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次期政権の命運を握る、ジョージア州上院決戦投票

Georgia On American’s Mind… Because Of The Runoffs In January.

ジョージア州と言えば、皆様が思いつくのはコカコーラとCNNでしょうか。リベラル寄り放送局CNNの本拠地があるとはいえ、同州は南部という土地柄、共和党の地盤として知られていますよね(ちなみにCNNがジョージア州アトランタに本社を構えた理由はハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ空港から約3~4時間台で全米主要都市のどこへでも飛んでいけるから。デルタ航空の本社もございます)。

2020年大統領選では、バイデン前副大統領がジョージア州で1992年以降、初めて民主党候補として勝利しましたが、得票差はわずか1万2,670票、得票率ではわずか0.2ポイントとごく僅差でした。ここに郵便投票が大きく影響したわけですが、それは後述致します。

そのジョージア州は、次期大統領の命運を握っているとっても過言ではありません。2020年の上院の改選で共和党が50議席、民主党が48議席を獲得しましたが、院2議席をめぐり、2021年1月5日に決戦投票を控えているためです。

米国では各州によって選挙の仕組みが異なり、ジョージア州では国政選挙で候補者が過半数の50%以上を獲得できなかった場合、決戦投票を行います。決戦投票では、共和党の現職であるデビッド・パーデュー議員と新人のジョン・オソフ氏、また、前任者の引退を受け州知事によって任命された現職のケリー・ロフラー議員と新人のラファエル・ワーノック氏が特別選挙にて、それぞれ一騎打ちに挑みます。

チャート:決戦投票候補

(作成:My Big Apple NY)

このまま次期大統領にバイデン氏が就任し、民主党の候補2人が当選すれば、上院議席数は50対50となり副大統領に就任予定のカマラ・ハリス氏が決定権を握るため、民主党が上院の多数派に躍り出る見通しです。そうなれば、“ブルーウェーブ”、つまり大統領と米上下院すべて民主党が占め青く染まり、税制改正法の撤廃から気候変動対策2.2兆ドルまで、予算が必要な政策の実現性が格段に高まります。

しかし、仮に共和党が決戦投票で1議席でも確保すれば、上院で多数派を維持できることになり、バイデン氏の政策推進にことごとくブレーキを掛けること必至です。ちなみに、バイデン氏がブルーウェーブを達成できなければ、1885年に着任したグローバー・クリーブランド大統領以来となります。

そういった事情で全米の熱い視線がジョージア州に注がれているわけですが、過去3回の決戦投票では2回が上院選、1回が下院特別選挙(補欠選挙)のところ、全て共和党候補が勝利していたんですよね。特に直近の2017年の下院特別選挙に、注目。

今回上院議員に立候補したオソフ氏は当時、1回目で48.1%と他を引き離し1位だったというのに、決戦投票では過半数に及ばず対立候補に3.6ポイント差で敗北しました。

チャート:過去のジョージア州の決戦投票結果

(作成:My Big Apple NY)

2016年と今年の大統領選を経て信用が著しく低下する世論調査ですが、足元の動向をみると共に民主党候補が優勢で、ブルーウェーブ実現の兆しが見えます。

チャート:ジョージア州での世論調査結果(%)

(作成:My Big Apple NY)

ジョージア州で、民主党上院議員は2000年7月に着任し2005年1月に任期満了で引退したゼル・ミラー氏以降、誕生していません。いかに共和党カラーが強いかが伺えるとはいえ、他州からの転入も含め人口動態が変化している点に留意しておきたいところ。

地元紙AJCによれば、リベラル派が多いとされる35歳以下の有権者数は過去4年間で22%増と、どの年齢層より最も増加が顕著でした。特にコロナ禍を経て、カリフォルニア州やNY州などリベラル寄りの家賃の高い都市圏から転入してきたアメリカ人が増えていても、おかしくありません。事実、国勢調査局によれば、2019年に同州に引っ越してきたアメリカ人全体の11%が、この2つ州からでした。

郵便投票の動向も、要注意です。前述の大統領選では、トランプ氏が批判するように郵便投票の増加が勝敗を分けたようにみえます。ジョージア州では、有権者登録済みの市民が申請手続きを行えば、郵便投票が可能です。2020年は、コロナ禍を背景に前回から7倍増の174万人が申請を行い有権者登録数全体の約2割に相当しました。

しかも、そのうち49%を民主党支持者が占め共和党支持者の43%を上回っており、郵便投票の増加が結果的に民主党候補、つまりバイデン氏に有利に働いたと捉えられます。

翻って上院決戦投票はというと、大統領選同様にコロナ禍で郵便投票の申請者が急増中。CNNによれば11月30日時点でその数は94万人に上り、2020年大統領選の132万人に迫る勢いです。特別選挙の投票者数が本選の10分の1まで下がることを踏まえれば、今回の決戦投票をめぐる州民の関心は極めて高い。民主党支持者が2人の候補を上院に送り出すべく、一致団結してもおかしくありません。共和党陣営も、意地を見せること間違いないでしょう。

なお有権者登録の締め切りは12月7日、郵便・事前投票は12月17日から開始し、郵便投票の受付は、決戦投票日の2021年1月5日の午後7時受領分まで。結果次第では、また再集計お問題が発生しそうな悪寒がするのは、筆者だけでしょうか。

(カバー写真:John Ramspott/Flickr)

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