記事
- 2012年11月16日 15:00
ディズニーランドに学ぶ、待ちを科学して顧客満足を得る
2/2待ちを科学するとポイントが見えてくる
ところで、「待ち」にはどんな種類があるのか?という視点で、待ちの対策のヒントを見てみましょう。待ちは、大きくは「無くせる待ち」と「無くせない待ち」に分解できます。さらに「無くせない待ち」は、「短くできる待ち」と、「これ以上短くできない待ち」に分けられます。
このように分解してみると、まずはもちろん「無くせる待ち」「短くできる待ち」をできるだけ短くする努力をしなければなりませんが、それでも「無くせない待ち」は必ず残ることに気が付きます。つまり、お客様が待たされても満足してくれるかどうかは、ただ単に待ち時間を短くする工夫だけではダメで、「無くせない待ち」に対してどのような工夫ができるかにかかっているということです。
案外、こういった考え方で待ちへの対策をされているケースは少なく、ひたすらに「待ち時間を短くしよう!」「迅速なサービスを提供しよう!」と必死に努力をされてご苦労なさっている方が多いのではと思います。
では続いて、待ちが失点となって満足が得られない原因、例えば「待ちでイライラさせてしまう原因」は何なのか?について、分類してみると次のようになります。
1.分からないことにイライラ
待ち時間が分からなかったり、待つ原因が分からないと、お客様はイライラします。これへの対策は、待ち時間を看板などで表示するという例がTDLでは見られました。それ以外にも、突発的な待ちの発生の際にはこういった情報を迅速に提供することが効果的です。
2.待たされ方にイライラ
これは例えば、行列に並び続けないといけない場合や、割り込みや追い抜きが許される並び方の場合です。こちらに対してTDLでは、優先チケットの配布や、整列しやすく進んでいる実感をしやすい並ばせ方をしていました。また、予約制を取り入れるというのも、よくある工夫のひとつです。
3.状況によってイライラ 時と場合によって変わるタイプの原因で、例えば急いでいるときや、暑い/寒いとき、不安なときなど。お客様の状況を把握して、臨機応変な対応が求められます。この種の原因はサービスの種類によっても特色が出やすいのですが、TDLではWEBでの待ち時間公開や、優先チケット配布などで、お客様自身が待ち方を決められるように自由度を高める工夫がされていました。
これらの「待ちで失点する原因」の種類を意識することで、自社サービスに合った効果的な待ち対策の議論ができるようになるのではないでしょうか。
さらにここで重要なポイントは、待ちに対する努力のしかたは、2つの方向があるということです。1つはこれまで見てきた「イライラさせない」という失点しないための努力。もう1つ、価値があるのは「待ち時間を楽しむ」というような待ちで得点を得る方向性の努力です。ディズニーランドの例では最後に挙げた『待っている間も楽しめる』という工夫です。なかなかここまでの工夫をされているケースは少ないのですが、これができれば顧客満足向上には極めて効果的なアクションになるのではないでしょうか。
待ちの対策、何から始めたら良いの?
ここで少し立ち止まって思い返してみてください。これまでお客様の待ちに対して十分な注意を払ってきたかどうか?目の前のお客様以外にも、その背後に待っているお客様にも、気を配ることができていたでしょうか?この質問でドキッとされた方は、まずは自社サービスのどこでお客様の待ちが発生しているかをしっかりと把握することから始める必要がありそうです。ここで有効なのは、サービス提供プロセスと顧客プロセスの両方を定義してみるということです。提供プロセスは一般的によく議論されているのですが、顧客プロセスまで議論できているケースは非常に少ないです。顧客プロセスを定義してみることで、意識できていなかったお客様の待ちに気付く事ができるようになると思います。
こうしてお客様の待ちが把握できたら、これまでに見てきたポイントを押さえながら、待ちの対策について議論してみると、今までよりはるかに価値ある議論ができるのではないでしょうか。
これまでお話しさせて頂いた、サービスや顧客満足に対する論理的なアプローチ(サービスサイエンス)が、大満足サービスや感動体験を創り上げる際にお役立ちできれば思っています。



