どうすれば収入は増えるのか。東大在学中に起業し、現在年商10億円の企業を経営する事業家bot氏は「お金儲けで重要なのは、儲かっている人を真似することではなく、『その人が誰からどうやってお金をもらっているのか』という視点を持つことだ」という——。(第1回/全3回)

会社は「儲けさせてくれる社員」しかいらない
コロナ禍で景気が急速に減退する中、大企業においても人員整理、リストラの動きが活発になってきた。
電通では、11月に40代以上の社員を対象に、正社員を業務委託契約に切り替える制度が導入された。タニタでも従前より正社員の一部を業務委託に切り替える制度が導入されている。
会社にとって、正規雇用の社員を解雇するのは極めてハードルが高いが、業務委託契約を解除するのは極めて簡単なのである。この制度の目的が「会社に利益をもたらしてくれる=儲けさせてくれる社員しかいらない」という点にあることは明白であろう。
経団連も、従前から、「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換」をメッセージしている他、トヨタの豊田章男社長も「終身雇用を守っていくのは難しい」というかなり踏み込んだ発言をしている。
コロナ禍において、このトレンドがますます加速していくことは、もはや疑いようがない。これからは社員の中でも「黒字社員」と「赤字社員」、「儲けさせてくれる社員」と「損をさせられる社員」に仕分けられていくであろう。
会社よりもインフルエンサーに依存するほうが危険
前述のような状況下で、いわゆるビジネスインフルエンサーが「個の時代」などといったキャッチフレーズを掲げ、「任意のスキル(YouTube、プログラミング、ブログなど任意のバズワード)を学べば個人で食っていける」「企業に依存する生き方はむしろ危険」というような主張を行っている。
そのような主張につられてオンラインサロンや高額なスクール費用に課金を行い、安定したキャリアを投げ出す人も後を絶たない状況である。
しかし、少し考えてみると、その業界の収益性というのは、基本的に需給によって決まるので、インフルエンサーが「Xは儲かる」と言って煽った瞬間に人が殺到し、一気に儲からないビジネスになってしまうのが基本である。
従って、会社に依存するのも危険だが、インフルエンサーに依存するのはより危険であるとすら言える。
インフルエンサーからは「信者ビジネス」を学べ
では、インフルエンサーから学ぶべきものが無いかというと、全くそんなことはない。

インフルエンサーの掲げる「個人のスキルで食っていく」という主張を真に受けるのではなく、逆に、その事業構造自体を解析して、自分の仕事に活かすなり、あるいはそのままパクるのも一つの手だろう。
インフルエンサーが、「Xを学べば儲かる」という主張をするのは、基本的にその「Xを学ぶ」ための情報商材なり、スクールなりに誘導するためである。そのため、「X」は、ブログ、YouTuber、プログラミングなど、(突き詰めると奥は深いのだが)誰にでもとりあえず取り組むことができる、誰にでもチャンスがあるように感じられるものであることが多い。
要は、情弱と言われる層を引っ掛けるためには、始めるハードルが低く、一攫千金の可能性を提示するのが、ベストの方法なのである。
このように、情弱を集めて「儲ける手段」を売りつけるのが、インフルエンサーが得意とする「信者ビジネス」の本質なのだ。