■ウォルマートは15日、自動運転車開発のガティック(Gatik)と提携した無人輸送の宅配テストを拡大することを発表した。
顧客向けBtoC以外となるBtoBのミドルマイル物流でも自動運転車を応用し、宅配エコシステムを構築する。
ウォルマートは昨年夏、アーカンソー州ベントンビルにある本社近くのネイバーフッドマーケットのダークストアからガティックの自動運転車を利用した宅配サービスを開始。
ダークストアとは店の中で買い物ができるインストア・ショッピングはなく倉庫に専用の駐車スペースがついた、宅配サービスやカーブサイド・ピックアップに特化したネットスーパー専用のフルフィルメントセンターだ。
ウォルマートはこのダークストアから小規模な2マイル(3.2キロメートル)ルートでのドライバー付き自動運転システムのテストを行っていた。
最終物流拠点から顧客までのラストマイルの実績が累計7万マイル(11.2万キロメートル)に達していることで、ウォルマートは2021年に長距離輸送を含め次のテストフェーズを行う。
ウォルマートが計画しているのはルイジアナ州ニューオーリンズとメテリーの約20マイル(32キロメートル)の輸送だ。来年初めにも行うテストではドライバーをつけた自動運転システムで開始する。
この宅配テストではフォード・トランジット350HDをマルチ温度管理のトラックに改造し、スーパーセンターからピックアップ拠点の輸送を行うのだ。
ウォルマートはピックアップ拠点について明らかにしていないが、生鮮食品の扱いが少ないディスカウントストアや小型店になると見られている。
自社内によるミドルマイル物流テストからサードパーティのピックアップ拠点まで物流網を拡大すると予想されている。
プレスリリースでウォルマート・カスタマープロダクト担当バイスプレジデントのトム・ウォード氏は「米国では人口の90%がウォルマートの店舗から10マイル(16キロメートル)以内に住んでいますが、近くにあるウォルマートだけで解決するわけではありません」とし「自動運転車両が巡回するピックアップ拠点になります」と記している。
ウォルマートは将来、自動運転トラックと実店舗とは別のピックアップ拠点で宅配エコシステムの網の目をさらに細かくしようとしているのだ。
なおウォルマートではアリゾナ州の店舗でユーデルブ(Udelv)の自動運転型バンを試験的に導入しており、テキサス州ヒューストンでもニューロ(Nuro)の自動運転車を使った食品配達の実証実験も行っている。
他にもグーグルの親会社アルファベットの傘下で自動運転車を開発しているウェイモと提携し、顧客を送り迎えするサービスを試験運用している。
またウォルマートは来年初め、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のクルーズと提携した自動運転車両による配達のテストを開始する予定だ。
ウォルマートは小型無人機のドローンによるテストも進めており、スタートアップのフライトレックス(Flytrex)やドローンアップ(DroneUp)と提携していることが発表された。
ヘリコプター型とは異なるモーターグライダーに似た小型飛行機になる宅配のテストもジップライン(Zipline)と提携して行う。
ウォルマートはラストマイルからミドルマイル、陸上輸送から空輸まで無人デリバリーエコシステムを模索する。
トップ画像:スーパーセンターからピックアップ拠点に生鮮品等を運ぶ自動運転トラック。フォードのトランジット350HDを改造し、マルチ温度管理で冷凍・冷蔵食品の輸送も対応できるようにしている。
ウォルマートは昨年夏、アーカンソー州ベントンビルにある本社近くのネイバーフッドマーケットのダークストアからガティックの自動運転車を利用した宅配サービスを開始した。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。お店を10店舗から50店舗、50店舗から100店舗、100店舗から500店舗、500店舗から1,000店舗と増やしても国民の生活が必ずしも豊かにはなりません。これを証明するように流通先進国のアメリカではチェーンストア理論がすでに崩壊しており、多くのチェーンストアが「消費の地殻変動」に飲み込まれ潰れています。「チェーンストア理論の陳腐化」をまるで自己否定と捉えてしまう日本の流通ビジネスマンは少なくありません。
いままでの人生の中で自分が拠り所にしてきたことを変えるのは「阪神ファンが巨人ファンになる(またはその逆)」ぐらいの難しさと当ブログで強調しています。それでも、それをやらなきゃ、先がないのも事実。死んでも阪神ファンにはならない!と言えても、次の世代のことを考えれば街のハンコ屋も言葉を飲み込むしかありません。それを見せつけているのがアメリカの流通業界。自分の店の真ん前で、自動運転トラックが運んできた競合ウォルマートの宅配品を受け取る顧客をいずれ見ることになります。
いつかのハンコ屋にならないためにも覚悟を決めなければなりません。いつまでも耳や目に優しいことで自分を甘やかしていたら、次の世代が続かないのです。