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地方記者にも独立のチャンス到来!

そうか、アメリカ流のローカルジャーナリズムってこういうことか、って勝手に実感しています。

実は、昨日、今日とミシガン州の人口1万人ほどと思われるサリーン(Saline)という街のThe Saline Postというサイトを隅から隅まで読んでの実感です。

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記事の配列はパソコンとスマホでは違っていますが、例えば今日のパソコン画面では、トップニュースはサリーン市の教育委員会の会合詳報です。

会合ではいくつもの案件が話し合われ、コロナで中断している対面授業を求める意見があったり、管財人が変わっても会議に出席した際の支払いは30ドルに据え置くというような細々した話まで報じられています。

それぞれの発言者の氏名も全て記載されていて、小さな街ですから、みんな顔が浮かんででくるのだろうと思います。そしてコミュニティの強化にもつながるのかも。

二つ目は、サリーンもその一部であるウォッシュトノー郡で新たに4人が死亡、9人が入院、死者は累計で144人になったというものでした。その他、州内の状況も様々なグラフで示し、警戒を呼びかけています。

三つ目はマスクをした女性警察署長の写真とともに、サリーン警察の将来計画を立てるために、警察は住民の意見を求めているというもの。

その下が天気予報。一日曇りとあって、最高、最低気温、風向きと風速が表示され、降雪率は6%だそう。

さらに連日掲載のコロナに関する郡内の数字のまとめページへのリンク。

続いてサリーンのコミュニティ情報。「コロナ防御用のマスクと消毒液の無料配布の日時、場所」とか「サリーン高校の全米優等生協会所属の生徒が12月31日に、高齢世帯の雪かきを手伝う」といった大事な生活情報が並んでます。

この後にも何本かのサリーンのニュースが並び、州司法長官が「コロナ詐欺に注意を呼びかけ」というネタはビリのほうにあります。あくまで、身近な情報ファースト。なんだか二日間で親しみが湧いてきました。

広告も上部と右側に園芸店のものなど計7本が並んでいます。そして最上部には「Suport Local News and The Saline Post」と表示、サポーターは月5ドル、薄いグレー表示でDonation Optionとあって、もっと多く払うのもアリを示唆。ですが、無料で全部、読めます。市民の善意に期待してるってことですね、

さて、長々、紹介しましたが、実は、このサリーンポストの記事の大半はトラン・ロングムーア(Tran Longmoore)さんという地方記者が一人で書いているのです。でも、一人で書いて一人でニュースサイトまで作っているわけではありません。

彼が書いたニュースはメールで登録者に送られています。それを、ハイパーローカルネットワークの老舗Patch.comの支援を受けたPatch Labがサイトを作り、広告も集め、その代金やメールニュースに払われた代金も管理し、その手数料は3~10%程度徴収するという新システムで回っているとAxiosの記事にあります。

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そうです、このシステムは、当ブログで3週間ほど前に紹介した、今や、米国のジャーナリストの憧れの的になっているSubstackとほぼ同じです。

今日、Substackのサイトで「Top Paid Publications」のリストを見ましたら、6位までが「Tens of thousands subscribers」とありました。tenにもthousandにも複数形の「s」が付いてるてってことは最低2万人以上の有料購読者がいるということでしょうね。とすると、一月5ドルか10ドルですから月の売り上げは10万ドル以上、年間では100万ドル以上になります。記者で1億円以上稼ぐなんてネットワークテレビ局の花形キャスターになる以外、これまではありえなかった。

ただしSubstackで売れているのは、既存メディアで売れっ子だったジャーナリストや著名な専門家、学者がほとんどです。そこでPatchが考えたのはそうでないローカルジャーナリストが独立できるプラットフォームだったのです。

むろん、一つか二つの田舎の街を対象にする地方記者に、何万もの読者は望むべくもないでしょう。しかし、上で見たように、コミュニテイに必須の情報を発信すれば、例えば1000人くらいの有料購読者は夢ではないかもしれません。町から都会に出た若者や、親戚なども読者になる可能性がありますから。

すると月5ドルで5000ドルです。加えて、広告収入もそこそこ見込める。手数料を差し引かれても、サイト構築や広告集めに回る必要もなければ、パートタイムのスタッフを一人二人雇うのもローカルでは可能でしょう。

スタートして何ヶ月か経っているのですが、チェックしたところSaline PostのMooreさん並みの情報を発信しているローカルジャーナリストは全米で、まだ3、4人しかいないようです。しかしSalineのような実践が知れ渡れば、需要も出るでしょうし、名乗りを上げるジャーナリストも増えるかもしれません。

日本でもこんなニュースサービスが欲しいなあ。大手メディアの苦境を救う一助にならないかとも夢想しますが・・・・

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