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第5次男女共同参画基本計画案の2回目の党内議論 手続きに瑕疵 論点は 親子別氏にどう答えるのか

 「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。

 12月8日(火)、自民党本部で、内閣第一部会・女性活躍推進特別委員会合同会議が開催されました。議題は、第5次男女共同参画基本計画(案)についてであり、2回目の審議となりました。議論は2時間30分にも及び、40名近くが発言しました。

 焦点は、第5次男女共同参画基本計画に夫婦別氏制度をどう記述するかです。

●手続きに瑕疵(かし) 6行の検討記載が2頁の推進記載へ、そしてさらに4頁にも

今年8月から9月にかけて、国民からの意見公募を受けて、有識者を交えて議論して11月11日に「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」が男女共同参画会議(議長加藤勝信官房長官)から菅義偉総理へ提出されました。その内容は以下です。

「ア 働く意欲を阻害しない制度等の検討

③ 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声もある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向、女子差別撤廃委員会の総括所見等も考慮し、選択的夫婦別氏制度の導入に関し、国会における議論の動向を注視しながら検討を進める。また、女性の再婚禁止に係る 制度の在り方等について検討を進める。」

 それが、1か月も経たない12月4日(金)の第1回目の自民党の合同会議に提案された原案では、6行が2頁に拡大されていました。それに対して、出席者から異論反論が出て、内閣府男女共同参画局では、修文して2回目の提案が行われました。

 11月の6行提案が12月の1回目で2頁になったと思ったら、今回の2回目の提案では、1.5倍の4頁近くになっていました。基本計画全体から見れば、特異な分量の記述となっています。

 通常であれば、国民の意見公募を踏まえ、有識者を交えた答申があれば、基本計画原案はそれにそったものになります。それが、いきなり6行が2頁になり、中立的な検討するといの記載が、推進するという前のめりの記載に変更されることは、考えられないことです。手続に瑕疵(かし=傷)、1か月弱の間に何かあったのか。問題があったと言わざるを得ません。

●是非の論点は

 私は合同会議の中で、手続きに瑕疵がある、元々の基本的な考え方に戻るべきだと発言しました。そして、夫婦別氏制度は選択制だからといって、親子別氏になることは避けられず、選択できない子供たちのことをどう考えるのかと訴えました。

夫婦別氏導入推進派の意見の概要は以下でした。

①政治は困った人を救うことが大事。

②氏を変更するのは女性ばかりで、それにより尊厳を傷つけられ、困っている方々が大勢いる。

③夫婦それぞれの実家の氏を残すために、夫婦別氏制度を導入すべきだ。

④国民の意見公募(パブリックコメント)には400件の推進意見があった。

⑤最高裁判決では、家族同氏は合憲だが、女性3名を含む少数意見では違憲であった。

⑥夫婦別氏制度の導入といっても、選択制だから個人の自由だ。

⑦離婚後は、結婚前に戻すのか、旧姓にもどるのかは選択制となっている。結婚前も同様にすべきだ。

それに対して、夫婦別氏制度慎重派の意見は以下でした。

①政治は困った人を救うのも大事であるとともに、国民で構成された国を守ることが重要。家族というのは社会・国の基本であり、家族制度が揺らぐと国も揺らぎかねない。

②氏は家族の呼称であり、個人の呼称ではない。困った人がいるというのであれば、通称使用の拡大で対応してきた。

③夫婦それぞれの実家の氏を残すためには、子供を2人以上生むことが必要。夫婦別氏制度を導入して家名を残しても一世代限りであり、子供が生まれなければ実家の氏は残せない。養子制度の活用、柔軟化で対応すべき。

④国民の意見公募(パブリックコメント)は、量ではなく質。所管する総務省も、考慮するが多数決ではないと言っている。平和安全法制の際には2万以上の意見公募があったが、推進してきた。

⑤最高裁判決では、多数派の有権解釈は合憲判断。政府が最高裁の有権解釈を無視するのは、三権分立原則に反する。

⑥家族制度は、個人の選択の問題ではなく、社会制度の問題。選択制といえども、夫婦別氏は必ず親子別氏となり、選択できない子供の影響をどう考えるのか。別氏家族が3世代過ぎると家族は4つの氏の家族が誕生することになる。

⑦離婚後と結婚前を同一には論じられない。多数が行う結婚と増えたとはいえ少数である離婚を同一に論じるべきではない。

私が問題にした選択制とはいえ夫婦別氏は、必ず親子別氏になるわけで、それに対する推進派の意見はほとんどありませんでした。一人だけ触れた議員がいますが、子供の理解も得られるはずだという期待を表明するばかりでした。

 今後については、冨岡勉内閣第一部会長、森雅子女性活躍推進委員長の2人に加えて、中曽根弘文青少年育成調査会長、衛藤晟一少子化対策特別委員長の計4人に修文を依頼して、後日報告されることになりました。

 働く意欲を阻害しない制度等の検討であれば、通称使用の拡大で対応すべきです。選択制とはいえ、夫婦別氏は親子別氏が不可避であり、それに十分な答えがないまま、政府に性急な対応を求めるわけにはいきません。夫婦別氏は、個人の問題だから自由に選択すればよいという問題ではなく、国会・社会の基礎である家族という社会制度の問題であり、その影響の大きさから慎重にも慎重を期しての議論が求められています。

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