ここ数年のジャニーズ事務所は波乱に満ちていた。
SMAP、少年隊、嵐といった一時代を築いたグループが活動にピリオドを打ち、メンバーが脱退したTOKIO、NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUNは活動規模の縮小を余儀なくされている。ジャニーズ事務所の創設者のジャニー喜多川氏が昨年7月に87歳で亡くなったこともあり、帝国の足元が大きく揺らいでいる。
そんななか倦まず弛まず活動を続け、今年結成25周年を迎えたのがV6だ。
V6(「Johnny's net」より)
光GENJI、SMAP、TOKIO、KinKi Kids、嵐ら同世代がアイドルグループとして頂点を極めるなかにあって、V6の活動は少々“独特”だ。「ジャニーズらしくないジャニーズが多い」と言われるV6の“別れぬ理由”を探ってみた。
”ジャニーズらしくないジャニーズ”の理由
今年9月4日、V6は結成25周年のメモリアルデーを迎えた。9月23日に発売された52作目の新曲「It's my life/PINEAPPLE」はオリコン週間シングルランキングで初登場1位を記録。これで3作連続32作目のランキング1位だ。
「25年で32作品が1位というのはすごい。しかし逆に言うと、20作がトップをとれなかった。これはジャニーズグループのなかでは珍しいんです。ジャニーズは念入りにシングルの発売日を調整し、他に有力ライバルがいない時を狙って1位を取りにいきます。しかしV6はそれだけ気を使わなくてもいいということなのでしょう」(レコード会社宣伝マン)
新曲発売となれば宣伝のためのイベント、テレビ出演、インタビュー取材と担当者は奔走するものだが、それも関係なし。コンサートツアーも、毎年開催されているわけではない。
「しかし、V6はデビューから連続25年でシングルのTOP10入りを果たしていて、この記録は歴代1位。アイドルの頂点を極めたとは言い難いですが、固いファン層を持ち、堅実確実にアイドル道を歩んできた」(テレビ局関係者)
しかし、そんなV6にも2020年春頃に“解散危機”が噂されていたことがある。
関係者が顔面蒼白になった”解散危機”
「当時、ジャニーズ事務所やレコード会社の関係者は顔面蒼白でした。記念すべき25周年を迎えようとしているなか、解散なんて発表できるわけがない。ただV6のメンバーはみんな方向性があまりに違っていて、グループで活動する意味はそこまでないんですよね。それぞれが自分の道を歩みたいと考えたとしても、無理からぬことだろうとも言われていました」(ジャニーズ事務所関係者)
関係者が奔走し、結局は25周年を恙なく迎えようと“解散危機”を脱したという。一方でそれまでV6を担当してきた名物マネジャーが異動したりなど、小さな火種は燻り続けている。
「くわえて、12月10日にジャニーズウェブの有料サイトで、今年の『日本中に元気を!!ジャニーズカウントダウン2020―2021~東京の街から歌でつながる生放送~』(フジテレビ系)にV6が出演しないことを、9日に生放送された『2020 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)で知ったと綴り、ファンがざわついています。通称『カウコン』はジャニーズ総出で出演する毎年末恒例のイベントです。当然出演するだろうと思われていたV6とKinKi Kidsの名前がなく、ジャニーズの強引な世代交代策なのではないかと噂されている」
しかしジャニーズ事務所関係者は「“あのメンバー”がいる限りV6の事務所内での地位は安泰」とも語る。それは一体、誰なのか―—。
V6は1995年に「バレーボールワールドカップ」(フジテレビ系)のイメージキャラクターに抜擢。同年11月1日に、大会イメージソングの「MUSIC FOR THE PEOPLE」でデビューした。
6人のメンバーは年長組の「20th Century」ことトニセンの坂本昌行(49)長野博(48)井ノ原快彦(44)と、年少組の「Coming Century」ことカミセンの森田剛(41)三宅健(41)岡田准一(40)の3人ずつに分かれる。
“最も地味なV6”がジャニー氏が投げかけた“ある質問”
リーダーの坂本はV6のなかで、“最もジャニーズらしくないジャニーズ”だろう。1988年にジャニーズ入りしたが、将来に不安を感じて退所。一時は旅行会社に勤務してサラリーマン生活を送っていた。
「ところが後輩の活躍を見て、同期入所のTOKIO国分太一に連絡して、ジャニーさんに『戻りたい』と伝えてもらった。するとジャニーさんから『ユー、何やってんの。戻っておいでよ』と連絡が来たんです。坂本は今でも『太一がいなかったら、今の俺はいない』と感謝しています。サラリーマンを経てジャニーズアイドルとしてデビューしたのは、ほかにはTOKIOの城島茂(50)くらいですが、2人ともジャニーズっぽくはないですよね(笑)」(女性誌編集者)
しかし坂本は歌と踊りはジャニーズの中でも高い評価を得ている。ミュージカルへの出演も多く、V6の実力派。目立たないながらもV6の縁の下の力持ちとして活躍している。
しかし、そんな坂本よりもさらに地味なのが長野だ。1986年に入所したが、一時期は光GENJI、SMAP、TOKIO、KinKi Kidsら同世代のバックダンサーも務めていた。
「ジャニーさんから『ローラースケートやスケボーができるか』と聞かれて、きっぱりと『できない!』って答えたのが運の尽き(笑)。ジャニーさんは長野さんを、その後SMAPやTOKIOとしてデビューするスケートボーイズのメンバーにと考えていたのに、深い考えもなく断ってしまった。芸能活動を休止して、高校卒業後に情報処理の専門学校に通っていた時にジャニーさんから呼び戻されて、V6としてやっとデビューできました」(アイドル誌記者)
地道な舞台出演などを続けてきたが、2016年に女優・白石美帆(42)と結婚。現在は2歳の男の子と1歳の女の子にも恵まれ、パパアイドルとして好感度は高い。
「将来の幹部候補」と囁かれるTHEパパアイドル
そして、THEパパアイドルといえばトニセン最年少のイノッチこと井ノ原だろう。ドラマ「西部警察」を見て石原軍団を目指したが、食が細いことからジャニーズに転向。1988年入所だが、年齢はグループ内でちょうど真ん中だ。
「若い頃は坂本や長野からは『おチビちゃん』と呼ばれて、坂本のことを『お兄ちゃん』と呼んでいました。TOKIO松岡昌宏(43)や元SMAP香取慎吾(43)とは同い年ということで仲もよかった。国分太一とは『タイノッチ』というユニットを組んでいたこともありました」(女性誌記者)
2006年から「警視庁捜査一課9係」(テレビ朝日系)シリーズに若手刑事役で出演。2018年から後継シリーズの「特捜9」シリーズの主役を務めている。2007年には女優・瀬戸朝香(44)と結婚。公私ともに落ち着いたイメージがあり、2010年から2018年にかけては「あさイチ」(NHK)のキャスターを有働由美子アナウンサーと務めた。
「V6はデビュー20年目の2014年にやっと『紅白歌合戦』に初出場して3年連続で出場。井ノ原は2015年には白組司会も務めました。井ノ原は本当に不思議なジャニーズで、派手なヒット作があるわけではないのに大きい仕事が途切れない。11月に公開された映画『461個のおべんとう』ではなにわ男子の道枝駿佑の父親役として主演を務めました。ジャニーズ上層部の覚えもめでたい、将来の幹部候補生ですよ」(スポーツ紙芸能デスク)
実直すぎるゆえに“ジャニーズっぽくない”トニセンとは違い、カミセンの面々は華やかな独自路線を突き進んでいる。
特に「わが道を行く」タイプなのが森田だ。93年に入所して、ジュニア時代から三宅健と「剛健コンビ」として人気を集めた。