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「前へ進むか、後ろに戻るのか」野田首相、会見で五つの政策を掲げる

16日夕、野田首相が官邸で記者会見を行い、衆議院解散にあたっての所信を述べた。首相からの冒頭の発言は以下の通り。

--- 本日、衆議院の解散をいたしました。この解散の理由は、私が政治生命を賭けた、社会保障と税の一体改革を実現をする際に、「実現をした暁には、近いうちに国民に信を問う」と申し上げました。その約束を果たすためであります。

政治は、筋を通す時には通さなければならないと思います。 そのことによって初めて、国民の政治への信頼を取り戻すことができると判断したからであります。

予算が国会で通っても、その財源の裏付けが無く執行できない、あるいは「身を切る改革」は誰もが主張していても、国会議員の定数の1割の削減もままならない、そうした「決められない政治」が、政局を理由に続いて参りました。その悪弊を、解散をすることによって断ち切りたい、そういう思いもございました。

私が判断をすることによって、懸案であった、「解散の環境整備」と言ってきた、特例公債法案、一票の格差是正と定数削減、その道を切り開くことができたと考えております。


さて、今回の総選挙の争点を語る前に、少し、私が昨年の秋に、総理に就任して以来の約440日間を振り返ってみたいと思います。

一心不乱に、国難とも言える様々な課題にぶれずに逃げずに、真正面から、同志のみなさんとともに立ち向かってまいりました。ねじれ国会である中で、動かない政治を動かすために全身全霊を傾けてまいりました。政治を前に進めようと思いました。大変険しい山でありましたが、その道を一歩一歩進もうとしました。

険しい山であった理由は、なによりも膨大な借金の山、長引くデフレ、いずれも自民党の政権からの負の遺産です。これはとても大きいものがありました。加えて、欧州の債務危機、あるいは様々な災害等々の困難もありました。そういう問題をひとつひとつ現実的に政策を編み出し、推進をしてきたつもりであります。

現実感のある解決策を見出して、国民の皆様に安心をしていただけるよう、最善を尽くして参りました。政権交代を通じて成し遂げようとした改革も、 そして私の内閣の中で大きな命題として取り上げた、「福島の再生なくして日本の再生なし」と申し上げましたが、震災からの復旧復興、原発事故との闘い、日本経済の再生、まだ道半ばであります。こうした道半ばのテーマをさらに前へ進めて行けるのかどうか。そうではなくて、従来の古い政治に戻るのかどうか。これが問われる選挙だと思います。

かつて郵政総選挙のように、ワンポイントのイシューで選挙を戦ったこともありました。今回の総選挙の意義は、"2013年以降の日本の舵取りを、どの方向感で進めていくのか"、ということです。前へ進めるのか、政権交代の前に時計の針を戻して、古い政治へ戻るのか。「前へ進むか、後ろに戻るか」、これが問われる選挙だと思います。

「前へ進むか、後ろに戻るのか」。5つの政策分野を訴えをさせていただきたいと思います、。

第一は、社会保障であります。私達は、国民の皆様が将来に不安を感じている大きな要因である、社会保障を安心できる、持続可能なものにするために一体改革を成し遂げました。この一体改革は、これまた道半ばです。国民会議を通じて、医療、年金、介護、あるいは子育て支援、さらに社会保障に対する、将来に対する揺るぎない安心を作るために、やり遂げなければならないと思います。一方で、この議論を、丁寧にやってきた議論でありますけれども、振り出しに戻そうという、残念な動きもあります。

私達はこの社会保障を安定させ、強化をするため、充実するため、そしてその財源として、消費税を充てるというこの改革をやりぬくこと、この一線は決して譲ることができません。

二つ目は経済政策の軸足をどう置くかという選択であります。

自民党は、国土強靭化計画、こうした方針のもとで、これからの経済を語ってくると思います。でも、積算根拠もなく、総額有りきで、従来のように公共事業をばらまく、そういう政策で日本が再生するとは思いません。

私達は、グリーン革命、ライフイノベーションの実現、農林漁業、中小企業を伸ばす、コンクリートへの投資ではなく人への投資を重視して民の力を 育む、そして雇用を創り出していく、働くことを軸として安心できる社会を作っていく。さらに狭い国内に留まらず、世界と共に成長をする、世界の需要を取り込む。そのために国益を守るということを大前提として、守るべきものは守り抜きながらTPP、日中韓FTA、あるいはRCEP、こうした経済連携を同時に追求し、推進して行きたいと 思います。

こうした経済政策の軸足をどう置くかも問われる選挙になると思います。

三つ目は、エネルギー政策のあり方であります。

昨年の原発事故を受けまして、私達は、2030年代に原発をゼロにする、原発に依存しない社会を作る、そのための政策資源を総動員をすることを方向性を決めて、この方針のもとで、着実に様々な施策を推進していきたいと考えています。

一方で、自由民主党はどうか。大きな方向性は、10年間かけて決めると言っています。10年も立ち止まっているならば、10年間は旧来の政策を惰性で行う、それしかないじゃありませんか。

三番目の争点は、脱原発依存、原発に依存しない社会を作る、原発をゼロにしていく、その方向感を持つ政党が勝つのか。そうじゃない従来のエネルギー政策を進める政党が勝つのか、それが問われる選挙でもあると思います。

四つ目は外交・安全保障であります。

わたしたちは、大局観を持って、冷静に、現実的な外交・安全保障政策を推進してまいりました。その姿勢を堅持していきたいと思います。

一方で、強い事を言えば良い、強い言葉で外交・安全保障を語る、そういう風潮が残念ながら私には強まってきたように思えてなりません。極論の先には、真の解決策はありません。健全なナショナリズムは必要です。でも、極端に走れば、それは排外主義につながります。そうした空気に影響される安全保障政策では日本は危ういと私は思います。大局観を持って、冷静に現実的な外交安全保障政策を推進する、その覚悟を持って、異なる意見のある国があるならば、胆力と度量で、相手の首脳と対峙していかなければなりません。「強い外交」と、言葉だけ踊っても、何の意味もありません

タフな相手と渡り合って、首脳外交を担っていけるのは一体誰なのか、それも問われる選挙だと思います。

さらに五つ目。これは、政治改革です。

今回、一票の格差の是正、違憲状態・違法状態と言われて、なかなか果たすことが出来なかった。定数削減は3年前に多くの政党が公約をした。でも実現できなかった。そのいきづまりを打開をするために、一昨日の党首討論で提案をさせていただきました。「後ろを決めて結論を得る」。それがあって、今回、一票の格差是正と定数削減に道筋をつけること、定数削減ができるまでの間は議員歳費を二割カットすること、こういう結論を得ることができました。民主党が主導した結果だと思います。どの政党が後ろ向きだったのか、どの政党が一番、懸命に成し遂げようと努力したのか、国民の皆様は ご理解いただけるものと思います。

これからも、間違いなく定数削減をするために、そして、脱"世襲政治"を推進するために、私達は政治改革の先頭に立っていく決意です。世襲政治家が跳梁跋扈する古い政治に戻す、そんなことはあってはならないと考えております。

ただいま、五つの政策分野における方向感、前へ進むのか、後ろに戻るのか、そうしたお話をさせていただきました。こうした議論を、大いにこの一ヶ月間やって、国民の皆様の、正当なる審判を得たいと思っています。わたしたち民主党から公認をされる候補者は、次の選挙よりも次の世代を考えた、そうした候補者が揃うことになると思います。

誰がこの国を憂い、真剣にこの国の将来を思い、胆力と覚悟を持って切り開こうとしているか。どういう政治家がそういう思いを持っているのか、どの政党がそういう思いを一番強く持っているのか。ぜひ、国民の皆様にご判断を 賜りたいと思います。

私達は、「前へ進むか、後ろに戻るか」という政治選択の中で、国民のために、明日の安心をつくるために、明日の責任を果たすために、前へ政治を進めるために全力で戦い抜き、これからの4年間、この国の 舵取りを民主党が担えるように全力を尽くしていく覚悟であることを申し上げさせていただきたい。

なお、この解散をした後に、政治空白を作ってはなりません。震災からの復旧復興は引き続き万全を期してまいります。切れ目のない経済対策もしっかり講じてまいります。外交安全保障政策、危機管理も万全を期してまいりますことを改めて国民の皆様に訴えをさせていただき、ぜひこの点についてはご安心をいただきたいと思います。 私からは以上です。

■関連情報
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