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仏、SNSで人生狂わせた少女

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イスラムを冒涜してテロリストの攻撃を受け多数の死者を出したシャルリー・エブド社へのテロを抗議する集会 2015年1月11日 出典:flickr : Olivier Ortelpa

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・16歳少女がSNSでイスラム教批判。レイプ・殺害予告受ける事態に。

・「ミラ事件」は子供同士の〝言い争い〟が政府を巻き込む大問題に。

・イスラムが絡むことで事態が複雑化する仏社会の苦悩を映す事件。

10月にフランス・パリ郊外で歴史教師サミュエル・パティさん(47歳)が首を切断されて殺害された事件は、日本にも衝撃を与えた。

(※事件詳細はこちら

実はフランスではこの他にも日本ではあまり知られていないイスラムに関する事件が1月に起きていた。「ミラ事件」である。未成年者がイスラム教を批判する動画をSNSに上げたところ大きく炎上した結果、脅迫された事件だ。そしてほぼ一年経った現在でも解決していない。

■ 「ミラ事件」の概要

「ミラ事件」というのは、当時16歳の高校生だったミラさんが、自分が「同性愛者」であるとネット上で告白したところ、ムスリムの若者から罵倒されたのが始まりだ。そこで怒ったミラさんは、24時間しか表示されない動画であるInstagramの「ストーリー」で、「イスラム教はくそだ。憎しみにあふれている」などと宗教を批判したところ、その動画がまたたく間に拡散され、殺害予告を含む嫌がらせを受けた。

その結果、安全を確保できないため高校にも行ける状態ではなくなり、警察の保護を受けて身を隠すことが余儀なくされたのだ。ミラさんは、最終的にはテレビに出演し不快な思いをさせた人々に対して謝罪した。しかしながら、最初は子供の喧嘩のようなものであったのにもかかわらず、その後フランス政府が対応に動く事態になるほど少女の人生を大きく変える事件となったのだ。

■ 「ミラ事件」の問題点

この事件の問題点は3つあると考える。まず一つ目はインターネットで発言が手軽にできる上、あっという間に世界に拡散される時代になったことだ。SNSがない時代であったらこのように大きな問題に発展することはなく、地域内で同様なことが起こってもただの子供同士のいざこざで終わっていたかもしれない。

二つ目は、ティーンエージャーはまだ学んでいる段階で、事の重要さがよくわかってないこと。日本でも一時期、若者たちがアルバイト先でしたおふざけや、高校生の非常識な行動をSNSにアップしよく炎上していた。最近は減少したものの、このように若者が自分の軽率な行動をネットに上げることで過度に炎上することは日本でも問題になっている。

この年代の若者の多くはまだ未熟であるがために自分たちの世界と社会がリンクしておらず、軽率な行動や言動を世の中にさらすことの危険性を理解していないことが多いのである。

しかしながら、ティーンエージャーでも全員がわかっていないわけではない。事件のことを知らないフランス人のティーンエージャーにこの事件の詳細を見せて意見をきいてみたところ、非常に冷静なコメントが返ってきた。「まず、ムスリムの若者がホモフォビア(同性愛嫌悪)で、ミラさんに悪質なコメントを送ったのは悪い。

しかし、それに対してミラさんが反論するのは当然だが、内容がイスラム教を攻撃していたのはよくなかった。イスラムフォビア(イスラム嫌悪)になっている。」この理解度の違いは、本人の性格、友達とのかかわりあい、家庭環境などにも大きく影響されるのだろうと推測する。

そしてフランスのミラ事件の最大の問題点は、「フランスの法律とイスラム教徒との考え方の相違」という、従来からあるフランスを悩ませる問題が、さらにこの事件を複雑化させたことだ。

在仏イスラム団体「仏ムスリム評議会(CFCM)」の総代表であるアブダラ・ゼクリ氏は、殺害するという脅迫に対しては反対しているものの、「この問題は彼女自身が招いたことだ。彼女が言った言葉、彼女がした侮辱、私はそれらを受け入れられません。」と、怒りを抑えきれない口調でミラさんを非難した。(※参考Tweet

これに対し、当時のマルレーヌ・シアパ女男平等・差別対策担当副大臣が反論するなど、事件に対して複数の政治家がコメントを出している。イスラム教が絡んだことで、子供同士の喧嘩だったはずのものが、政府が絡む大人の攻防戦に発展したのだ。

マクロン大統領も2月に発言し、フランスでは「冒涜する権利」と「宗教を批判する権利」があるとミラさんを擁護し、政府は全面的に通常生活に戻れるようサポートに努めた。

(※「冒涜する権利」に関する記事はこちら

▲写真 マクロン仏大統領 出典:flickr; Jacques Paquier

しかし、その後も問題は収まることなく脅迫は続き、レイプや殺人をほのめかす若者がバカンス先にまでやってきてミラさんを脅迫したため、20代を含むムスリムの若者2人が逮捕され実刑を受けている。

ミラさんの弁護士は、「ミラさんは、人物を中傷しているのではなく、宗教を冒涜しているだけなので法的にはまったく問題はない。フランスは宗教を冒涜する自由は法律で守られているのだ。よって、私がカトリックはクソだ、カトリックは憎しみであふれていると言っても、まったく問題にならない。しかし、なぜ、イスラム教だけ問題になるのだ?なぜ、イスラム教だけ特別扱いなのだ?」と問題を提起している。

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