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バカ正直という野田首相とTPPの関係

昨日の党首討論、ご覧になりました?

 迫力がありましたね。私思うのですが、どうしてもっと以前からこんなに迫力に満ちた議論をしてくれなかったのか、と。

 ところで、その党首討論で、野田総理がこんなことを言いました。

 「通知表に、野田君は正直の上にばかが付くと書いてあるのにおやじが喜んでくれた」「数字に表せない大切なものがあるとおやじは教えてくれた」

 これだけ聞くと、何といい話なのか、と。かつて「いっぱいのかけ蕎麦」という話があったのを思い出してしまいました。

 でも、あの「いっぱいのかけ蕎麦」にも後日談があったのでしたよね。それに、正直な人は、自分のことを正直だなんていうのでしょうか?

 私思うのです。子供の通知表に先生が、お宅の息子さんはバカ正直すぎると書いてあるのをみてよろこぶ親がどれほどいるのか、と。大抵は、もう少し融通が利くような人間になって欲しいと願うのではないでしょうか?

 しかし、それでも野田総理のおやじさんが、そうした先生の指摘を喜んだとすれば、恐らく自分もかつてバカ正直すぎると皆から言われたに違いないのです。つまり、息子も自分と同じように愚直かもしれないが、少なくても人を騙そうというような人間に育っていないことは嬉しい、と。

 では、バカ正直な人は他人を騙すことはないのか?

 しかし、そんなことはないのです。よくいるでしょ? 大恋愛の末に結婚したのに、すぐ浮気する男性が。でも、そんな浮気性の男性も、彼らによれば、いつも自分の気持ちに正直だから新しい女性ができてしまうのだ。

 ですから、バカ正直でも結果として他人を騙すことはあるのです。

 野田総理は、恐らくその時点その時点では、正直に心情を語る人なのでしょう。

 野田総理は嘘つきだという証拠として、次の発言がよく引き合いに出されます。

 「シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです」

 こんな発言をしていたにも拘わらず、マニフェストにも掲げていない消費税増税法案を成立させてしまった、と。これが嘘つきでなくて、何と呼んだらいいのか、と。

 別に野田さんを弁護するつもりではないのですが政権を取る前にそのように考えていたのは恐らく真実なのでしょう。そして、政権を取った後、財務省の副大臣や大臣に就任し、財政について勉強すればするほど財政健全化を進めなければいけないという思いが募ってきたのでしょう。

 つまり、いつも野田さんは、その時その時に考えていることを喋っているだけだ、と。ただ、喋る内容がよく変わるので、そうした現象を捉えて嘘つきだと言えばそう言えないこともないが、本人にはその自覚がない、と。

 繰り返しになりますが、いずれにしても昨日の党首討論は大変に迫力があった。恐らく党内で野田降ろしの発言もあり、相当に頭に来ていたことも影響しているのでしょう。

 ただ、一つだけ言いたい。何故野田総理はTPPを選挙と結びつけるのでしょう?

 本来であれば、消費税の是非を問うための選挙なのに、何故TPP選挙だなんて言いだすのでしょう?

 おかしくありませんか? TPP交渉参加に賛成するにしても、反対するにしてもです。

 オバマ大統領に対して、TPPの交渉に参加すると言っていたから? その約束を果たすため?

 私、そもそもTPP問題に関して真顔で議論する気になれないのです。何故ならば、TPPなんて言ったって、真の自由貿易の考えとは随分と隔たりがあるからです。世の中には、TPP賛成論者は、自由貿易論者で、一方、TPP反対論者は保護主義者だいう、ステレオタイプの見方が出来上がって
すが、それがそもそも間違っているのです。

 例えば、アメリカ日本にTPP交渉参加を迫る。そうすると、アメリカは自由貿易論者に見え、そして、それに抵抗する日本の農業関係者保護主義者に見えてしまうのですが、そんなことはないのです。アメリカが自由貿易の信奉者だなんていう話は嘘なのです。本当に教科書通りの自由貿易を
アメリカが追求しようとするならば、自国の農家に膨大な補助金を与えたりはしないのです。そして、
かつて日米貿易摩擦が起きたときでも、力づくで日本車の輸出を自粛させるようなことはしなかった
はずなのです。アメリカも含めどこの国も、輸出競争力のある商品についてだけ自由貿易の大切さを説き、そうでない部門については保護主義を唱えるのが常なのです。これは、今から200年ほど前のリカードの時代から全然変わっていないのです。

 そもそもTPPの前に、WTOの交渉があったのですが、憶えていらっしゃるでしょうか?

 あの交渉はどうなったのか?

 日本やEUは、自国の農業保護ために農産物の関税引き下げで妥協ができなかった。国は、自国の農家に対する補助金廃止で妥協ができなかった。途上国側は、工業製品など関税を引き下げで妥協ができなかった。

 荒っぽく言えば、そうやって皆が妥協できないでWTOの交渉はとん挫してしまっているのです。

 にも拘らずTPPだなんて。できることからこじんまりとやっていくと言えば聞こえはいいのですが、結局、自分たちの利益はしっかりと守りながら、相手方の譲歩を引き出そうと言うだけの話です。

 TPP推進論者は言うのです。交渉に参加しないと始まらないではないか、と。日本がどうしても守りたい分野があれば、それは堂々と主張したらいいのだ、と。

 ですが、例えば米軍基地の問題やおもいやり予算で分かるように、日本が米国の要求をどうやったら巧くかわすことができると言うのでしょう。?

 TPPの交渉を進めたいと言うのであれば、日本の農業のしっかりとした将来像を示してからのことではないのでしょうか?

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