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良くなったことも

 さて新型コロナウィルスの感染拡大について政府は「勝負の三週間」などと称していたわけですが、今に至るも随所で過去最高の感染者数を記録するなど、どうにも有効な対策を打ててはいないようです。まぁ通勤時の乗客数も減っている様子は微塵もありませんし、会社近辺の人通りも普段通り、地元の駅前はむしろ人が増えているぐらいの印象ですから、大半の人は何もしていないのだと思います。

 しかしながら、インフルエンザの発生状況を見ると前年比で劇的に減少していることが分かります。前年比で数千分の一にまで落ち込んでいる項目も少なくなく、インフルエンザに関しては完封に近い状況となっているわけです。コロナウィルスもインフルエンザも感染予防のための基本行動は同じですから、日本で行われているレベルの対策でもインフルエンザ程度の感染力であれば十分に有効なのでしょう。

 時には年間の死亡者数が3000人を上回ることもあるインフルエンザですが、とりあえず感染力は新型コロナウィルスに比べて格段に弱いことが分かります。コロナに対しては不十分な感染予防策でもインフルエンザ相手ならば万全に近く、今年の冬は総合的に見て健康リスクの低いシーズンになるのかも知れません。新型コロナの感染拡大は食い止められていないながら、公衆衛生は改善されているような気がします。

 例年であれば各部各担当で毎日のように開催される会社の忘年会に悩まされる時期でもありますが、皆様の職場ではいかがでしょうか。弊社でも悪あがきしている人はおりまして油断は出来ませんけれど、概ね自粛の方向で進んでいます。かつては連日連夜の出張で、給料よりも毎月の航空券・新幹線代とホテル代の方が上回る人も部署によっては珍しくありませんでしたが、その辺も正常化しているなど良い方向に転んでいることも結構あります。

 私の勤務先では昨年以前から在宅勤務の制度は存在していましたけれど、利用されないことが大前提でした。障害などで通勤困難な人が例外的に利用するものであって、実際には誰も在宅勤務などしない、あくまで「先進的な取り組み」として対外的なアピールのためだけに存在する制度に過ぎなかったわけです。それがコロナで一転、「普通の人」でも緊急事態宣言後は利用可能となったのですから驚きです。経緯には釈然としないところがないでもないのですが、間違いなく進歩であるとは感じています。

 一方では先日取り上げた伊藤忠商事の社長のように「テレワークをするための体制や機器が整っているからといって、自分たちだけ在宅勤務をしていいのだろうか」みたいなことを宣う人もいます。テレワーク可能なのに「しない」人がいるおかげで通勤電車はいつも満員ですし、オフィス街は人で溢れてしまうわけで、こういう人は日本社会の公衆衛生に対する脅威として糾弾されるべきと言えますが、どうしたものでしょうか。

 特定の業界が大きく割を食っている現状は問題として残るのですが、コロナの「おかげで」世の中が良くなったことも少なくありません。コロナがなければ在宅勤務が利用可能になることはなかった、マスクも付けずにゲヘゲヘやっている人とも机を並べていなければならなかった、アホみたいに忘年会や出張に駆り出されて自分の時間なんて睡眠時間を削る以外に確保できなかった――それを鑑みれば率直に「良かった」と思います。

 忘年会シーズンが書き入れ時の飲食店の経営者から見れば、今は比喩的な意味でも冬の時代です。とは言え、超長時間労働の常態化が顕著な業界でもありました。過労死ラインで働かされていた飲食店の従業員が、昨今の営業時間短縮をどう感じているかは興味深くもあります。小売店の24時間営業や年中無休の営業を批判してきた人もいますが、年末年始の営業短縮が別の動機で求められている現状をどう見ているのか、その辺は語られにくいことなのでしょうか。

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