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テレビ進出難しいYouTuber フワちゃんが成功できた理由

フワちゃんの勢いが止まらない。

登録者数75万人を超えるYouTubeチャンネルが人気を博し、2020年にテレビ進出を果たしたフワちゃん。「フワちゃん」という人名で今年度の流行語大賞トップテン入りを果たしたほどの、人気と知名度を獲得した。

今年、多くのYouTuberがテレビ番組出演を果たしたが、たいていは1,2回バラエティ番組に取り上げられる程度だ。フワちゃんほどテレビ業界に定着しているYouTuberは存在しない。
彼女はなぜ、業界で大人気の存在になったのだろうか。フワちゃんの人気の理由と、彼女と同じくテレビ進出が成功しそうな、今後注目のYouTuberを考える。

実のところ、YouTuberのテレビ進出が難しいのは、メディアの特性の違いを考えると当然のことだ。

テレビ番組、特にバラエティでは、基本的に既存の芸人やタレントたちによって「お決まりの流れ」が作られている。司会者がゲストに話を振り、エピソードトークをし、司会や周りの芸人がオチをつける、人気芸人のボケに全員で突っ込む、など……司会者が大御所芸人の場合は、彼らの空気やリズム感に合わせていく工夫も必要だ。

こうしたテレビ番組独特の空気感や文脈にYouTuberが馴染んでいくのはなかなか難しい。彼らは自身のチャンネルをメインフィールドにしており、毎日自分の空気やリズム感でコンテンツを作っているからだ。YouTuberのチャンネルを好んで観る人の多くは、彼らのいい意味で閉じた世界を楽しみに観ている。

YouTuberがテレビに出演する際、彼らの本来の魅力を殺さずに活かすためには、そうした独自の空気とリズムを壊さないようにする舞台装置がなければ難しい。例えば、人気2人組YouTuber「水溜りボンド」。彼らの冠番組「水溜りボンドの○○いくってよ」(テレビ神奈川)は、毎回2人だけで街ブラロケをするという内容だ。テレビ番組とはいえ芸能人との絡みや、もともと存在する空気感に合わせる必要がなく、彼らのペースで進めることができる工夫がされている。こうした工夫によって、彼らの本来の魅力が際立っているのが現状だ。

そうした状況の中、通常のバラエティ番組にも引っ張りだこなフワちゃん。彼女が巧みにバラエティに馴染んでいった理由を、3つ推測したい。

まずは、芸能界に強い興味を持っていること。そもそもYouTubeを始める前は芸人志望だったということもあり、芸能人自身や彼らとの絡みを好んでいる。ダウンタウンや笑福亭鶴瓶(68)など大御所芸人にも気に入られているのは、彼らの番組やキャラクターについて深く理解しており、共演の際にはそれらについて積極的に言及していくからだ。「ダウンタウンなう」(フジテレビ,8/28放送)では、松本に対して「ライアン・ゴズリングが好き。『ラ・ラ・ランド』の人。でも大丈夫、『しんぼる』(松本の監督・主演映画)の人も好きだよ」。浜田についても「『ダウンタウンDX』の収録の時とかも、自分の部屋あるのにわざわざ前室に来て、広いベンチの真ん中のところにおりこうさんに座ってんの。かわいい」と果敢にエピソードトークを繰り広げた。

また、その分析的な視点も彼女の特徴だ。奔放に見えて、YouTubeとテレビで振る舞い方を差別化するなど戦略的に活動している。「マツコ会議」(日本テレビ,11/7放送)でも「それYouTubeでもできるわっていうことを、わざわざテレビの人とやろうとしてないところはある」。自身のチャンネルで行っている出演番組の反省動画についても「これをもともとやってるのはラジオの芸人たち。(中略)そういうのをよりわかりやすいYouTubeっていうところでやる」と客観的な視点で語っている。

加えて、ツッコミやすいキャラクターがさらに「絡みやすさ」「使いやすさ」という強みをつくっている。彼女の突拍子もないボケは一見、自分のキャラや空気を貫いているようにも見えるが、逆にその突拍子のなさが、他の出演者からのツッコミどころ、そこから生じる番組内での流れをうまくつくっていると言える。フワちゃんの賢さを考えれば、そこにわずかでも計算がないとは言い切れないだろう。

フワちゃんのように、今後テレビのバラエティ番組で活躍できそうなYouTuberが2人いる。丸山礼(23)とエミリン(27)だ。彼女たちは既に何本かテレビ出演を重ねており、また動画を観る限り、フワちゃんと同じ特徴を持っている可能性が感じられる。

丸山礼はものまねタレントであるが、現在はYouTubeをメインに活動し、チャンネル登録者数85万人超と着実に人気を集めている。彼女のものまねはアンミカ(48)や土屋太鳳(25)など今を彩る人気芸能人が多く、披露する際はテレビ番組でもウケがいい。また話題のアイドルグループNiziUの大ファンで、歌ってみた動画やMV鑑賞動画を投稿するなどトレンドにも詳しい。芸能界への強い興味は、バラエティで芸能人たちと絡む際の助けになるだろう。

エミリンも芸人の卵だったところからYouTubeを始めて大ブレイクし、登録者数163万人、ファッションブランド設立、書籍の発売など飛ぶ鳥を落とす勢いだ。彼女は自然体で話す動画が多いように見えて、一部の動画では構成や自身のキャラクターを面白く見えるように計算し、あえて誇張したキャラを演じることも多いとSNSなどで語っている。コンテンツによって振る舞い方を調整する能力は、普段とは異なるフィールドであるテレビに進出していくにあたり強みになりそうだ。

そして、二人に共通しているのが「ツッコミやすさ」。コントかリアルか見分けのつかない「二日酔いのへべれけ女子」を巧みに演じる丸山も、「人魚になりたい」と動画でツッコミ待ちのコスプレ姿で海を泳ぐエミリンも、絡みやすさは抜群だ。ひとたびその絡みやすさが芸人たちやスタッフに認識されれば、使いやすいタレントとしてテレビでも人気になると考えられる。

フワちゃんは指原莉乃が発見し、周囲に紹介したことで人気に一気に火がついた。丸山礼やエミリンも、既に才能と人気を持っている彼女たちだからこそ、指原のようなタレントの評価を得ると今後爆発的に活躍する可能性がある。

彼女たちの今後のさらなる活躍に、期待しながら見守りたい。

【PROFILE】

桂木きえ

1992年東京生まれのライター・コラムニスト。東京大学文学部卒。会社員として働くかたわら、各種メディアにてコラムを執筆。YouTube、TikTok、Instagramなどネットメディアと若者文化についての考察を中心に活動する。Twitter:@kiekatsuragi

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