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コロナ感染拡大の緊迫感の中、最後の出演ラッシュに臨む嵐の思い

嵐は年内いっぱいで活動休止する(時事通信フォト)

 年内いっぱいで活動休止するアイドルグループ「嵐」。ラストイヤーとなった今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、さまざまな制限がある中で活動を続けている。大みそかまで3週間を切るなか、緊迫感に包まれている嵐の思いとは? 最後の出演ラッシュが続く5人についてテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *

 いよいよ嵐の活動休止まで残り3週間を切りました。嵐の公式YouTubeチャンネルでは、大みそかの配信ライブに向けた動画「This is 嵐 LIVE みんなで準備だ!TV」の配信がはじまったこともあって、ファンの間では早くもロスを嘆く声が飛びはじめています。

「大みそかで活動を終えるジャニーズ事務所のグループ」と言えば、どうしても先輩グループのSMAPを思い出してしまう人も多いでしょう。SMAPが解散したのは今から4年前の2016年12月31日。独立報道や生放送での謝罪などがあった一方、ライブどころか歌番組への出演すらないなど、ピリピリとした緊迫感あふれるムードが続いたまま、12月26日の『SMAP×SMAP』(カンテレ・フジテレビ系)を最後に解散してしまいました。

 その点、嵐はSMAPのようなピリピリムードこそないものの、異なる理由で緊迫感に包まれています。その緊迫感の理由は、「新型コロナウイルスに絶対感染してはいけない」という思いがあるから。今週、14日に生放送される『女芸人No.1決定戦THE W 2020』(日本テレビ系)ファイナリスト・スパイクのコロナ感染による出演見送りが発表され、業界内に激震が走りました。昨年優勝した3時のヒロインが一夜にしてスターダムにのし上がったような人生を変えるチャンスを逃してしまったのです。

 もちろん、誰もが感染する可能性があり、感染自体が責められるわけではありませんが、この報道を受けた業界内は、「ウチのタレントは大丈夫なのか?」「年末の大事な時期に2週間も休むわけにはいかない」「今まで以上に感染予防対策を徹底しろ」などの声が飛び交う厳戒ムードに突入。なかでも、いったん活動休止する嵐のメンバーは、「今、芸能界の中で感染を避けるために最も強い思いで闘っているタレント」と言われているのです。

感染リスクを何としても避けたい

 嵐のメンバーや関係者の緊迫感を高めているのは、感染だけでなく、濃厚接触者になることも何としても避けたいから。さらに、それを避けられたとしても、発熱するとテレビ局やスタジオに入れず番組に出られない可能性があります。「感染対策を極限まで追求する」のはもちろん、「絶対に熱を出さない」ための対策も徹底しているでしょう。

 嵐は2日と9日に『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)、11日の『ミュージックステーション2時間SP』(テレビ朝日系)に生出演したほか、25日の『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE2020』にも出演予定。また、24日に『VS嵐』(フジテレビ系)、26日に『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)と冠番組2本の最終回を控え、どちらも4時間の長時間特番です。

 特に『嵐にしやがれ』は生放送パートもあるなど、不在は避けたいところ。加えて彼らには個人での出演番組もあり、そこでも今まで以上の対策を施しながら、大みそかの『第71回NHK紅白歌合戦』と配信ライブ『This is 嵐 LIVE 2020.12.31』まで走り抜けなければいけないのです。

 万が一のことがあったら……冠番組の最終回に出演できないだけでなく、5人そろっての大みそかライブも不可能。ファンの人々には申し訳ありませんが、あくまで「解散」ではなく「活動休止」とはいえ、人間のすることに絶対はないだけに、本当に最後のライブになってしまう可能性もゼロとは言えません。実際に業界内でも、そう見る向きもあるだけに、5人そろって冠番組の最終回や「いったん最後」のライブを楽しんでもらいたいと、それぞれが強い意識を持って感染対策をしているのでしょう。

 また、もう1つ彼らの現状を難しくしているのは、「万が一誰か1人が感染したとき、残り4人が濃厚接触者となることも避けたい」こと。「5人そろわなければ嵐ではない」と言われる彼らとしても、「5人全員が表舞台に出られず、沈黙のまま大みそかを迎える」という事態だけは何としても避けたいでしょう。この点が「メンバー間の距離を取り続ける」など、番組の構成・演出や彼らの動きに影響を与えるかもしれません。

ファンにしっかり幕引きを見せたい

 まさに「万に一つのリスクがあってもいけない」という緊迫感を増す状況の中、驚かされるのは、嵐の5人がいつも通り、仲よく楽しげな姿を見せていること。その姿は、まさにファンたちが好きな嵐そのものであり、彼らのプロフェッショナルぶりを物語っています。

 ファンたちがロスを恐れながらもネット上に感謝のメッセージを書き込むなど、穏やかな気持ちでいられるのは、そんな彼らの姿によるところが大きいのでしょう。解散まで何の動きもなかったため存続を願って大規模な署名活動、『世界で一つだけの花』購買運動、新聞広告を使った応援プロジェクトなどを行っていた4年前のSMAPファンの動きとは対照的です。

 嵐にとっては、ファンと直接会えるライブが中止になり、5人全員で関わっていた東京オリンピックも延期されるなど、思い通りにならないことばかりの一年でした。活動休止まで残りわずかの今になっても状況は好転するどころか、「絶対に感染してはいけない」との思いで闘う日々は続いています。

 しかし、彼らは大みそかの配信ライブでファン同士がつながって見られる「フレンズ参戦機能」をつけたり、カメラに向かってやってほしいことのリクエストを受け付けたりなど、最後までやれる限りのファンサービスを忘れません。

 先輩の中居正広さんは2018年に滝沢秀明さんが引退目前のとき、「僕個人は(SMAPの幕引きを)怠った人間であって、『。(丸)』で幕引きができなかったので、どうか滝沢と(今井)翼の2人にはファンの子に(しっかり幕引きを見せてほしい)。今まで応援してくれた人たちってやっぱりすごく大事だから」と語っていました。

 SMAPという偉大な先輩の教訓を生かし、ファンたちに幕引きを見せるためにも、嵐の5人は緊迫感あふれる日々の中、大みそかの最後の瞬間まで走り続けてくれるはずです。

【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに約月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演し、情報提供も行っている。著名人専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動中。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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