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欧州債務危機が地方自治体に及ぼす影響その2(スペインその1)

 欧州債務危機は、ギリシャの問題ばかりが日本では注目を集めがちだが、実はスペインの方がはるかに深刻でかつ影響も大きい。スペインは、EUの中では、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアに次ぐ第五位の経済力を有していて、GDPではギリシャの五倍近い規模だった。一九八六年に当時のヨーロッパ共同体に加盟して以来、EUの構造基金など様々な地域振興政策を活用し、EU全体を凌ぐ勢いで経済成長を遂げ、特に不動産業と建設業は日本のバブル期のような状況にあった。しかしながら、サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機によって、不動産価格は暴落し、スペインの金融機関は大量の不良債権を抱えることとなった。このことがスペインの地方自治体にも大きな影響を与えることになったのである。

 スペインは、自治州、県、市町村の三層制の地方自治体構造を有する国家である。フランコ独裁体制の元では地方自治体の首長は任命制で強固な中央集権国家であったが、フランコ体制の崩壊後、一九七八年に新憲法が制定され、単一主権国家の元で、各民族と各地域における自治権を認めて一七の自治州が誕生した。自治州では州議会が州首相を選出し、首相が州大臣を任命して内閣を構成する。自治州の規模は、人口では日本の都道府県の平均程度、面積では中国地方とほぼ同じとなっている。また、五〇の県と八〇〇〇を超える市町村で構成されている。

 スペインでは、フランスと国境を接しているバスク地方の独立運動が様々な形で繰り広げられているが、欧州債務危機を契機に、北部のカタルーニャ自治州の独立問題が大きな政治問題となっている。カタルーニャ自治州の州都はバルセロナ市で、中世にカタルーニャ君主国として栄華を極め、独自の文化を有していたが、一七一六年に自治権がはく奪され、カタルーニャ語の使用が公的機関で禁止されるなど国に対して従属的な立場に追いやられていた。その後、自治権回復運動が広がり、一九三二年にカタルーニャ自治政府が承認されたが、スペイン内乱を経てフランコが勝利し、再び自治権を失い、カタルーニャ語が禁止されるなど、自治権獲得を巡る苦難の歴史を何度も経験しているところである。

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