12月3日 憲法審査会 自由討議
このコロナ禍の中「憲法改正など議論する必要はない」という意見もあります。しかし、このコロナ禍だからこそ、手当てしなければいけない憲法上の重要な論点があります。
緊急事態への対応です。緊急事態条項というと、私権制限の話が強調されますが、私は緊急事態対応の本質は(立法、行政、司法という)「統治機構の機能維持」にあると考えています。
大規模災害や感染症蔓延などの非常事態が発生した際、まずは行政が対応しますが、追加の予算措置であったり、新たな立法(例えば給付金の差押え禁止や被災者支援の特例など)を手当てする必要があります。その際に国会が機能しなければ、こうした手当てができません。
憲法56条は総議員の3分の1以上の「出席」を必要としています。この「出席」は物理的に議場に存在することを求めています。
感染症が蔓延する中で465名の議員が議場に一堂に会することが適切なのか?「オンラインでやれば良いではないか」というご意見もあります。
衆議院規則第148条は「表決の際、議場にいない議員は、表決に加わることができない。」と定めています。
ならば、衆議院規則を変えれば済むのではないか?と言われるかもしれません。しかし、これは憲法の明文の規定である「出席」の文言解釈に関わることです。
「憲法は国家権力を縛るもの」だという考え方からすれば、縛られる側の立法府が自らを縛る規定の解釈を恣意的に変更して良いのか、というご批判を受けるでしょう。
今、発生している新型コロナに関して言えば、感染症対策に留意して、質疑時は2班に分かれて半分は場外で傍聴し、採決時のみ全議員出席という対応をしていますが、今後、もし更に爆発的な感染力があり、毒性が強く致死率の高い感染症が発生した場合にも全議員が議場に参集して採決をすることで良いのか?
そうした場合を想定して、議場に一堂に会して採決しなくても、例えば議員会館の各議員室をネットワークで繋いでオンラインで採決を許容するなどの手当てが必要です。
そのために、憲法第56条の「出席」の文言を改正するのか、解釈を変更して規則の改正で済ますのか。いずれにせよ、非常事態下においても、予算、法案を成立させるという立法府としての職責を果たせるよう憲法上の整理をしておくことは、立法府にいる我々国会議員自身の責務であると考えます。