- 2020年12月15日 09:50
日本学術会議の改革の行方 10億円の予算の使途は・・・

「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。
12月9日(水)、自民党では、日本学術会議の改革案を政府に提言しました。10月14日(水)から検討をはじめ、9回の会合を経て、まとめたものです。
・全文は https://www.jimin.jp/news/policy/200957.html
内容は、以下です。
①組織形態は独立した法人格を有するものとすること
②政策提言機能の強化として、俯瞰的総合的助言と政治との相互リテラシー
③情報発信力の強化として、『学術の動向』の見直し等
④会員とその選出方法として、人文社会科学11%、生命科学20%、理学工学69%の三部会の構成比等、会員以外からの推薦等の検討
⑤財政基盤として政府からの予算支援と会費や競争的資金等の独自財源確保
⑥事務局体制の強化等
今後1年以内に具体的な制度設計を行い、速やかに法改正を行い、現行体制の任期満了時を目途に新組織として出発を求めています。
●日本学術会議の自己改革案は
一方、日本学術会議自体も、11月12日に幹事会を開催して、自己改革の検討課題を抽出して、年内に井上科学技術担当大臣に報告する予定と言います。その検討項目は以下です。
①提言機能の強化
②対話を通じた情報発信力の強化
③世界のアカデミーで採用されているCo-optation(現会員による新会員推薦)の透明性向上
④国際活動の強化
⑤事務局機能の強化として、デジタル化や英語化等の国際発信の強化
以上は概観すると、自民党提言と共通部分があり、課題が共有されていることが分かります。また、一方で、組織自体の在り方や会員の推薦方法については相違がみられます。
●自民党内での議論 来年度予算案を巡り
12月14日(月)は、自民党本部において、日本学術会議を含めた内閣府の予算案の審議が行われました。日本学術会議の来年度予算は例年通り約10億円が要求されているわけですが、組織の改革をどう進めていくのか、明確にならないと予算案をそのまま承認するわけにはいきません。私は、日本学術会議事務局に改革と来年度予算案10億円の関係について、質問しました。
私の質問に答えて、日本学術会議事務局は、人件費と施設管理費で5億円、国際会議分担金や出席関係等で2億円強、政策提言で2.5億円以上計上しており、7億円以上はすぐには変更できない固定費のようなものとなっているとのことでした。そして、政策提言の2.5億円も、諸手当と旅費、会議費等となっており、それを活用して、現行の数多い分科会を、会長のもとで、政治や行政、産業界と連携して、課題を決めて、それを議論する方式に改めたいとのことでした。
日本学術会議はじめ我が国の科学界の問題点は、人文・社会科学にあると私は思っています。戦前の過度な反省から、反権力、反体制を掲げ、実質は特定の党派とイデオロギーが牛耳る構図となっているからです。それを克服できないと、どのような提言も政府批判の羅列に過ぎなくなるからです。
それによって、学者の国会、日本学術会議が、科学的知見に基づいた、国家国民のためになる実効性ある提言が出てくるのか、引き続き注視していきたいと思います。