記事

成長中のメンズファッションEC市場を席巻する2つのECサイト

画像を見る

男性向けの衣料品を販売するECサイトは、外に出かけて買物するのを面倒に感じる男性には非常に便利な存在だ。だがスーツやパンツの買物となると、自分の体型に合うのかを試着して確かめられるリアル店舗に軍配が上がる。

以下では、身体にきちんとフィットする製品を販売することを約束して開設された男性向きのECサイトを2つ紹介する。

J. Hilburn 画像を見る

米国ダラスを本拠地とするJ. Hilburnは紳士服のECサイト。一番のセールスポイントは顧客にぴったりのワイシャツをイタリア製の高級生地で「カスタムメイド」で仕立てることだ。

カスタムメイドでは、顧客の身体のサイズを正確に測る必要があるが、これはオンラインでは対処できない。

J. Hilburnは現在約2千名いる、各地域で契約した「スタイル・コンサルタント」を顧客の自宅やオフィスに派遣することで、採寸を行っている。コンサルタントは生地やスタイルの選択について顧客の相談に応じ、アドバイスも与える。

画像を見る

ワイシャツの値段はカスタムメイドで110~160ドル程度、普通のドレスシャツで79ドルと割安な印象だ。

J. Hilburnの創設者二人はともに投資銀行のアナリストを前職としていた。二人はアパレルを扱う従来型店舗のビジネスモデルを分析し、「最初に定価を高くつけ、在庫をぎっしりと抱えて、大幅なディスカウントをする」ことが習慣化していることから「破綻している」という結論を出した。

また「消費者の好みはより個人に合わせてカスタマイズされたスタイルと製品キュレーションにシフトしている」とも分析し、未経験だった紳士服分野への進出を決意する。

店舗を維持する経費や売れ残りを抱えるコストをなくし、中間業者を介さずに仕立てメーカーと直接取り引きすることで低価格を実現した。

オフラインでのサービスを組み合わせて、顧客と直接対面する点がECサイトとしては珍しいが、社外の契約者を顧客の自宅に訪問させるというビジネスモデル自体は化粧品のAvonが以前から使っていたもので、そのバリエーションといえるだろう。

Bonobos 画像を見る

ニューヨークを本拠地とするBonobosは、スタンフォード大学大学院ビジネススクール時代にルームメートだった二人の男性が2007年に立ち上げたECサイト。

創業者の一人、Brian Spaly氏は「ウエストは細いが、ヒップと太腿は太い」という自分の体型に合ったズボンが見つからないという悩みをかかえていた。

そしてGapやBanana Republicといった若者に人気のブランドの製品は、ターゲットとした年齢層の中で最も多い体型に合わせて作られているため、標準体型から外れた人にはフィットしないことに気づいた。

そこで自らズボンの製作に取り掛かり、同じ悩みを抱える男性を救うことに決めたのだ。

同社のECサイトのAbout Usのページにはこう書かれている。

「Bonobosは男性用ズボンは身体にフィットしないという単純な問題を解決することを目的にオープンしました。男性用ズボンはきつ過ぎて着心地がよくないか、ガバガバし過ぎてかっこ良く見えないかのどちらかです」

「しかし、いくつかの重要部分にイノベーションを加えることで、見かけも着心地も良い、多くの男性にフィットする製品を開発できました

The New York TimesのOn a Mission to Banish the Saggy Bottomという記事によれば、このイノベーションの1つは「ウエストバンドに曲線を加える」ことであるらしい。

しかし、この種の工夫は他のブランドにも簡単に真似されてしまう可能性がある。

それに対して、Bonobos社は「カスタマーサービス」「利便性」「テクノロジー」の3つに力を入れることで他社との差別化を図ると語っている。

ウェブサイトの各ページの左上隅はユーザーの視線が最も集まりやすい場所で、ECサイトの多くは、企業名やロゴを表示している。しかし、Bonobos社のECサイトでこの位置にあるのは「送料無料で返品も簡単であること」を示すメッセージだ。

画像を見る

返品にかかる送料も無料なので、サイズを変えてズボンを複数購入し、自分にぴったりのサイズを見つけ、合わなかったものはすべて返品するように積極的に勧めている。

また、一部地域にガイドショップをオープンし、購入する前に試着するサービスも開始した。

画像を見る

買物嫌いの男性をターゲットとしたECサイトの増加

Business Insiderの10月16日の「Online Retail Sales Are Booming Because Men Don't Have To Shop At The Mall Anymore」という記事は、 男性に特化したファッション系ECサイトが最近、急増している現象を伝えている。

衣類をオンラインで購入する顧客の割合は米国では、女性が男性の倍を占めているが、近年、女性の市場の年間成長率は10%であるのに対し、男性の市場は13%と女性を上回り、今後、成長率の差はさらに広まると予測されているという。

Bonobosに投資したLightspeed Venture Partnersの Jeremy Liew氏は「女性は繰り返し商品を見た後、結局、購入しないことがよくあるが、男性は1回見ただけで大きな買物をする傾向があるので、男性の方がECサイトがターゲットにするのに適しているかもしれない」と語っている。

また、男性の方が独身でいる期間が長いため、社会に出た後、自分のために使えるお金が女性に比べて多いことも、男性をターゲットとする要因になると記事は指摘している。

しかし同じ顧客層をターゲットとして、同様のサービスを売るECサイトが増えていけば、他社との差別化・唯一化がより重要になってくる。今回紹介した2つのECサイトのように独自の価値を提供できるかどうかが成功できるかのポイントになるだろう。

あわせて読みたい

「マーケティング」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    ジェンダー問題の被害者?“おじさん上司”にも存在する生き辛さ

    ABEMA TIMES

    05月17日 09:23

  2. 2

    「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない〜統計はウソをつく

    新井克弥

    05月17日 14:16

  3. 3

    コロナ対策の都道府県別の評価【大阪府 最下位】

    山内康一

    05月17日 15:57

  4. 4

    企業でいえば万年課長 大臣の一言でいつでも飛ばされる官僚はつまらない商売か

    ヒロ

    05月17日 10:54

  5. 5

    本仮屋ユイカ 有村騒動で涙…1ヵ月半で破綻した信頼関係

    女性自身

    05月16日 22:58

  6. 6

    東京オリンピック 強行しても拭えない「穢れ」の印象

    柴那典

    05月17日 08:16

  7. 7

    ようやく減りだした東京の感染者数 人流抑制は変異株に有効か

    中村ゆきつぐ

    05月17日 08:31

  8. 8

    石橋貴明の始球式が“神対応”と話題 若者ファンが急増のワケ

    女性自身

    05月17日 13:22

  9. 9

    対コロナ戦争の誇り高き勝利国インドを地獄に叩き落とした変異株 東京五輪は本当に可能なのか

    木村正人

    05月17日 09:33

  10. 10

    都議選2021の争点は「表現の自由」が熱い!東京都の不健全図書指定について、具体的な改善策を提起する

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月17日 10:06

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。