政府の第5次男女共同参画基本計画案で、橋本聖子担当相の前向きな姿勢もあり、内閣府が示した原案には「婚姻前の氏を使用することができる具体的な制度のあり方」について、政府が「必要な対応を進める」としていて、少し進むかと期待していました。
ところが、自民党の反対派によって、「更なる検討を進める」という、現在の第4次基本計画に近い書きぶりになり、第4次に入っていた「選択的夫婦別氏制度の導入」の文書も削られ、「夫婦のあり方に関する具体的な制度のあり方」というあいまいな文言に後退してしまいました。
また、第5次を策定するにあたって意見募集で寄せられた「実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れず少子化の一因になっている」などの意見や、「国際社会において、夫婦で同じ氏を法律で義務付けている国は、日本以外に見当たらない」という記述は、反対派の指摘を受けて削除されてしましました。
橋本大臣の姿勢に加えて、菅首相は、かつて推進する立場で議員活動をしていたことを認め、「私は政治家としてそうしたことを申し上げてきたことには責任がある」と言及してもいました。
しかし、安倍氏に近い衛藤晟一前沖縄北方相や、ずっと私の天敵でもあった山谷えり子元拉致問題担当相、そして「子どもの氏の安定性が損なわれることは間違いない」という高市早苗前総務省などの反対派の巻き返しで、大幅に後退しました。
世論は変わってきているのに、自民党内の旧来の反対派の力が強いことを、改めて痛感しました。反対派の主張は「伝統的な家族感が失われ、子どもの氏の安定性も損なわれる」というもので、到底納得できるものでは、ありません。
選択的夫婦別姓に賛成する考え方の根拠となっている、姓が結婚で変わるとアイデンティティー(同一性)が失われる、仕事で築いてきた実績が途絶え不利益を受ける、女性が96~97%姓を変えていて男女平等でない、国際的にも同姓を強制しているのは日本だけ、超少子社会で両方の家の名を残さないと結婚できない、等の方が、説得力があると考えます。
朝日新聞の1月の世論調査では、69%が「賛成」と答えています。各種世論調査でも、導入に「賛成」が「反対」を上回っています。自民党の中でも、賛成でがんばっている井出庸生議員たちにエールを送るとともに、賛否を選挙の際のリトマス試験紙にできればと思います。
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- 2020年12月17日 17:00