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「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏の経歴詐称疑惑について3

 以前「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏についていろいろ書かせてもらいましたが(「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏の経歴詐称疑惑について「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏の経歴詐称疑惑について2)、Business Journalが「後ろ盾中国共産党も敵に回り…『中国で一番有名な日本人』の闇」という記事を配信しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 記事の感想

 最初に感想を書くと、かなり興味深い記事で、『週刊文春』の火付けとなった記事が掲載されて以降、加藤氏に関するいくつかの記事を拝見しましたが、正直一番面白かったというのが私の感想です。

 加藤氏と中国共産党との関係については、これまで何度が指摘されてきておりますが、この記事でも「加藤氏は中国国内で、「(ダライ・ラマ政権支援者の日本人は)日本右翼勢力」「胡錦濤主席の思想に感服」といった言動で中国共産党の“走狗”として働き、党の宣伝部により「中国で一番有名な日本人」の地位に押し上げられた。だが、当局の事情により用済みになった」とされております。

 私自身この問題について確かめる術をもっていないので、これについての真偽をどうこう言うつもりは基本的にありませんが、少なくとも加藤氏が中国であれだけの知名度となったのは、中国共産党の協力なしには少し考えづらいと思っております。

2 企業の「情弱」?

 ただ、私はこの記事で最も感心したのは、最後のところです。

 もっとも、今回の加藤氏騒動から浮かび上がる最大の問題点は、単に彼個人の「東大合格」といった経歴詐称や、日本人の若者が中国国内で共産党の広告塔として“反日”発言を繰り返していたことではないだろう。

 ここまで特殊な政治的背景がある人物を「新時代の中国通」として無邪気に持ち上げてきた、NHKや朝日新聞、ダイヤモンド社や日経グループといった日本の大手メディアの姿勢こそ、最も非難されるべきものであるはずだ。

 先の日本人ジャーナリストは「加藤氏の日本国内での講演料は2時間当たり50万円前後で、喜んで大金を支払っていた上場企業も少なくない」と語る。講演者の身元すらもろくに調査せずに「中国情報」をカネで買うような姿勢でいるからこそ、日本企業は中国ビジネスに失敗するといえるのではないか。  

 今回の騒動から私たちが学ぶべきことは、「○○氏は大ウソつきだ」といった表面的な話ではなく、中国という国の底知れぬ恐ろしさと、日本人のメディアやビジネス業界の“情弱”ぶりなのかもしれない。

 これは極めて正論で、確かにロクに中国のことも知らずに、中国進出がブームだからといって進出するレベルの日本企業もあり、私も如何なものかと思っていたところだったので、かなり納得できました。

3 中国の内装工事

 又聞きで聞いた話ですが、ある企業が中国に進出することとなり、新築マンションに事務所を設けることとなりました。中国の場合マンションは何もないコンクリートの打ちっ放しの状態で引き渡されます。

 そこで、自分で内装業者を探して内装をするわけですが、この会社ではある企業にまかせてそのまま完成まで特に自分で現場を確認することもなく、引き渡しを受けました。

 結果かなりの手抜き工事や材料の中抜き等が行われており、とても事務所として使えるものではなかったそうです。

 これは中国に住んだことのある方なら殆ど常識に近い話ですが、内装は自分たちで監視しないと平気で当初の設計と違っていたものになっていたり、自分が買った資材とは違う安物が使われることがよくあります。

 こうしたことを「情弱」と呼ぶかどうかは別にして、その国の習慣も知らずに事業を行おうとするとトンデモナイことになる典型かと思います。

4 情報判断

 だからこそ、現地のことを良く知っている方に高い金を払って話を聞こうと思ったと言われるかもしれません。私もそうした行為自体を全く否定するつもりはありませんし、本当にタメになる講義というのも間違いなく存在します。

 しかし、同時に全く役に立たない講義をいうのも存在しますし、下手をすれば間違った情報を得る可能性も否定できません。そのため結論としては当たり前のことになってしまいますが、自分でそれを判断できる能力がないことには話になりません。

 ただ、自分で何をか成し遂げることはかなり大変ですが、他人がしたことを良いか悪いか判断するのはそれに比べれば数段簡単だと思っております。

 それに中国に進出する場合、中国側のパートナーが必要となりますが、これを結構簡単な気持ちで見つける人が多くびっくりします。確かに右も左もわからない状態で、いろいろ親切にしてくれる人はつい頼りたくなりますが、その人に能力があるか、最後まで信用できるかは別な話です。

 結果大損となり、「騙された」という思いで撤退する企業もあるわけですが、個人的にはどうしても準備不足の企業側の責任も指摘したくなります。

 中国からの日本企業がいろいろ言われておりますが(「日本企業が中国から撤退するはずがない」と思いたい中国)、企業の進出・撤退は簡単なことではありません。願わくば思いつきでなく、きちんと情報を集めてそれを自己責任で判断した上で、悔いのない決定をしていただければと思います。

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