が自宅に来られた。
 この会は誕生して実に28年が経過している。決して派手ではないが、地道に私を支え、私も定期的に国政報告を行い、最も理想的な後援会であった。

 私の引退で今度解散するのだが、その最後の打ち合わせに来てくれたのだ。
 「もう一度出てくれませんか」。この頃、色々な人達から言われる言葉だが、もう、後に戻ることは無い。「残念です」と言う先生方の言葉にも胸が痛んだ。

 政治家を辞めたことも、今日の解散光景も、当たり前のことと特別気にもかけていなかった筈なのに、何故か、夕刻になって無性に寂しくなった。
 家内と二人で、外で一杯やろうかと、ふらりと外に出て近所のうなぎ屋を覗いてみた。

 ここは浅草でも有名な江戸時代から続く「色川」(雷門2の6の11、3844-1187)という老舗で、いつも何十人か並んでいる。入れなければ他に行こうと思っていたら、こんなことは無いのになんと誰も並んでいない。

 さすがに店内は一杯だったが、苦も無く我々はカウンターに陣取った。
 ここの御主人は決して愛想がいいとは言えないし、如何にも浅草人らしく「べらんめえ」で口も悪い。

 肝焼きとうなぎの白焼きをおかずに、日本酒の熱燗が進む。「長いことお世話になったが、今日の解散で皆終わった。ありがとう」と私が言うと、俄然、雄弁になって「先生が郵政大臣の時、色紙を書いてもらった。先生の功績は立派だった。浅草の人も東京中の人も、先生への感謝の心は忘れないよ」と言ってくれた。

 決してお世辞を言わない、むしろ、毒舌と評判の彼から、そんな優しい言葉が出るとは思ってもいなかった。
 この近くの駒形に選挙事務所を構えた時、自転車に乗って陣中見舞いを届けてくれた姿を思い起こす。私も家内も思わず涙ぐんだ。

 下町の心は嬉しい。何となく寂しさを抑えながら来たのだが、この店に来て救われた思いであった。
 北風が吹き始めた外に出て、不覚にも私はこらえきれずに涙を流した。家内も同じようであった。
 何気なく振り返ると、なんとご主人と奥さんが表に出て手を振ってくれている。今まで絶対にそんなことをしたともないのに、その心情が嬉しくて、また涙がこぼれた。

 17日は、自民党政経塾の恒例の合宿で熱海後楽園ホテルで一泊だ。150人もの塾生と2日間愉快に過ごせる。張り切って頑張ろう。

 ちなみに、現地では世話をしてくれる人はいるが、新幹線でのお供の秘書は今回居ない。みんなが私を囲み世話をしてくれる時代は終わったのだ。
 当たり前の事なのだが、段々に私も、こうした一人での暮らしに慣れなくてはいけない。

あわせて読みたい

「衆議院選挙2012」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    立憲民主党に利用された宝島社の「タケヤリ意見広告」

    渡邉裕二

    05月19日 08:10

  2. 2

    架空情報を使いワクチン接種予約した朝日新聞出版&毎日新聞 岸防衛大臣の抗議は筋違い

    諌山裕

    05月18日 14:25

  3. 3

    #メディアはワクチン接種を邪魔するな 2 政府のミスを見つけてくれた? ワクチンを早期に拡げて国民を助けるより政府を叩きたい!? 国を滅ぼしたい!?

    中村ゆきつぐ

    05月19日 08:20

  4. 4

    マリエさんの枕営業告発が一瞬で話題から消えた2つの理由

    PRESIDENT Online

    05月18日 16:25

  5. 5

    早くもウーブン・シティ開発に着手 にわかに信じがたい豊田章男氏の経営スピード

    片山 修

    05月18日 08:11

  6. 6

    大失敗の大阪、成功の東京〜感染急増の大阪や地方と、第4波の感染抑えた東京の何が違ったのか?

    かさこ

    05月19日 08:15

  7. 7

    コロナ禍で取り残される「好きなこと」が無い人 誰かを責める前に行動せよ

    かさこ

    05月18日 09:02

  8. 8

    『週刊さんまとマツコ』はなぜそっちへ行った?残念な理由

    メディアゴン

    05月18日 08:21

  9. 9

    「ワクチン大混乱」を招いたのは誰? 河野太郎の“突破力とスタンドプレー”に現場は困惑 - 辰濃 哲郎

    文春オンライン

    05月18日 10:23

  10. 10

    二階幹事長 支持率急落に“怒り”表明も「自業自得」と呆れ声

    女性自身

    05月19日 09:03

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。