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Aマッソ、どこにもハマれないカッコよさ

M-1に比べると、キング・オブ・コントについては毎年、優勝者が決まっても「お、おう…」というなんとも言えない感情になりがちだ。全く反対とは思わないけれど、「これでいいのか?」という気持ちが常に付きまとう。

それは、コントのネタの比較すべき共通項が、漫才のそれより遥かに少ないことに由来していると思う。

例えるなら、象がその怪力を披露した後にネズミが出てきてその素早さを披露しているみたいなところがある。それで、象とネズミどっちがいい? と言われても比べようがない。審査が結局好き嫌いになってしまうのも分からなくもない。

という意味では、キング・オブ・コント以上に、結果についてなんとも言えなくなるのは、漫才、コントのくくりもないTHE Wというわけで。今どき性別で区切るコンテストなんて…とは思いつつ、今年も仕事しながらダラダラ観てしまいました。

THE W 公式サイトより

最終結果についてはここまで書いてきたとおり、肯定でも否定でもなく、「おお、そ、そう来たか…」としか思えなかったけど、群を抜いて印象を残したのは、タイトルのAマッソだ。

一番おもしろかったかは分からない。しかし、一番カッコよかったのはAマッソ。それは間違いなかった。

ネタについては実際に見てもらった方が早いが、あえていうならば、紹介映像で加納が「他の賞レースではできないネタ」と話していたとおり、分類不可能なネタだった。これは漫才と呼べばいいのだろうか? それとも漫才風コント? 分からない。

両方のファンに怒られるかもしれないが、観ている最中に「パフュームみたい」と思ってしまった。これはお笑いパフュームだ! と。

なお、不勉強なもので、彼らは今年に入ってから映像ネタに力を入れていた、ということで、今回が初出ではないことは戦前のインタビューですでに語られていた。

news.yahoo.co.jp

2人のネタが始まったときに不思議な感動を覚えたのは、審査員席にアンガールズの田中卓志が座っていたからだ。

以前、偶然見つけたAマッソの公式YouTubeチャンネルで、同じナベプロの先輩である田中が講師として出演していた。それは田中が、才能があるのにテレビに一向にフィットしようとしない、丸くなろうとしない2人に対してこんこんと説教する内容だった。


www.youtube.com

その内容はあまりにも論理的かつ実践的(『ゴッドタン』の「勝手にお悩み先生」の回を見れば言うまでもない)で面白かったのだけれど、それに対して当のAマッソはヘラヘラと受け流している印象だった。

自己流を貫き尖り続けるべきか、与えられた場所にフィットしていくべきか――THE Wの舞台で2人が見せたのは、そのどちらでもなかった。

尖りを洗練させつつ、なおかつ大衆を魅了する――それが今回Aマッソがネタで出した答えだったのではないだろうか。新しいことを追求しつつ、ウケようとする第三の道を模索したのだ。

ネタの見た目(プロジェクターの映像が2人の顔に被る瞬間は、何かのMVのようにカッコよかった。もはやお笑いのビジュアルじゃねえ…!)もさることながら、芸人としての生き様が垣間見れて、あまりにもカッコよかったのだ。

それを田中の目の前で披露する、という笑いの神様が用意した劇的な展開!

田中がAマッソではなくゆりやんレトリィバァに票を入れたのは、それはそれで一つの意見である。勝負は水物。もしもう一回同じシチュエーションだったならば、結果は逆だったかもしれない。

Aマッソは決勝初挑戦のTHE Wで優勝できなかった。しかし、与えられた場所にハマれない彼らが、ハマれないままに自分を貫いたカッコよさがそこにあった。

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