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量的緩和は景気を悪化させるという小幡博士

 YahooのニュースBUSINESSを見ていたら、次のような文言に遭遇した。

 「量的緩和は景気を悪化させる。私はまじめに言っている。そして、これは小幡績という主流派でない経済学者の奇をてらった見方ではない。なぜなら、これが20世紀の最も重要な経済理論に関する書物である、ケインズの一般理論のエッセンスであり、メッセージだからだ」

 先日確か、小幡氏がそんなことを書いているのをみたが、小幡氏以外にもそのようなことを言う人がいるのか、と自問自答した。

 で、誰が書いているのかとみてみると、書いているのは小幡氏自身。

 やっぱり少し変わっている。でも、私は、彼が石原元都知事を売国奴だと呼んだこと以外では彼の意見に賛同することが多い。特に、量的緩和政策にそれほど効果がないという点では同感だ。

 しかし、そうではあっても、「量的緩和は景気を悪化させる」とまで言う必要があるのか?

 私がこのような記事を書くと、恐らくリフレ派の人々は笑うことであろう。

 だから、この記事はリフレ派に読んでもらうつもりはない。きっぱりと言う。そうではなく、リフレ派的な考え方に懐疑的である人々に読んでもらいたい。何故ならば、小幡氏のように量的緩和は景気を悪化させてしまうと言い切ると、変な誤解を生んでしまうからだ。

 いずれにしても、先ずは小幡氏の言うことをよく確認する必要がある。

 彼は言う。

 金利がこれ以上下がりようのない状況で量的緩和を行えば、国債の価格が上がる、と。そして、国債の価格が上がるということは、国債を保有している投資家が儲かることを意味するので、投資家は益々国債を保有しようとする。そして、そうやって国債への投資が、実物投資よりも相対的に魅力を増せば、益々実物投資をしようとする投資家が少なくなるので、景気が悪くなる、と。

 つまり、日銀が国債を市場で大量に購入すればするほど、実物投資の魅力が薄れてしまうと言うのである。

 言いたいことは分からないでもない。半分はそのとおり。しかし、おかしな点もある。というのも、国債の価格が上がるということは、国債の利回りが下がるということで、彼は量的緩和政策によって長期金利が下がることを認めているのだ。

 そして、FRBのバーナンキ議長も、所謂QEは長期金利を引き下げる効果があるから、それに伴って住宅ローンの金利や消費者ローンの金利が下がり、景気を下支えする効果があると言っている。

 さらに小幡氏は、幾ら長期国債の利回りが下がっても、銀行が企業に貸し出すローンの金利には限度があると言う。何故ならば企業への融資には大きなリスクが伴うことが多いし、融資の審査や管理にはお金がかかるからだ、と。

 言いたいことは分からないではない。しかし、それはそうであっても、仮に銀行が国債を売却した資金を融資財源に充てるのであれば、国債の利回りが下がった分、銀行の資金調達コストは下がるのであるから、貸出金利を引き下げる余裕がでてくるのである。極端な話、もし、日銀が国債を額面以上で購入するようなことをすれば、国債の利回りはマイナスにもなり得る訳で、言ってみれば銀行は利子をもらって資金調達ができることになるのだ。

 ということで、小幡氏の今回の理論は支持することができない。

 しかし、量的緩和にそれほど期待できないのはそのとおりであって、その意味では、リフレ派の学者よりも小幡氏を支持するのはそのとおりである。

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